ビスフェノールA/エピクロルヒドリン形エポキシ樹脂塗膜の光劣化機構を解明するため, ESR用試料管 (X-Band用) の外側にビスフェノールA/エピクロルヒドリン形エポキシ樹脂溶液を塗付し, 硬化させたのち, 低圧水銀ランプ (主波長254nm) で照射し, 生じたラジカルをESR測定装置で捕捉した。
捕捉したラジカルは, g=2.0042よりフェノキシルラジカルであると同定した。この結果, ビスフェノールA/エピクロルヒドリン形エポキシ樹脂の光劣化機構は, フェノキシルラジカルを経て劣化していくことが確かめられた。さらに低圧水銀ランプ24時間照射後の塗膜と, 照射前の塗膜とのFT-IRの変化からビスフェノールA/エピクロルヒドリン形エポキシ樹脂の光劣化機構はフェノキシルラジカルを経たのち, 一部低分子量物質の消失をともないながらキノノイド化合物, アルデヒド化合物などを生じるものと推定された。次に, ビスフェノールA/エピクロルヒドリン形エポキシ樹脂と, 表面処理の異なる4種類のルチル形二酸化チタンを用いて, 塗料を作成し, どうようの方法で生じるフェノキシルラジカル量を測定した。同時に低圧水銀ランプを用いて4種類の塗膜ごとの光沢保持率を測定したところ, フェノキシルラジカル量が多い塗膜ほど, 光沢保持率が低かった。
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