シリカ粒子表面へ導入したトリクロロアセチル基と, マンガンヘキサカルボニル (Mo (CO)
6) とを組み合わせた系によるアクリレート樹脂の硬化反応について検討した。シリカ表面へのトリクロロアセチル基の導入は, γ-アミノプロピルトリエトキシシランで処理してシリカ表面へ導入したアミノ基と, トリクロロアセチルイソシアナートとの反応により行った。トリクロロアセチル基を導入したシリカとMo (CO)
6とを組み合わせた系では, アクリレート樹脂の硬化反応が進行することがわかった。このような結果は, トリクロロアセチル基とMo (CO)
6との反応により, 粒子表面に生成したラジカルからアクリレート樹脂の硬化反応が進行していることを示唆している。したがって, このような系では, 硬化膜中へ化学結合を介してシリカ粒子が組み込まれることが推察された。また, この系で得られた硬化膜は吸水率が低いこともわかった。
抄録全体を表示