クレターを形態により分類すると, 中心に核が認められる有核形, 単に凹みだけの無核形, 下地が見えている有核性および無核性ハジキの4種類に大別される。これらのクレターが粉じんの大きさ, 粉じんのヨゴレ, 塗料の表面張力, 粘性抵抗, 塗膜の厚さなどの各因子により, どのような影響を受けるか, 簡単なモデル実験により検討してみた。その結果, (1) 完全に洗浄された粉じんにはクレターを発生する能力がない, (2) クレターばシリコーンなどの表面張力の低い物質により汚染された粉じんにより生じ, 粉じんの大きさが膜厚より十分大きい場合ハジキ形となり, 小さい場合には有核形クレターとなる, (3) 有核形クレターの径はエナメルの粘度が700~800 Poiseのとき最大となる, (4) シリコーンの添加はクレターの防止策として有効である, (5) 一般に焼付け後, 有核形クレターの径は増大するが, シリコーンを添加した系ではこの傾向はほんど認められない-などの知見が得られた。
抄録全体を表示