現在, 電子材料・塗料・化粧品・インキなどの製造ラインでは, 極小径ビーズを用いたメディアミルが中心に使用されている。現状の分散機に求められている機能を列挙すると, つぎのようになる。メディアミル以上の分散能力, メディアを用いずにコンタミを防止, 適応できる被分散流動体の粘度範囲の拡大, 循環処理ではなく1パスの処理, 低動力化, 温度コントロール性の向上, 密閉構造による機械的高安全性および耐久性の向上, 簡単な構造およびコンパクト化などである。それらを解決すべく開発されたのが, 本報で報告するメディアレス新型分散機 (商品名クレアSS5)
1) である。
この分散機の構造上の特徴は, 垂直方向に設置された対向する二枚のリング状ディスクの両方もしくは一枚が回転し, かつ, 二枚のディスクの一枚はホルダーに固定され, もう一方は, アライメントを吸収すべくフローティング機構を有していることである。また, フローティング構造のディスクは, 背面よりスプリングおよびエアーにより加圧されているため, 分散機構のクリアランスが常に一定になるように設定できる。さらに, ディスク問のクリアランスの調整は, 回転速度, 液粘度, 送液圧力, スパイラルグルーブ形状, 深さ, スプリング, 背圧力などに影響されるので, 適当な圧力バランスを保持することにより, 数μm程度のクリアランスを確保できる。その微小クリアランス部を設定すると, その微小クリアランス部を処理物がおおむね接線方向へ通過する時に大きなせん断応力を受けることになる。このときに発生するせん断エネルギーにより, 効率よく粉砕・分散・乳化させることができる。
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