昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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60 巻, 1 号
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  • 安原 一
    2000 年 60 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 村山 純一郎
    2000 年 60 巻 1 号 p. 2-10
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 末木 博彦, 飯島 正文
    2000 年 60 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 秋山 敏夫
    2000 年 60 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 甲斐 研一, 若山 吉弘
    2000 年 60 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 島田 隆
    2000 年 60 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 第3報 ―1998年分離株の解析―
    福岡 清二, 和久田 梨香, 陳 戈林, 武田 憲三, 福地 邦彦
    2000 年 60 巻 1 号 p. 34-40
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    1998年11月teicoplanin臨床使用開始時のMRSAのin vitro抗菌薬感受性を解析した.1990年から1994年のデータと比較すると, piperacillinおよびimipenemには耐性化が進行したが, gentamicin, flomoxefでは感受性株の比率が増加した.carbapenem系薬剤のimipenem, panipenem, meropenemではMIC分布が異なり, panipenemの耐性株が27%と最も低率であった.すべての株が, minocycline, arbekacin, vancomycin, teicoplaninに感受性で, 92%の株がsulbactam/ampicillinに感受性であった.vancomycinとteicoplaninのMIC分布上, どちらもピークは0.025μg/mlであったが, vancomycinでは全例0.025μg/ml以下であったのに対し, teicoplaninでは1μg/ml以上の株が5株検出された.これらを直ちに耐性化準備状態とするものではないが, 今後の継続的な監視と耐性菌出現防止が望まれる.
  • 金 隆志
    2000 年 60 巻 1 号 p. 41-49
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    小児骨折のなかで小児上腕骨外顆骨折は観血的療法を要する事が多い疾患である.観血的内固定法として現在まで様々な方法が試みられているが, いまだ確立されたものはない.今回著者は当教室で治療を行なった小児上腕骨外顆骨折130例につき検討し80症例に予後調査を行なった.予後調査した80症例のうち観血的療法は35症例, 保存的療法は45症例であった.80症例のうち, 直接検診は51症例, アンケート調査は29症例であった.follow-up期間は最長17年3カ月, 最短4カ月, 平均4年3カ月であった.直接検診例で, 肘関節の可動域を測定し健側との比較をみると, 左右差なしが29症例 (56.9%) , 10°以内が18症例 (35.3%) , 11°以上が4症例 (7.8%) であった.レ線学的予後としてcarrying angle (上腕骨軸と前腕骨軸のなす角) を計測し, 健側との差を測定したところ51症例中35症例 (68.5%) にcarrying angleの変化を認めた.carrying angleの変化は, 保存的療法ではやや外反傾向 (1.5°) を示した, 観血的療法では内反傾向 (-1.5°) が認められた.他のレ線学的予後として, fish-tail deformityが6症例に, premature epiphyseal fusionが4症例に認められたが, これらはいずれも陳旧例, 高度転位例であった.日常生活動作 (以下ADLと略す) の障害は直接検診例, アンケート調査例においても認められなかった.力学的解析として内固定法に関し2次元光弾性実験法を用いた.実験モデルは当教室で行なわれている内固定法に準じて4つの方法, すなわち1) Kirschner-wire (以下K-wireと略す) 1本による水平固定, 2) K-wire 1本による斜固定, 3) K-wire 2本による固定, 4) Screw 1本による固定につき作製した.その結果, コントロール実験により骨折の発生機序は肘関節面の中央より始り外上方に向かうことが推定され, 各種固定法のモデル実験の周辺応力分布から小児上腕骨外顆骨折の内固定法としてScrew1本による固定に骨折片回旋防止用にK-wire1本を加えた方法が, 力学的, 臨床的にも有効であると考えられた.
