昭和医学会雑誌
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42 巻, 2 号
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  • 第1編: 臨床的・生体力学的研究
    扇内 幹夫
    1982 年 42 巻 2 号 p. 149-162
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    人工股関節全置換術後6ヵ月から10年の経過例54例62関節について, 臨床的, X線学的に検索を行なった.また, 著者の考案した股関節合力測定法を用いて生体力学的な観点から検討を行ない次の結果をえた.1) 当科で施行したTHR例の10年間の成績 (主にCharnley-M霍ller型) は, 優および良 (80点以上) が74%と必ずしも満足する結果ではなかったが, 少なくとも除痛効果の点で従来の治療法よりもはるかに満足すべきものであった.2) 成績は術後2年目まで良好で一定の成績をうることができるが, 2年目以降から低下の傾向が認められる.この一因として, 股関節のectopicboneおよび遊離骨片が関与すると考えられる例があった.3) 術後合併症は18%に発生をみた.その内訳は, 人工骨頭脱臼2例 (3%) , 深部感染2例 (3%) , 人工骨頭のゆるみ2例 (3%) , 人工臼蓋のゆるみ3例 (5%) である.4) 著者の考案した股関節合力測定法は, 骨頭中心から体中心線への垂線aと, 水平軸と70°角をなし大転子に接する接線への垂線bを求め, 合力R=a/b+1としたも瓜他の方法とも誤差は少なく極めて蔽な方激術前術後のX纐評価には, 有効な方法である.これにより臨床成績を検討したところ, 成績の優劣とは相関がなく, 股外反位, 内反位のPrsothesis挿入とも相関はみられなかった.5) 臼蓋形成不全性変股症 (21関節) の臼蓋部2点の厚さを計測した結果, 寛骨臼窩部は正常女性の2倍の厚みがある.また, 臼底内側壁が肥厚しているdouble acetabular floorが, 21関節中9関節 (43%) に存在した.6) ある程度の臼蓋形成不全性変股症は骨盤内板近くまで掘削すれば, 合力は小さくなり, ほぼ理想的なsocketの設置が可能であった.しかし, RA股には深い掘削は適用すべきでない.7) THR後の大転子部骨萎縮は76%に認められる.これは外転筋の作用不全が重要な因子と考えられた.THR後の外転筋力の改善のための後療法は長期的に行なうことが重要である.
  • 第2編 光弾性学的・形態学的研究
    扇内 幹夫
    1982 年 42 巻 2 号 p. 163-173
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    人工股関節全置換術 (THR) 施行後の合併症をいかに最小限にすることができるかを究明するため, DAP板とEpoxy板を用い股関節部モデルを作製し, 二次元光弾性実験を行ない, また屍体骨盤より腸骨の前額面と矢状面の切片を作り軟X線装置にて骨梁を調べ, 力学的, 構築学的検討をし次の結果をえた.1) 寛骨臼部における応力集中位置は, 股関節の内, 外転および頸体角が変化してもほぼ同じ位置にある.これは躯幹が如何なる状態でも寛骨臼部の荷重位置に変化がないことであり, socketの摩耗部は限局されるものと考える.2) 股関節外転筋が作用すれば股関節応力は増加し, 応力は仙腸関節下部に向う.3) 寛骨臼部の骨梁構造は, 外転筋非作用群と作用群の合体した主応力線図とよく一致することから, 骨梁は主応力によって生じるという主応力説に賛同する.4) 寛骨臼部の主荷重部は, 前額面で寛骨臼窩から外側縁まで, 矢状面で前・中・後に分け, 中1/3であると考えられ, その部の軟骨下骨組織は密であった.骨梁構造に強く影響を及ぼしている要因として前額面では, 股関節の内, 外転の動きよりも, 圧迫が主であり, 矢状面では圧迫よりも, 股関節の屈曲, 伸展運動が主であると考えられた.5) Stemの轡曲の強い人工骨頭の股内反位挿入はstemの疲労折損を招く結果となる.Prosthesisを股外反位に挿入することが折損の予防対策の一つであり, 今後セメントを含めたstemの形態からの研究が残されている.6) 挿入される臼蓋, 骨頭は, 生力学的に形成された骨梁に対して適合された位置に置換されることが支持性の改善を得, 100seningの発生を少なくするものと考える.
