色材協会誌
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88 巻, 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
研究論文
  • 今本 翔也, 香西 博明
    2015 年 88 巻 6 号 p. 161-165
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル フリー
    エポキシ樹脂はクルクミンとエピクロロヒドリンによって合成した。得られたエポキシ樹脂はMn=1680,Mw=2380,Mw/Mn=1.5 であった。さらに,エポキシ樹脂の硬化反応はエチレンジアミンを用いて室温で行い,得られた硬化エポキシからは蛍光性や優れた物性が示された。エポキシ樹脂の構造解析はFT-IR,1Hおよび13C NMRによって測定した。エポキシ樹脂硬化体の紫外-可視吸収スペクトルからは460 nmの吸収ピークが確認できた。また,エポキシ樹脂硬化体の蛍光スペクトルにおいては500 nmに確認できた。エポキシ樹脂硬化体のガラス転移温度および熱重量損失温度はそれぞれ90℃と375℃をそれぞれ示した。応力-ひずみ曲線は硬化エポキシが硬くて脆い性質であることを示した。
  • 山本 義昭, 川島 祐貴, 山内 泰樹, 野々村 美宗
    2015 年 88 巻 6 号 p. 166-169
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル フリー
    有機エレクトロルミネッセンス(OLED)照明とライト・エミッティング・ダイオード(LED)照明の下で人工皮膚を見たときの見え方と色彩特性の違いを明らかにした。照明の相関色温度だけでなく色度まで一致させた場合でも,OLED照明下のほうがLED照明下よりも人工皮膚の赤みが強く,明るさや黄みは弱く見えた。このような見え方の違いは,OLED照明下では波長570 ~590 nmのスペクトル放射輝度が低くなるために生じることが明らかになった。
小特集 表面を利用したセンサー技術
資料
  • 大澤 友
    2015 年 88 巻 6 号 p. 171-174
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル フリー
    耐水性と洗浄性を両立するサンスクリーンを開発するために,酸性条件で疎水性を示し,アルカリ性条件で親水性を示すpH応答性に着目した。pH応答性ポリマーとしてMAUホモポリマー,AMPS/MAUコポリマーを合成した。どちらのポリマーもpH7程度で親疎水性が変化するという目的のpH応答性を有しており,AMPS/MAUコポリマーのほうがMAUホモポリマーよりも短時間で疎水性から親水性に変化することが明らかになった。AMPS/MAUコポリマーを酸化チタンに処理したところポリマー同様のpH応答性を付与することができ,pH5の緩衝液には分散しないが,pH10の緩衝液には分散した。AMPS/MAUコポリマー処理酸化チタンをサンスクリーンに配合したところ,高い耐水性と良好な石鹸での洗浄性を確認した。この結果,これまで実現しなかった耐水性と洗浄性を両立した新奇なサンクリーンを得ることができた。
解説
  • 李 丞祐, 荻本 侑祐, 若松 俊一
    2015 年 88 巻 6 号 p. 175-180
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル フリー
    シリカナノ粒子(SiO2)とポリアリルアミン塩酸塩(PAH)で構成された多孔性薄膜を担持した水晶振動子(QCM)アンモニアガスセンサの開発を試みた。SiO2とPAHの静電的相互作用によって自己組織化された薄膜は,湿度に高い感度を示した。また,薄膜(5層または10層)中にポリアクリル酸(PAA)を導入することで,アンモニアガスに高感度で選択性に優れた検知膜が実現できた。 PAA導入ありなしの二種類のQCMセンサを用いることで,湿度とアンモニアガスの同時定量分析が可能であった。センサ表面でのアンモニアの吸着機構をフーリエ変換赤外線分光(FTIR)測定から明らかにした。最後に,呼気中のアンモニア検知可能性を確認するために行った模擬臨床試験から,約3 ppmの病理学的レベルのアンモニアが呼気から検知可能であることがわかった。
総説
  • 秋元 卓央, 安田 充
    2015 年 88 巻 6 号 p. 181-186
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル フリー
    薄膜干渉基板は,ガラス基板上に金属と透明な誘電体薄膜を積層した基板である。この基板上に蛍光分子を塗布し蛍光を観察すると,最適な誘電体の膜厚では,通常のガラス基板と比較し蛍光を数十倍明るく観察できる。この蛍光増強はおもに誘電体層内での励起光と蛍光それぞれの光学干渉によるものと考えられている。本稿では,薄膜干渉基板に励起・蛍光波長の異なる四種類の蛍光分子を滴下したときの蛍光の強さと誘電体の膜厚の関係等について解説するとともに,薄膜干渉基板をバイオセンサーとしてタンパク質やDNAの検出へ応用した場合の結果について述べる。
最新接着講座(第17講)
  • 岩田 立男
    2015 年 88 巻 6 号 p. 187-192
    発行日: 2015/06/20
    公開日: 2015/09/20
    ジャーナル フリー
    近年,ますます拡大しているビジネスのグローバル化にともない,環境問題は地球レベルでの共生の対応が求められている。このような中で国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)は,市場性重視,価値ある規格,Optimum Globalization に努めている。接着関連の国際標準化は,ISO高分子接着剤委員会であるISO/TC 61/SC 11/WG5(Plastics/Products/Polymeric adhesives)およびポリマーディスパージョンISO/TC 61/SC 9/WG 14(Plastics/Thermo-Plastic materials/Polymer dispersions)において審議&決議されている。接着関連国際規格ISOの歴史と活動状況(JIS含む)について,この約15年の変遷~昨年ISOTC61(プラスチック)中国/蘇州会議などを述べる。
耐久・防食講座(第9講)
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