  • 中西 俊郎
    2000 年 60 巻 1 号 p. 50-60
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    化膿性骨髄炎の治療における抗生物質混入骨セメントビーズ充填法の有用性, 安全性の解明と, 抗生物質至適混入量の設定, 抜去時期の決定など臨床応用の一助とする目的で基礎的な研究を行った.骨セメント10gに対して硫酸ジベカシン (DKB) 0g, 0.5g, 1gを混入した3種類の骨セメントビーズを作製し, ビーグル成犬の大腿骨骨髄内に挿入, その後ビーズを3日目, 1, 2, 4, 8, 16, 24週目に摘出した.摘出したビーズの溶出力価, ビーズ挿入後の血中濃度とビーズ周辺の瘢痕組織筋肉, 骨髄, 骨皮質のDKB濃度を経時的に測定し, あわせてこの周辺組織の経時的な組織学的変化を検討した.ビーズ挿入後の血中濃度は, 1gビーズでも3時間後に4.31μg/mlであり, DKB副作用出現危険値である12μg/mlを超えず, 3日以後は検出されなかった.組織学的検討では, ビーズのDKB含有量の違いによる組織学的反応の差異はなかった.DKB含有量の多いビーズを挿入しても, 全身的, 局所的な影響がないことがわかった.摘出ビーズの溶出力価は, 24週でもビーズ1個当り0.5gビーズで25.50μg, 1gビーズで515.1μgと高い溶出力価が残存されていた.周辺組織のDKB濃度は, 0.5g, 1gビーズともに, 瘢痕組織内で最も高く, 次に筋肉内, 骨髄内, 骨皮質内の順に検出された.ビーズの有効性を瘢痕組織内のDKB濃度を基準として検討した.0.5gビーズでは8週まで8.21μg/g, 1gビーズでは24週まで6.45μg/gとMICを超える有効なDKB濃度が検出された.1gビーズでは2週まで骨皮質内と海綿骨内に十分なDKB濃度が維持されていた.抗生物質至適混入量は副作用がなく, またより有効性が高いことから, DKBビーズ作製時に重合硬化が起こる最大混入量である1gとした.抜去時期は1gビーズであれば24週以内が妥当と考えた.以上のことより, 抗生物質混入骨セメントビーズ充填法は血中抗生物質濃度が低く, 局所抗生物質濃度は高いが組織変化は見られず安全性が高いこと, 溶出率, 溶出力価や組織内抗生物質濃度の経時的変化からin vivoでの有用性が高いことを解明するとともに, 至適混入量やビーズ抜去時期を明らかにした.
  • 石川 勝
    2000 年 60 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    矢状面, 冠状面での形態がX線の投影像により比較的に正確に把握されるのに対し関節の回旋や長管骨の捻転などの捻れの異常は隣接関節の変形の原因となる可能性があり, 自然矯正も期待できないにも関わらず計測が困難なため注目されることが少なかった.CTによる断面像からの計測が可能となった現在もその計測基準線となる横軸の設定が種々みられ計測値の比較を困難にしていた.このため下肢のCTによる鮮明な断面像を撮影, 作図し膝関節の回旋角, 脛骨の捻転角を測定した.特に脛骨中枢端では新しい横軸設定法を考案しその測定結果として膝関節外旋角9.20°±2.40°, 脛骨外捻角28.3°±6.21°を得た.この膝関節外旋角はscrew form movementの概念と一致した数値であり, 脛骨外捻角も従来の回転断層撮影などの方法での報告の数値内にあるものであった.健常肢20肢についてはCTによる脛骨後接線法と工藤による膝蓋靱帯内縁を採る方法 (工藤法) での計測値と比較, 検討した.その結果は膝関節外旋角では昭大法, 脛骨後接線法, 工藤法の順で約6°ずつ小さな値を得た.脛骨外捻角ではこの順に約6°ずつ大きな値を得た.これは膝関節から足関節までを一連としてみた場合にほぼ同じ数値の捻れを測定したと考えられる.またその時の標準偏差 (SD) はほぼ同程度ではあるが昭大法によるものが最も小さく精度の確認がおこなわれたと考えた.その後20肢を追加し40肢をcontrol群とし, 変形性膝関節症76肢 (以下OA群) の膝関節外旋角, 脛骨外捻角を測定, 比較した.またこれらの数値に影響すると考えられる年齢, 膝関節外側角と変形性膝関節症例では高橋分類との相関関係を調査した.膝関節外旋角ではcontrol群10.14°±3.29°, OA群8.29°±4.59°とOA群がやや低下していたがその有意差は認めなかった.脛骨外捻角はcontrol群23.4°±8.43°でこれに比べOA群は17.6°±6.94°と低下しておりその間には有意差を認めた, しかしcontrol群, OA群を10才ずつに分けてその脛骨外捻角を比較してみるとその間には有意差は認めなかった.またcontrol群で年齢と脛骨外捻角の相関関係をみると強い相関を認めた.OA群では年齢と脛骨外捻角には相関はほとんど認めなかった.このことから正常者では脛骨外捻角は年齢とともに減少し, 膝関節OA例では変化の大きい数値をとる場合が多いといえた.OAの進行度と膝関節外側角 (FTA) は強い相関関係を認めた.そのほかの膝外旋角, 脛骨外捻角, 年齢, FTA, 高橋分類では相関を認めなかった.
