銅フタロシアニン窒素同構体の1種である銅ジベンゾジピリジノポルフィラジンとそのフラクション (Cu-2P) を4級化剤の1種であるジエチル硫酸と反応させて得た生成物は, 赤外線吸収スペクトルにおいて2,960cm
-1から2,800cm
-1にかけてのエチル基の吸収が観察されずに1,350cm
-1, 1,190cm
-1, 1,050cm
-1および600cm
-1にスルホン基に起因する吸収が観察されたことから, 4級化Cu-2Pではなく, 従来合成が困難と考えられているスルホン化Cu-2Pであることがわかった。
スルホン化反応は約100℃のごく穏やかな条件下で生じていることから, ピリジンなどの窒素複素環で知られている芳香族求電子置換反応ではないと考えられる。
このスルホン化反応はギ酸溶媒中で生じたことから, ギ酸溶媒を用いずに反応させたところ, 溶媒を用いた場合と同一の結果であることが赤外線吸収スペクトルと核磁気共鳴スペクトルから確認できた。以上の結果から, この反応はギ酸溶媒の有無にかかわらずに共通であり, 芳香族求核置換反応に従うと結論した。
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