色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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85 巻, 9 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
技術論文
  • 石井 利博, 橋本 和明
    2012 年 85 巻 9 号 p. 357-364
    発行日: 2012/09/15
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    カーボンナノチューブ(CNT)は,軽量・高強度・導電性・熱伝導・電子放出特性などに優れているといわれているが,特性は溶媒に分散して発現させるのが一般的である。しかし,CNTは凝集力が強く,容易に分散できない。本報では,CNTを機械的処理で溶媒中へ分散させる装置であるビーズミルと超音波ホモジナイザーを使用し,マルチウォールナノチューブ(MWCNT)の分散を行った。ビーズミルでの分散効率を評価するため,運転条件の違いによる分散時間や投入動力量と分散により得られたMWCNTのメディアン径との関係を調べた。この結果,運転条件でMWCNTの分散効率が変化することがわかった。さらに,投入動力量を用いることでビーズ径が分散効率に与える影響が大きいことを明らかにした。また,ビーズミルと超音波ホモジナイザーの比較では,MWCNTの初期の凝集体の形状や硬さなどの特性が分散効率に影響することがわかった。
解説
−小特集 界面活性剤−
  • 懸橋 理枝
    2012 年 85 巻 9 号 p. 365-369
    発行日: 2012/09/15
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    両親媒性物質は,その化学構造や溶液条件によりさまざまな構造の分子集合体(会合体)を形成するが,その会合体構造は溶液物性に強く影響する。たとえば,界面活性剤水溶液では,ミセルの形態が変わることで,その粘度や起泡力は大きく変化する。つまり,会合体構造の制御は溶液物性の制御につながる。会合体構造を変化させるには,界面活性剤分子間の静電相互作用や近距離相互作用(水素結合など)を利用する方法がある。分子間相互作用を利用する手法は,異なる界面活性剤を混合したり,水素結合部位を界面活性剤分子に導入したりするなど,応用範囲が広いのが利点である。本稿では,陽イオン−陰イオン界面活性剤混合系やアミンオキシド系界面活性剤を用いた例について紹介する。
総説
−小特集 界面活性剤−
最新化粧品・ヘルスケア講座(第XIII講)
  • 増永 卓司
    2012 年 85 巻 9 号 p. 384-388
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    化粧品は,消費者の生活の質の向上を担っている一般消費財であり,消費者ニーズに応え得る機能とともに,高い安全性が要求される。微粒子酸化チタンなどのナノマテリアルは,そのような化粧品機能の一翼を担う素材として活用されている。近年,ナノマテリアルの安全性研究が進められており,日本化粧品工業連合会においても,消費者に安心して化粧品を使用していただけるように,安全性評価にかかわる独自の研究を進めてきている。本講座では,安全性評価にかかわる事項,すなわち化粧品におけるナノマテリアルの使用実態調査,化粧品のおもな曝露様式である経皮曝露に関連した皮膚上におけるナノマテリアルの存在状態の解析,経皮吸収性,経皮発がん性評価などについて,最も汎用されている酸化チタンを中心として,日本化粧品工業連合会における取り組みについて解説した。
最新表面科学講座(第II講)
  • 中島 章
    2012 年 85 巻 9 号 p. 389-394
    発行日: 2012/09/20
    公開日: 2012/12/20
    ジャーナル フリー
    固体表面は理想表面,規定表面,実表面に大別される。表面科学の実験上で基準になるのは規定表面であるが,実用的な表面機能の設計には,実表面の特徴が重要である。実表面は物質の化学組成,結合,結晶方位,結晶度等によりさまざまな構造の緩和や吸着が起こり,性質が変化する。本稿では構造や組成の観点から固体表面の特徴に関する基礎的な事項を概説し,無機,有機物質の実表面の特徴について述べる。
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