多くの読者は,プラズマと聞くと半導体などの製造プロセスや空気清浄機をイメージするかもしれない。しかし,このプラズマを溶液中で制御しながら使用できることがわかり,ナノ材料の液相合成,水処理,水素燃料生成,材料表面改質などに応用すべく基礎研究が盛んに行われている。たとえば,処理の困難な水質汚染物質を容易に分解できることや,ナノ粒子の短時間大量合成を液相で行うことができることから,既存法では困難な状況を改善する技術として期待されている。さらに,化学物質や高温高圧容器などを利用しなくても,電気だけで簡便に極限反応場を作り出すことができるため,高い効率と操作性を有する化学反応,環境浄化,材料加工などをデザインすることができる。本総説では,水中プラズマの原理や現象に加え応用応例についても解説を行う。
シルセスキオキサンは,シリコーンとシリカの中間的な存在として位置づけられ,有機と無機の特長を併せもつ。本稿では,有機ユニットとして架橋性基を導入したシルセスキオキサン誘導体「SQシリーズ」の硬化物の耐熱性を評価した。SQシリーズの分子設計を工夫することで,耐熱衝撃や耐黄変に優れる構造を見いだした。これらの知見を活かして,宇宙機用の耐原子状酸素性コーティングへの適用を検討したところ,既存のコーティングの欠点を克服した画期的なコーティング剤を開発できた。SQシリーズを塗布した材料が宇宙で用いられ,実用化を果たした。
中部地域の産官連携により,合成シーズと評価シーズ,化粧品ニーズの融合と,独自製品・感性研究の速成に成功した。液中平均表面間距離と表面凝縮・体積凝縮の制御により,複合粒子・中空体・薬剤内包顆粒を作製し,UV遮蔽性向上や,光学的メリハリの改善,薬剤徐放速度制御ができた。一面せん断試験と官能評価の系統的検証により,定性的な官能指標と物理的特性との関連付けと,評価法の標準化を促進した。
メタリック塗料は自動車や二輪車あるいは家電製品の外装の塗装ラインでは必ずと言っていいほど多く施されるものである。
一方,メタリックなど高輝度性塗料の塗装はソリッドやクリアーなどほかの塗料と違う特性をもつことから,ハード・ソフト面から塗装のための工夫が必要となる。
本稿では,塗装機メーカーとしてメタリック塗装に対する塗装機器・システムの工夫をどのように行っているか,さらに実際にメタリック塗装を行ううえでの注意事項および塗装仕上がり性を確保するための塗装技術的なノウハウをまとめ,紹介する。
危険化学品の安全管理を強化しこれによる危険化学品事故を予防,減少させ,国民の生命や財産の安全を保障し,環境を保護するために,2011年12月1日より改訂された新「危険化学品安全管理条例」(中国国務院第591号令)が正式に実施された。その後,一連の管理施策,国家基準および化学品目録などの重要な行政措置も公布・施行された。本稿では,危険化学品の特殊危険特性を始めとし,中国危険化学品の安全管理法規体系,中国危険化学品目録および実施ガイダンスを概説した。それに基づき,中国で危険化学品を扱う企業が果たすべき責任を簡潔に分析し,参考として法規制対応へのアドバイスを紹介した。
本稿に関する日本語での問い合わせ先:日本事業部 劉 鳴 liuming@reach24h.cn