  • 山本 利春
    2000 年 60 巻 1 号 p. 69-79
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    従来より実施されている等速性筋力評価における欠点を補う新たな方法として, 各角速度における健常者の筋力の平均値を基準値とし, 基準値に対する割合で各筋力を評価する基準値比による評価法を考案した.本評価法を用い, 膝前十字靭帯 (以下ACLと略す) 再建術後のスポーツ選手25名を対象として, 競技復帰に至るまでの筋力回復の推移を経時的に評価した.基準値比の採用により, 各角速度における筋力回復度が評価尺度を一定にして明瞭に比較することが可能となった.追跡調査の結果, 各角速度とも運動機能レベルの改善に伴い筋力の回復がみられるものの, 全ての運動機能レベルに共通して角速度60度/秒における値が最も低く, 特に競技復帰時の筋力は他の測定速度に比べ, 10~28%の回復の遅れが認められた.これらのことから, 膝関節損傷後の筋力回復を等速性筋力で評価する場合には, 単一の速度のみでなく各速度における回復のバランスを評価することが有効であり, ACL損傷後のアスレティックリハビリテーションにおいて, 特に競技復帰時には, 角速度60度/秒における低速域の筋力回復不全の存在に留意する必要があることが示唆された.特定の速度域における特異的な筋力低下の原因には, アイソキネティックトレーニングの実施速度による影響や, 運動時の損傷膝の不安感残存による影響などが考えられる.
  • ―頚椎各種標準値の計測およびアラインメントの観察―
    滝 茂樹
    2000 年 60 巻 1 号 p. 80-92
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    小児頚椎X線計測標準値は様々なものが報告されているが, 脊柱管前後径はその報告が古く, ADI (環椎歯突起間距離) は小児の各年齢ごとの本邦報告例は今だにみない.また, Ranawat値は成人標準値はあるものの, 小児標準値はない.そこで正常小児440例のX線画像計測により, これらの標準値を得, 過去の報告との比較検討を行った.また脊柱アラインメントは, 正常姿勢を考える上で最も重要な要素であるが, これまで正常例で小児期より経年的にそのX線画像上の変化を観察した報告をみない.そこで同時にこの440例の小児期よりのX線画像の観察を通し, アラインメント異常の原因となる小児期での異常所見と, アラインメント異常に至る経年的変化の特徴を調査した.脊柱管前後径は, 今回の計測結果と過去の本邦における報告を比較したところ, 各レベルにおいて平均0.4~0.5mm程度の増大がみられた.これは日本人小児の骨格の発達によるものと推察された.またADIでは, 新たに日本人小児標準値が得られ, これにより各年齢ごとの環軸関節脱臼の指標が得られた.Ranawat値では.今回新たに小児標準値が得られ, 年齢および身長との間に正の相関関係があることがわかり, 身長により標準値を得る関係式, 男子: Y=4.8941+0.068468X, 女子: Y=5.4687+0.063426X [Y (cm) : Ranawat値, X (cm) : 身長] が得られた.全440例中21例, 4.7%に頚椎X線画像上, 矢状面アラインメントの異常を認め, その21例中18例, 86%に初診時のX線画像で, アラインメント異常に至る原因と考えられる異常所見を認めた.その所見の多くは椎体ring apophysis部より終板の異常や椎間のすべりであり, これらより, 正常例アラインメント異常に至る原因の多くは軽度の先天性の頚椎形成障害である可能性が示唆された.その発生頻度は今回のシリーズでは440例中18例, 4.1%と意外に高いことから, 頚椎成長期管理の重要性を認識すべきであると考えた.
  • 光谷 俊幸, 鈴木 孝夫, 岸本 浩次, 楯 玄秀
    2000 年 60 巻 1 号 p. 93-103
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    悪性リンパ腫における遺伝子異常が多く発見されている.我々は悪性リンパ腫の病態解析を目的とし, t (14; 18) によるbcl-2蛋白の過剰発現と, 17p欠失によって生じる変異型p53蛋白の発現, 更に細胞増殖能 (増殖細胞マーカーとしてPCNA, Ki-67を用いる) について免疫組織化学的およびPCR (polymerase chain reaction) 法により検討を行った.対象は当院における反応性リンパ節病変20例, 非ポジキンリンパ腫85例である.bcl-2蛋白の発現は濾胞性リンパ腫において高率で, 反応性病変の濾胞芽中心の細胞は全例陰性であった.したがってbcl-2は濾胞性リンパ腫と反応性病変との鑑別に有用なマーカーであった.増殖マーカーであるproliferating cell nuclear antigen (PCNA) , Ki-67, またp53遺伝子の異常による蛋白発現は非ポジキンリンパ腫の組織学的悪性度を反映する生物学的因子であると考えられた.