  • 小野 真理子, 川口 紀子
    1982 年 42 巻 2 号 p. 175-191
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    -SH基特異螢光試薬N- (7-dimethyl-amino-4-methylcoumarinyl) maleimide (DACM) を用いた小川らの方法で, Pilomatrixoma (7例) と若干の角化症ならびに角化性腫瘍など計18例について-SH基, S-S結合の分布と挙動を観察し, 光顕所見と比較検討し, 次のような結果を得た.1) Pilomatrixoma i) 病理組織像で毛球部の組織構築に似た所見, 表皮嚢腫様変化, 脂腺細胞様変化, 角球などが確認された.ii) DACM染色螢光所見では-SH基は移行細胞帯に (〓) , 好塩基性細胞, 陰影細胞はともに (-) で, 一方S-S結合では陰影細胞に (〓) , 移行細胞帯は (〓) ~ (-) , 好塩基性細胞は (-) の所見であり, 表皮細胞の角化形成と異つていた.iii) 以上の病理組織像, DACM染色所見によると, 本症の腫瘍実質細胞は角化傾向をもち, 毛母細胞あるいはprimary epithelial germ cellないしimmature pluripotential cellを発生母地とし, immature haircortex cellへの分化を示すという見解が適切であると考えた.2) Trichilemmomaの-SH基染色は澄明細胞が (±) , 胞巣辺縁のbasaloid cellは (〓) の螢光が認められ, S-S結合染色では両者ともに陰性であった.従ってtrichilemmal keratinizationは表皮ならびに毛と内毛根鞘の角化とは異ることが支持された.3) Pilar cystとEpidermal cystの嚢腫壁, 嚢腫内容はともに正常表皮と同様のDACM染色所見を呈したが, Pilar cystでは-SH基強陽性を示すkeratogenous zoneがみられなかったので, この角化は特異な角化と考えた.4) 有棘細胞癌, Keratoacanthomaなどの角化傾向の強い腫瘍細胞は-SH基染色で細胞質, 核に螢光が認められ, 細胞質における-SH基に富む蛋白のoverproductionが示唆された.一方S-S結合染色では角質真珠, 個細胞角化部位に強い螢光がみられた.5) Hyperkeratosis lenticularis perstansでは顆粒細胞, 角質細胞の細胞質に-SH基の螢光がみられ, 顆粒細胞において-SH基に富む蛋白が大量に生じ, しかも酸化されないということが推察された.皮角でも同様の所見が得られた.6) Darier病においては, -SH基は角層から顆粒層の細胞膜に認められ, 一部の角質細胞, 棘融解細胞の細胞質にも認められた.またS-S結合は, 角質細胞膜, 棘融解細胞膜, corps rondに認められた.7) 治療前の乾癬で, 錯角化の強いものでは治療中の乾癬に比較して, 顆粒層から角層に-SH基が豊富である所見が観察できた.8) 以上, 小川らのDACM染色法は従来のnitroprusside法やBarrnett-Seligman法に比較して, -SH基特異性が極めて高く, 反応速度が早く容易に褪色せず, 操作が簡単で組織の損傷が少ないなどの利点があり, 現在のところ表皮の分化 (角化) と異化 (異常角化) を検索する上で最も簡便で推奨される組織化学的方法の1つであると言える.
  • 村田 譲治
    1982 年 42 巻 2 号 p. 193-206
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    人寄生性菌 (anthropophilic dermatophyte) であるEpidermophyton floccosumを用いて, 各種の動物接種実験を行い, 次の結果を得た.1) Hair baiting法によると, 人毛のみならず, 馬毛, モルモットの被毛にもよく発育したが, 毛幹には絡みつくだけで, 毛幹内に侵入する像はなかった.Nail baiting法でも人の爪によく発育した.このことはin vitroでは硬ケラチンにも腐生的に寄生することを示すものである.2) 接種した菌株については, 人から分離後日の浅い菌を液体振盪培養した菌株の方が寒天培地上に静置培養しておいた菌株より好結果が得られた.振盪培養では静置培養よりも総脂質の増加が少なく, また, 菌糸のみが集塊を形成し, 分生子を生じないことが好結果の原因と考えた.3) 幼若と成熟モルモットの接種実験では, 病勢の極期は成熟モルモットでは接種後12日目, 幼若モルモットでは接種後10日目であり, 接種後21日目では成熟モルモットの方が幼若モルモットより自然治癒しているものが多く, 成熟モルモットは感染し難く, 且つ感染するが早く治癒することが認められた.対照として行ったzoophilic dermatophyteであるArthoderma vanbreuseghemiiはanthropophilic dermatophyteであるEpidermophyton floccosumより感染力は強く, また被毛を侵すが, geophilic dermatophyteであるArthroderma uncinatumは感染性はなかった.4) 菌数では106コ/ml以上で感染が成立したが, 104コ/ml以下では感染が成立せず, 境界値は105コ/mlであると考えた.5) 犬に対する接種実験では, 犬はモルモットより病原性が強かった.Epidermophyton floccosumが犬より分離同定された報告があり, 犬に対する病原性の程度はより強いと考えた.以上, Epidermophyton floccosumはanthropophilicであるが動物にも条件によって寄生し得ることを確かめた.その際の条件として, 菌株は人から分離後日の浅い新鮮株が好ましく, 菌の調整は液体振盪培養菌の方が寒天培地上の静置培養菌より優れ, 菌数は105コ/mlの菌糸懸濁液より以上の濃度のものが必要であり, 動物はモルモットより犬によく接種せしめ得る.
