余は種々の血糖測定方法中藤田・岩竹氏法の優れる點た強調し且つ該法のFeiri試藥の調製に武田製第二・第三燐酸加里を使用せる場合と
Kahlbaum製品を使用せる場合この差違竝びに健康小兒24例, 成人46例に就て食後3時間より6時間の間に測定せる空腹時血糖量及び採血時間と條件を一定にして朝食前空腹時に測定せる健康者28例に就て實験せり, その成績中北要なるものを摘録すれば次の如し,
1.武田制品を使用せる健康者22例の空腹時血糖量平均値は62mg%にして
Kahlbaum製品を使用せる健康緒70例の空腹時血糖量兵均値91mg%に上化較して32%の低値を示せり.
2.武田製第二・第三燐酸加里を其儘使用せる時は測定値は眞値より19%乃至44.2%少くなく, 可檢材料により不定の値を示したり.
3.Ferri試藥の調製に武田製第二・第三燐酸加里を使用して眞の血糖量を測定せんとする時は試藥に苛性加里を加へてそのアルカリ度を大にしPH約11以上にすることを要す.
4.採血後直に除蛋白し, 氷室に十數時間放置したる後, 測定するも糖減少微量にして臨牀上差支へなし.
5.小兒健康者空腹時血糖量は最高120mg%, 最低55mg%, 平均87mg%を示せり.
6.成人健康諸空腹時血糖量は最高147mg%, 最低72mg%にして平均92mg%を示せり.
7.小兒成人健康者空腹時血糖量70例の總平均櫨は91mg%なり,
8.男女間に於ける空腹時血糖量は一般に大なる差な認めず.
9.血糖の年齡的關係に於て, 成人.は小兒より平均値に於て5mg%高値を示せり.
10.健康者の朝食前空腹時血糖量は最高96mg%, 最低61mg%にして平均74mg%を示せり.
11.健康苦の朝食前空腹時血糖量は個人的差少く且つ平均値は低値を示せり.余は血糖測定値の動搖少なぎ朝食前空腹痔を選び採血し測定に供せられん事な望むものなり.
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