  • 石川 岳
    2000 年 60 巻 1 号 p. 104-119
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    3次元コンピユータ動作解折装置を用いてゴルフスイングを動作解析した.対象はプロゴルファー8名, アマチュアゴルファー10名である.方法はゴルフスイングを2方向からのビデオカメラ撮影を行い, それをもとに3次元コンピュータ動作解折を施行した.ゴルフスイングにおいては, 正確にかつ遠くヘボールを飛ばすといった, 2つの相反する目的を達成させなければならない.今回のプロとアマのゴルフスイングを動作解折し, 比較検討した結果は, アドレス地点とインパクト地点との重心の飛球線方向への移動距離が, プロ群平均9.5±4.5cm・初心者群平均3.2±6.0cmとプロの方が大きく体重移動をたくさん行っていた.また, 両肩甲帯と骨盤帯のバックスイング時の捻転もプロ群平均75±13.9°・アマ群平均61.4±10.2°とプロの方が有意に大きかった.これはパワーの蓄積と考えられる.また, 蓄積されたパワーを体重移動と共に下半身から肩甲帯へ, 肩甲帯から肘関節へ, 肘関節から手関節へと体幹から末梢へ運動連鎖を正しく行い, そのパワーをクラブヘッドに伝える事が重要である.そして, アドレス地点とインパクト地点の左膝角度は, プロではその差の平均は4.1±3.8°でアマは11.5±7.2°であった.インパクトの正確性を高める為には左膝の角度をアドレスと同等にする必要がある.また, インパクト時の肩甲帯の向きは, プロにおいて飛球線と平行に近いが, アマにおいてはその向きが一定せずボールに正対してインパクトを行っていなかった.これもインパクトの正確性を低くする原因であると考えられた.これらを実現させるには, 骨盤帯をしっかり固定する下肢筋力と, 肩甲帯を捻り上げる傍脊柱筋及び肩甲帯周囲筋の筋力増強が必要であり, 正しい運動連鎖と効率良く筋力を発揮できるタイミング作りが重要であると考えられた.
  • 岡田 新司, 橋野 正史, 盛本 太郎, 千葉 博, 高橋 亨正, 中山 徹也, 齋藤 裕, 矢内原 巧
    2000 年 60 巻 1 号 p. 120-127
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    Dehydroepiandrosterone-sulfate (DHA-S) は頚管熟化作用を有することから, 妊娠末期の頚管未熟婦人に対してDHA-Sの経静脈, 経腟投与が臨床応用されている.今回, 妊娠38-41週の初産婦で, 陣痛発来時にBishop scoreが4点以下の頚管未熟例に対しDHA-S (マイリス®) 50mgを2回カテーテルを用いて経頚管的に卵膜外に投与し, 分娩経過中の母体血中および分娩時羊水のDHA-S, estrone-S (E1-S) , estradiol (E2) およびprostaglandin (PG; bicyclo PGE2, DHK-PGF) 濃度の変動と卵膜phospholipase-A2 (PL-A2) 活性, 更に分娩所要時間に及ぼすDHA-Sの影響について検討した.1) 分娩所要時間はDHA-S投与群 (13.4±2.4時間, n=25, mean±S.D.) と対照群 (20.5±3.7時間, n=25, mean±S.D.) に比し有意 (p<0.01) の短縮がみられた.2) 血中および羊水中のステロイド, PG濃度の推移; DHA-S投与群の分娩経過中の血中DHA-S, E1-S, E2濃度はいずれも子宮口全開大時, 分娩時に有意 (p<0.01) な上昇を示した.羊水DHA-S濃度も有意に高値を示した.一方, PG濃度はDHA-S投与3時間後にDHK-PGFの一過性の有意な上昇を示した以外に, 両群に差は認めなかった.3) 卵膜PL-A2活性; 絨毛膜, 脱落膜の本酵素活性は両群に差を認めなかったが, 羊膜においてDHA-S投与群は有意な高値を示した.以上, 経静脈, 経腟投与で用いられる投与量より少量のDHA-Sの卵膜外投与により, 分娩所要時間が短縮することが示された.DHA-Sは羊膜PL-A2活性の亢進による遊離アラキドン酸の上昇を介したPG産生を増加させる可能性を示唆させるが, 血中PG値の分娩経過中の変動に差を認めなかったことより, DHA-S卵膜外投与における分娩促進効果は主に局所におけるPG作用と頚管熟化促進による可能性が示された.