  • 石橋 芳男
    1982 年 42 巻 2 号 p. 207-218
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    高脂血症家兎において, 黄色腫発症前に臨床的に脱毛現象が認められているが, その発現機序は不明である.そこで実験Iとして, 脱毛現象を確認する為に, 1日10gのラノリンを白色家兎に14週間連日経口投与した.約10~12週にて臨床的に脱毛現象を認め, 同部位の皮膚生検にて, 黄色腫細胞を多数確認, さらに電顕的に休止期毛を観察した.実IIとして, 5%コレステロールおよび3%綿実油を添加した固形飼料を1日200gずつ10週間連日経口投与し, 定期的に採血し, 血清脂質値の測定を行い, また定期的に皮膚生検を行って光顕的, 電顕的に観察を行った.その結果, 血清脂質値の変動からは, WHO分類のIIbに近い脂質代謝障害と考えた.光顕的には真皮の泡沫細胞の浸潤, 増加に伴って移行期毛, 休止期毛が散見されるようになった.また臨床的に脱毛現象が確認された部位のトリコグラム所見では, 大部分が休止期毛であった.電顕的には毛細管内皮の胞飲小胞の存在, 内皮内の脂質滴の存在, 内皮接合部よりの脂質滴流出を思わせる所見より, 黄色腫の脂質は血中脂質に由来し, 血管内皮にとりこまれてから周皮細胞, 組織球にとりこまれる他に, 内皮接合部すなわち内皮細胞間を通ってとりこまれる機序もあると考えた.また線維芽細胞内にも脂質滴が存在し, 黄色腫組織内では線維芽細胞にも貪食能をもつことを確認した.さらに実験後期の毛包下部では内毛根鞘に脂質滴を思わせる所見があり, 毛包上部では毛皮質, 毛小皮, 鞘小皮, ハックスレ-層, さらに外毛根鞘に多数の変性, 空胞化した糸粒体が認められた.以上の所見より毛包の脂質代謝不全をきたしてくることから毛母が細胞分裂, 増殖能力を失い, 成長期毛が休止期毛にはやく移行する, すなわち黄色腫における脱毛現象は休止期性脱毛による機序で生ずると考えた.
  • 里見 至
    1982 年 42 巻 2 号 p. 219-233
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    最近, 固定組織標本について, 組織内浸潤リンパ球のT・B subpopulation分類が可能な染色法 (α-naphtyl acetate esterase: ANAE染色法) が開発された.筆者はSchlakeらの方法によりパラフィン包埋し, Horwitzらの方法により染色し, 皮膚組織内浸潤リンパ球の解析を試みた.この方法は反応時間が短かくてすみ, 鮮明な染色標本が得られる, という利点をもっている.対象疾患として, 老人性疣贅30例・30個, その他良性疾患22例, 悪性疾患20例, の皮膚組織片についてANAE染色を施行した. (1) 予備実験として, 末梢血標本について同染色法を施行し, 染色所見からT・T′・B・M patternが認められることを確認した. (2) 次いで, E-Rosette形成リンパ球はTpatternを示し, EAC-Rosette形成リンパ球はBpatternを示すことを確認した. (3) 老人性疣贅33個中, hyperkeratotictype12個とirritated seborrheic keratosis3個では, T patternを示すリンパ球が過半数を占め, acanthotic type 16個とadenoid type2個はB patternを示すリンパ球が過半数を占めていた.Tpatternを示すリンパ球については4型ともに近似した値を示した. (4) 悪性疾患ではほとんどの例がTpattern優位を示し, 特に治療前のcutaneous T cell lymphomaでは, 浸潤リンパ球の75%がTpatternであった.さらに, 表皮内浸潤リンパ球ならびに表皮に近いリンパ球ほどT patternが多い, という所見が得られた.治療後の同症では, リンパ球自体がほとんど消失し, 残存するリンパ球はBpattern優位を呈していた. (5) 良性疾患22例の平均では, 浸潤リンパ球の過半数がBpatternを示し, 良性皮膚腫瘍である老人性疣贅30例・33個の平均と近似していた.しかし, 良性疾患のなかでも, 顔面播種状粟粒性狼瘡はTpattern優位であり, それに反して環状肉芽腫では極端なB pattern優位を示した. (6) ANAE染色法では, すべてのTcellがTpatternを示すのではなく, helperTcellのみがTpatternを示す, との報告があり, また, false negativeの存在のため, 実際のTcellと思われるリンパ球の%は, すべての疾患において低値に表現されていると思われる.また, 各patternについての判断は難かしい場合があり, 各疾患の浸潤リンパ球の割合を%で表現することは, なお多少の難点があると思われる.皮膚疾患を良性疾患と悪性疾患に大別すると, 一般に良性疾患ではBpattern優位, 悪性疾患ではTpattern優位, との結論が導かれたが, これは先人たちの報告と一致している.ANAE染色法は, まだ本邦では一般化されておらず, 今後検索すべき問題点を残してはいるが, 皮膚組織切片において, 浸潤リンパ球のT・B cellの分布, 局在を知るうえで有用な手段であると考える.
