塗料のシリコーン油による色むら防止機構を明らかにするために, シリコーン油の色むら防止濃度
*1と飽和吸着濃度
*2および, シリコーン油特性と色むら防止能との関連性について検討し, 以下の結果より, シリコーン油の色むら防止機構は表面粘弾性 (シリコーン油が塗液表面に吸着して生じる) に基づく, 機械的な抑止作用であると推定した。
1.シリゴーン油の色むら防止濃度と飽和吸着濃度には密接な関連があった。
2.シリコーン油のキシレン溶液で, シリコーン油の濃度が臨界点を越えると, 表面粘弾性に急激な増加が認められた。
3.J. C. Bergの理論に従えば, 飽和吸着濃度でシリコーン油溶液の表面粘弾性は急激に増大した。
4.飽和吸着濃度でのシリコーン油の色むら防止能はシリコーン油の分子量が大きく, 溶媒に対する溶解性の良好なほど強い。
*1色むら防止濃度, 塗膜乾燥過程での塗液の流動を阻止するに必要なシリコーン油の最少濃度を塗料のワニス中での濃度に換算した値。
*2飽和吸着濃度。シリコーン油溶液で, シリコーン油が表面に飽和吸着するときの, 溶液中のシリコーン油濃度の最少値。
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