色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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88 巻, 10 号
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研究論文
  • 平谷 卓之, 孝治 慎之助, 中浜 数理
    2015 年 88 巻 10 号 p. 337-340
    発行日: 2015/10/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    ヨウ素分子(I2)を制御剤として用いる制御ラジカル重合法である,逆ヨウ素移動重合(RITP)を水媒体不均一重合系へ適用した際に,分子量制御性を悪化させる原因となる“I2加水分解反応”を抑制するための二つの方法,水媒体接触前にI2をヨウ素化合物へ変換する方法(方法i),および,ヨウ化物イオンを水媒体中に含有させる方法(方法ii)を懸濁重合系へ導入してその効果を検証した。その結果,方法iおよびiiの導入によって,両者の場合ともに分子量制御性の顕著な改善が観られることがわかった。方法iに関しては,I2からヨウ素化合物への変換率が高くなるほど,また方法iiに関しては,ヨウ化物イオンの含有量が多くなるほど,それぞれ分子量制御性が改善される傾向が観られた。
解説
耐久・防食講座(第13講)
  • 高柳 敬志
    2015 年 88 巻 10 号 p. 353-360
    発行日: 2015/10/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    塗料用ふっ素樹脂はフルオロエチレン-ビニルエーテル交互共重合体(以下FEVE)として世界で初めて開発されて市販から33年となる。建築,土木構造物ばかりでなく輸送機(飛行機・自動車),電気分野など広く応用されている。
    とくに防食塗装分野ではふっ素樹脂塗料の高耐候性ゆえ,美観保持,基材保護性能に卓越しており,塗り替え周期の長期化を果たしてきた実績があり防食塗装のスタンダードとなってきた。理由は社会資本の健全な保全およびそれらのライフサイクルコスト(LCC)の低減にVOC排出量の抑制に大幅に貢献してきたためとも言える。炭酸ガスの発生量の抑制に貢献すると期待されている。 用途はすでに世界に広がってきている。
光と色彩講座(第1講)
  • 溝上 陽子
    2015 年 88 巻 10 号 p. 361-366
    発行日: 2015/10/20
    公開日: 2016/01/20
    ジャーナル フリー
    色を定量的に扱う際,人間の視覚特性を考慮することが大切である。CIE表色系は,色覚の感度特性に基づく色の表現と捉えることができる。しかし,等色関数は等色実験により求められており,錐体の分光感度とは一致していない。近年,錐体の分光感度を直接用いた,視覚生理に基づくより正確な色の表現も提案されている。一方,色覚メカニズムは環境に適応するように進化しており,森林と果物の色の違いや季節変化等,環境の色特性が色覚の形成に影響を与えていると考えられる。環境の色と色覚メカニズムの密接なかかわりは進化や発達の面だけではない。私たちの視覚は短期的な環境の明るさや色の変化に対しても適応し,安定した見えを保つことができる。色の恒常性や,環境の彩度低下を補正して知覚する特性は,これらの色覚の適応性,柔軟性を示す例と言える。 色の見えの評価には,表色値のみでなくこれらの適応メカニズムの影響も考慮する必要がある。
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