  • ―プレホステルの位置づけと治療効果について―
    大賀 哲夫, 井口 喬, 遠山 哲夫, 中川 之子, 大村 照子, 佐野 和弘, 横山 ひで子
    1982 年 42 巻 2 号 p. 235-247
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    慢性欠陥分裂病のリハビリテーションについては従来から多くの試みがされているが, 今日なお大幅な成果は得られていない.われわれの病院で1979年9月末, 10年以上にわたって診療を続けている慢性分裂病者は501名になる.このうち従来のリハ活動では退院できなかった者の中から25名 (男6, 女19) を選び, 病院に隣接するプレホステル (以下P・Hと略記) に一時期入居させ, 社会復帰へ向けて強力な働きかけや日常社会生活面での訓練を実施した結果, 次の成果を得た.1.訓練の結果退院して1年以上就労中の者が14名あり, これを成功群とし, 調査時点で未だ退居できないかあるいは元の病棟に戻った11名を不成功群として抽出した.2.P・Hは医学と福祉的ケアを含むアフター・ケアの接点あるいは重なる所として, 複雑でデリケートな配慮が必要である.入居者は医療法上では入院患者であるが, P・Hでの処遇は殆ど自立生活で, いわゆる病院の雰囲気は極力排除した状態にある.3.われわれの言う社会生活能力評価スケールによると, P・Hを経過することにより, 社会生活能力はいわゆる成功群で大幅に改善されることを確認した.不成功群でも若干の改善があったことは注目に値する.4.成功例のP・H平均入居期間は7.7月であり, 共同住宅入居例は平均7.0月の短期間でもよい結果の得られることが分った.5.P・Hでの訓練後に, 大幅に改善された能力は, 空間利用能力1.58>消費生活能力1.42>時間配分能力1.31>役割遂行能力1.00>生活関係能力0.88の順位であった.6.P・H設立前1年間に従来のナイト・ホスピタル実施後に退院した31名とP・H経過での成功群14名の退院後の社会適応期間を比較した結果, 前者では比較的早期に不適応や再入院になる者が多く, 後者は明らかに社会適応期間が長期に至る結果を得た.7.一部の長期在院の慢性分裂病者はこのように病院内P・Hから共同住宅, さらに地域のアパートへ移行し, いわゆるコミュニティ・ケアの対象となり得るものと考える.以上のように, 働きかけや環境の変化を考慮したプレホステルでの効果は現時点では明らかに認められることを確認した.しかしわれわれのプレホステル運営の経験はまだ数年に満たないものであり, 成功例についての観察も長期にわたっているとは言い難く, 更に今後の状況を追跡する必要があると考える.
  • 塚原 哲夫, 森 義明, 上村 正吉
    1982 年 42 巻 2 号 p. 249-252
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    アメリカリウマチ協会の診断基準による, definite及びclassicalRA患者, 男1名, 女27名計28名54足に対し, レ線上の骨変化, 変形を検討した.骨萎縮は第1趾IP関節87%, 第2, 3趾IP関節62.9%, 第4, 5趾IP関節68.5%, 第1趾MP関節53.7%, 第2, 3趾MP関節70.4%, 第4, 5趾MP関節88.9%に認めた.骨破壊は, 第1趾IP関節27.8%, 第2, 3趾IP関節12.9%, 第4, 5趾IP関節7.4%, 第1趾MP関節44.4%, 第2, 3趾MP関節50.0%, 第4, 5趾MP関節55.5%に認めた.強直は少なく, 第1趾MP関節に1足認めるのみだった.扁平足は55%に, 外反母趾は35.2%に, 開張足は50%に, 槌趾鷲趾変形は32%に認めた.
