色材協会誌
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75 巻, 12 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 江角 邦男, 宮本 敬子, 吉村 倫一
    2002 年 75 巻 12 号 p. 561-567
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    種々の末端基 (メチルエステル基, アミノ基, カルボキシル基, 糖鎖) をもち, 世代の異なるポリアミドアミンデンドリマーを用いて水系で金ナノ粒子を調製した。得られた平均粒子径は2-6nmでデンドリマーと金イオンの割合ならびにデンドリマーの世代により変化した。4-ニトロフェノールの金ナノ粒子を用いたNaBH4還元反応から反応定数は添加デンドリマー濃度ならびにデンドリマーの世代に依存した。さらに, 反応定数に及ぼすデンドリマーの末端基の効果はカルボキシル基>アミノ基>糖鎖>メチルエステル基の順となった。これらの結果はデンドリマー-金ナノコンポジットの構造に起因すると考えられる。
  • 岡本 康雄
    2002 年 75 巻 12 号 p. 568-572
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    近年, 顔料分散インクを始めとする様々な分散液の分級処理の要求が増えつつある。そこで今回平均粒径0.1μm程度の顔料分散インクを用いて “ポール・TFF (tangential flow filtration) 膜カセット” によりクロスフローろ過を行い, 顔料粒子のフィルター通過率特性評価, および分級への適用性について検討した。fluxは0.80, 0.65μmカセット共にTMP (transmembrane pressure) 0.05MPa程度で限界流速を示し, またCFF (cross-flow flux rate) を1.0L/minから2.0L/minに上げることにより, fluxは3割程度増加した。顔料粒子の通過率は, 0.80, 0.65μmカセット共にTMP, CFFの条件を変えることにより変化することが確認された。本研究よりクロスフローろ過で, 目詰まりを起こすことなく, 粒度分布を変える分級処理を行う見通しができた。
  • 服部 剛, 石津 誠, 垣内 崇孝
    2002 年 75 巻 12 号 p. 573-578
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    カーボンブラック (CB) を顔料に用いた印刷インキの流動性について検討を行った。動的粘弾性測定から印刷インキはCB重量濃度によって擬ゾル-ゲル転移現象を示すことが明らかとなり, 臨界ゲル化重量濃度 (Wgel) を求めた。CBの一次粒子径は流動性と強い相関のあることが知られており, その指標である窒素吸着比表面積とWgelは相関があることがわかった。ここから, Wgelは流動性の指標となることがわかった。流動性とCBの物理特性との相関についてさらに検討したところ, WgelはCBの外部比表面積と良い相関があることがわかった。また, 定常勇断測定から半経験的粘度式を使って実効体積を求めたところ, Wgelとは極めて良い相関があることがわかった。これらの結果より, 印刷インキのゾル-ゲル転移点でCBが形成する構造体は, CBの一次粒子というよりはCBの表面に樹脂層を吸着した複合粒子を基本単位としていると解釈された。
  • 西村 美由喜, 古谷 隆博, 鷹尾 長幸
    2002 年 75 巻 12 号 p. 579-585
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    シリコーン系溶媒中での微細な顔料分散と顔料表面への機能付与を目的として, コアセルベーション法による顔料のマイクロカプセル化を検討した。カプセル化ポリマーには, ポリジメチルシロキサンをグラフト化したアクリル系グラフトポリマーを用いた。このポリマーにより, 平均分散粒径が200nm以下の油性マイクロカプセル化顔料分散液を開発できた。この分散液は, 顔料表面のポリマー層により従来の分散剤を用いた顔料分散液にない高いゼータ電位を発生し, 顔料表面に新たな機能を付加できる可能性を示した。また, この分散液の粘度は低く, カプセル化ポリマーの架橋により安定性にも優れていることが確認できた。さらに, 表面特性の異なるシアン (C), マゼンタ (M), イエロー (Y), ブラック (K) 4色の顔料をマイクロカプセル化し, 表面特性をポリマーの特性へ同一化できた。
  • 榎村 眞一, 荒木 和也, 横須 賀正彦, 武林 敬, 湯浅 真, 阿部 正彦
    2002 年 75 巻 12 号 p. 586-591
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    現在, 電子材料・塗料・化粧品・インキなどの製造ラインでは, 極小径ビーズを用いたメディアミルが中心に使用されている。現状の分散機に求められている機能を列挙すると, つぎのようになる。メディアミル以上の分散能力, メディアを用いずにコンタミを防止, 適応できる被分散流動体の粘度範囲の拡大, 循環処理ではなく1パスの処理, 低動力化, 温度コントロール性の向上, 密閉構造による機械的高安全性および耐久性の向上, 簡単な構造およびコンパクト化などである。それらを解決すべく開発されたのが, 本報で報告するメディアレス新型分散機 (商品名クレアSS5) 1) である。
    この分散機の構造上の特徴は, 垂直方向に設置された対向する二枚のリング状ディスクの両方もしくは一枚が回転し, かつ, 二枚のディスクの一枚はホルダーに固定され, もう一方は, アライメントを吸収すべくフローティング機構を有していることである。また, フローティング構造のディスクは, 背面よりスプリングおよびエアーにより加圧されているため, 分散機構のクリアランスが常に一定になるように設定できる。さらに, ディスク問のクリアランスの調整は, 回転速度, 液粘度, 送液圧力, スパイラルグルーブ形状, 深さ, スプリング, 背圧力などに影響されるので, 適当な圧力バランスを保持することにより, 数μm程度のクリアランスを確保できる。その微小クリアランス部を設定すると, その微小クリアランス部を処理物がおおむね接線方向へ通過する時に大きなせん断応力を受けることになる。このときに発生するせん断エネルギーにより, 効率よく粉砕・分散・乳化させることができる。
  • 森 真貴子, 冨田 理会, 郷司 春憲, 浦野 哲
    2002 年 75 巻 12 号 p. 592-597
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    塗料やインク業界において顔料の着色力は重要な性能であり, 着色力を向上させるためには, 一次粒子径の小さな顔料を調製し, 塗料中での分散性を高める必要がある。本研究では, 一次粒子径減少と分散性向上の両立を目的として, 高硬度で分散効果の期待される体質顔料を併用した着色顔料の乾式粉砕について検討を行った。
    その結果, 本手法を用いることで着色力を大幅に向上させることができた。これは, 体質顔料により粉砕が促進され一次粒子径の小さな着色顔料が調製できたためである。一方, 体質顔料による塗料中での顔料分散効果は今回の検討では認められなかった。
    さらに, 透過型電子顕微鏡を用いて塗膜断面の直接観察を行うことにより, 粉砕工程における微粒子化の効果と分散剤の添加による分散性向上の効果を分離して評価を行ったので併せて報告する。
  • 色材協会誌掲載論文を中心に
    小林 敏勝
    2002 年 75 巻 12 号 p. 598-605
    発行日: 2002/12/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
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