シランカップリング剤であるγ-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン (GPS) とγ-アミノプロピルトリメトキシシラン (APS) の1%水溶液によりステンレス鋼を処理し, エポキシ/ポリアミド系接着剤に対する接着部の耐湿性向上効果を引張勇断試験とウエッジ・エクステンション・テストにより調べた。
その結果, GPS処理では顕著な接着部の耐湿性向上がみられたのに対し, APS処理では顕著な耐湿性向上効果がみられなかった。
XPS, μ-AES, static SIMSにより, GPS処理ではシランカップリング剤処理特有の明確なポリシロキサン構造がみられたのに対して, APS処理では明確なポリシロキサン構造がみられず, さらにアミノ基がプロトン化されていることが確認された。これは, APS処理の場合, アミノ基がその強い極性のため最初にステンレス鋼と相互作用を起こし, アミノ基がステンレス鋼側に配向してしまうため, 金属酸化物層最表面の水酸基との脱水縮合反応が阻害され, その結果、ポリシロキサン構造が十分に形成されなかったと考えられる。
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