  • ―婦人科開腹術の検討―
    外丸 輝明, 武田 昭平, 香川 豊明, 中井 久美子, 小沢 啓子, 小堀 正雄, 沼尻 康男, 吉田 和政
    1982 年 42 巻 2 号 p. 253-258
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    背麻下で行われる婦人科開腹術50例に対し脊麻実施時に脊麻薬にモルフィン0.5mgを混じてクモ膜下腔に注入し, その効果・合併症を脊麻薬のみの25例と比較検討し, 次の結果を得た. (1) モルフィン注入群では術中良好な鎮静が得られ, 非注入群に比し鎮静薬使用量は少なかった. (2) モルフィン注入群では鎮痛処置を行うまでの時間が20時間以上の症例が84%もあったが, 非注入群では5時間までに48%, 10時間までに84%が鎮痛処置を行った. (3) モルフィン注入群では50%が鎮痛処置を必要とせず, 36%はインドメサシン坐薬のみで充分であった.非注入群では96%が鎮痛処置を行い, 88%がペンタゾシンを必要とした. (4) モルフィン注入群の合併症では, 処置を必要とする呼吸抑制を示した例はなく, 排ガス遅延も認められず, 悪心・嘔吐, 頭痛も増加傾向はなく, 尿閉については第3病日までカテーテルを留置することで対処できた.
  • 北村 公博, 浅野 洋治, 長谷川 洋, 友安 茂, 鶴岡 延熹, 清水 盈行
    1982 年 42 巻 2 号 p. 259-263
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    Di. Guglielmo症候群とrefractory sideroblastic anemiaの関連性について興味ある症例を経験したので報告した.refractory sideroblastic anemiaからDi. Guglielmo症候群へ移行する症例が数多く報告されるに至り, その共通性に関し, 血液幹細胞異常, 染色体異常, 酵素欠損などの面で注目されており, Dameshekは, refractory sideroblastic anemiaは, Di. Guglielmo症候群のvariantと考えている.本症例は最初から, この両疾患の性格を有しており, 両者の中間型として発症した可能性のある興味ある症例で, Dameshekの説を裏付ける一例であると考えられる.
  • 佐野 元春, 香川 宗也, 浅野 洋治, 布上 直和, 鶴岡 延熹, 清水 盈行, 末木 博彦, 橋本 謙, 塩川 章, 杉山 善彦, 田代 ...
    1982 年 42 巻 2 号 p. 265-270
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    75歳, 主婦.3年前より持続する全身の〓痒を伴う発疹のため当科入院.入院時理学所見で, 全身の〓痒を伴う丘疹と四肢末端の壊死を認めた.脾, 表在リンパ節は触知されない.白血球数は38, 300/cmm.血液像で88%のリンパ球様異常細胞を認めた.異常細胞はPHA, ConAに対する反応陰性であったが, FcγRを認めT細胞と考えられた.リンパ管造影で深在リンパ節の腫脹を認めた.異常細胞の電顕所見は, クロマチンの分布は均一であり, 核の形態は, 脳回転状で, S陬zarycellに類似していた.皮膚生検では, 異常細胞の皮膚浸潤を認めた. vincristine, procarbazine, cyclophosphamideによる多剤療法により著効を示したが, 55病日で肺炎を併発し死亡.剖検で, 肺, 副腎, 卵巣にCytomegaro virusの封入体を認めた.しかし, 皮膚, リンパ節, 骨髄に, 異常細胞の浸潤は認められなかった.本症例は, 下記の点よりT細胞リンパ腫と診断された. (1) 系統的な表在リンパ節の腫脹がないこと. (2) 骨髄の浸潤が認められたこと. (3) 発疹が, S陬zary syndromeに特徴的な皮疹でないこと. (4) 異常細胞にFcrRを認めたこと.T celllymphoma, Adult T cell leukemia, S陬zary syndrome, Mycosis fungoides等は, 臨床像で多少の差異があるが, それらは, T cell malignancyとして, 一つの疾患概念に包含される.多彩な皮膚病変がT cell malignancyの多くの症例に報告されて来たが, 四肢末端の壊死が認められた症例は稀である.四肢末端の壊死は, 異常細胞が血管壁およびその周囲組織に浸潤し, 循環障害をきたした結果であると推察される.
  • 梶山 浩, 九島 已樹, 塩川 章, 光谷 俊幸, 風間 和男, 田代 浩二, 殿岡 まみゆ, 和田 育穂, 川島 育夫, 坂下 光明, 安 ...
    1982 年 42 巻 2 号 p. 271-279
    発行日: 1982/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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