  • 鹿山 富生
    2000 年 60 巻 1 号 p. 128-135
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    強力な骨吸収抑制作用を示すRisedronateを成熟家兎に投与して骨に対する薬理作用を明らかにし, 用量依存性を検討した.体重2.8~3.5kgの成熟日本白色家兎雌に3段階の濃度のRisedronate0.002mgP/kg-4羽, 0.01mgP/kg-4羽, 0.05mgP/kg-5羽を14日間連続皮下注射した.Control群 (生食) -5羽も1ml/kgで同様に投与した.骨標識として初日にカルセインを, 9日目にオキシテトラサイクリンを注射した.15日目に屠殺, 採血, 脛骨を摘出した.脛骨をMD法に準ずる方法で骨密度測定し, 次いで脛骨近位成長板下4.0mmの部でマイクロフォーカスCTにより海綿骨非破壊検査を行った.その後樹脂包埋ブロックから薄切標本と研磨標本を作製して位相差光と蛍光による近位metaphysisの組織学的検討を行った.血液は血清Ca, Pi, アルカリフォスファターゼ, 酒石酸抵抗性酸フォスファターゼを測定した.結果は近位, 遠位metaphysisとも用量依存的に骨密度の増加を認めた.特に近位metaphysisにおいてControl群と0.01mgP群および0.05mgP群で有意差を認めた.diaphysisでは0.002mgP群0.01mgP群で増加していたが0.05mgP群では逆に減少していた.マイクロフォーカスCTによる解析ではControl群に比べRisedronate群では著明な海綿骨骨梁の増加を認めた.海綿骨構造に関わるパラメータでは骨量, 骨梁幅, 骨量数などはRisedronate群で増加していた.特に0.01mgP群で高かった.逆に骨梁間間隙はControl群で著しく高値を示した.組織学的検討では位相差光でRisedronate群において骨梁の増加を認めた.またControl群では破骨細胞が数多く見られかつ骨梁骨に密に接して認められたのに対し, 0.01mgP群と0.05mgP群では破骨細胞はほとんど認められず, Risedronateは破骨細胞に直接作用し, その数と活性を抑制していると考えられた.蛍光観察においては2つの標識線の間隔が減少し, 骨梁の長軸的な形成が抑制されていることがわかった.血清Caは0.002mgP群と0.05mgP群間で有意差がみられた.Risedronateは骨形成も骨吸収も抑制されているが骨吸収のほうが強く抑制され, 結果として骨密度の増加をみている.またturnoverの速い海綿骨により強く作用することがわかった.
  • 瀬戸 浩之, 中村 誠, 洲崎 春海
    2000 年 60 巻 1 号 p. 136-140
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    50歳の男性で, 頸部皮下膿瘍を形成した非定形抗酸菌症の症例を報告した.1995年1月に特に誘因なく左頸部に難治性の皮下膿瘍が出現した.最初, 結核性リンパ節炎による頸部膿瘍と考え, イソニアジド (以下INHと略す) +リファンピシン (以下RFPと略す) の併用療法を行ったが, 無効であった.その後, 膿瘍の穿刺液の培養から非定型抗酸菌である, Mycobacterium fortuitum (以下, M. fortuitumと略す) が同定されたことから, ニューキノロン系抗菌薬であるレボフロキサシン (以下LVFXと略す) 300mg, スパルフロキサシン (以下SPFXと略す) 300mgの内服と局所の切開排膿処置を行うことにより, 瘢痕治癒した.
  • 神谷 憲太郎, 沢田 晃暢, 柏瀬 立尚, 角田 ゆう子, 草野 満夫
    2000 年 60 巻 1 号 p. 141-146
    発行日: 2000/02/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    妊娠中に発生する乳癌症例は日本において比較的希 (全乳癌症例の0.5%前後) であると言われているが, 今回特に妊娠中乳癌患者の腫瘍径の変化を画像にとらえることができた3例を経験したので報告する.当教室において, 過去5年間358例の乳癌手術症例中3例 (0.84%) に妊娠 (授乳期は除く) を合併した乳癌症例を経験した.この3例はともに妊娠後期の乳癌増大が著明であり, 超音波検査において画像上確認することができた.妊娠期に乳癌を増大させる原因としては様々なことが推測されているが, 明確には証明されていない.いままで, 妊娠期における乳癌の腫瘍径の増大時期を特定した報告はないため, 自験例に示した様に妊娠後期まで乳癌の腫瘤径の変化が少なければ, 妊娠期乳癌の治療法が大きく変わることも予想される.
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