看護学生のストレッサー及び, その変化に対するコーピングへの効果を検討するため, 関東地区の2校の短期大学生125名を対象にストレス認知とコーピング (対処) について3年間の調査を行った.その結果, 1年次に最も強いストレッサーは人間関係, 2年次においては学習関係, 3年次においては実習関係であった.ストレッサーに対する認知的評価では, すべてのストレッサーに対して「苦しい・疲れる」の占める割合が多かったが, 学習関係では3年間を通じて「イライラ・焦り」が最も多かった.コーピングの使用数と頻度については, 問題中心のコーピングは3年次に有意に増加したが, 情動中心のコーピングは1年次が最も高く, 問題中心と情動中心のコーピング共に2年次が最も低かった.コーピングの効果をみると, 学習関係と人間関係では1年次と2年次において問題中心コーピングが有効に働いており, 中でも, 直接行為に有意差が認められた.さらに, 2年次においては学習や人間関係について情報収集や認知的対処に有意差が認められた.しかし, 情動中心コーピングについては1年次において学習関係に対する直接行為と生活関係に対する認知的対処に有意差が認められただけであった.2年次においても情動中心コーピングでは学習関係および人間関係に対する認知的対処に有意差が認められただけであった.3年次においては対処の結果が有効に働くコーピングは少なく, 人間関係に対する認知的対処と実習関係に対する直接行為ならびに認知的対処のみであった.
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