昭和医学会雑誌
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64 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 澁谷 誠二, 高橋 丈二, 宇那木 晶彦, 自見 隆弘, 若山 吉弘
    2004 年 64 巻 6 号 p. 489-493
    発行日: 2004/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    多発性の脳血管障害病巣のある高齢患者では軽微な場合も含めて, 高率に嚥下障害が認められる.これらの患者では経過中に嚥下性肺炎を生じる割合が高く, 経鼻経管栄養導入のきっかけになることも多く, 寝たきりの要因にもなりやすい.脳血管障害高齢患者に伴う嚥下性肺炎予防対策として, 栄養, 介護面での配慮, 薬物療法は有効であるが, 脳梗塞再発予防を優先することが重要である.
  • 神山 一行, 川手 信行, 水間 正澄
    2004 年 64 巻 6 号 p. 494-498
    発行日: 2004/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    今回我々は, 筋疲労による筋硬度の変化を明らかにするため, 手関節背屈―掌屈運動負荷時および負荷後の長橈側手根伸筋部の筋硬度の変化を筋硬度計を用いて測定し検討した.健常男性10例 (年齢23~36歳: 平均29.9±4.4歳) を対象とした.非利き手に1kgのダンベルによって負荷をかけながら, 手関節背屈―掌屈を1秒間に2回の頻度で行わせ, 背屈位から背屈位に戻るまでを1回の負荷とした.初回は10回負荷を行い, 30秒間休憩.その後「30回負荷・30秒間休憩」を1セットとし, 5セットの運動を行った.筋硬度測定は, 運動負荷前, 各セット終了直後 (10回・40回・70回・100回・130回・160回) と全負荷終了後 (1分・3分・5分・10分・15分) に, それぞれ長橈側手根伸筋の筋腹上で, 筋硬度計を用いて測定した.運動負荷前の筋硬度を1とした時, 運動負荷時の筋硬度の平均相対値は, 負荷10回1.06, 40回1.11, 70回1.15, 100回1.19, 130回1.23, 160回1.25と増加した.運動負荷後休息時の筋硬度の平均相対値は1分1.17, 3分1.09, 5分1.06, 10分1.01, 15分0.99となり, 運動負荷時には10回を除いて運動負荷前と比較し有意に筋硬度の上昇を認め, 運動負荷後安静時には1分後を除いて有意に筋硬度の低下を認めた.筋硬度の変化に筋疲労の関与が考えられ, 筋硬度計を用いた筋硬度の客観的評価は, 筋疲労の指標のひとつとして有用であると考えられた.また, 簡易に筋硬度を評価するひとつの手段としての有用性が示唆された.
  • ―同一患者における保存期・透析導入後の変化―
    伊與田 雅之, 黒木 亜紀, 杉崎 徹三
    2004 年 64 巻 6 号 p. 499-506
    発行日: 2004/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    末期腎不全患者における免疫不全状態を検討するため末梢血リンパ球サブセット, サイトカイン発現レベルを測定した.対象は, 保存期慢性腎不全患者 (ND群) 14名, 血液透析導入1年後の同一患者 (HD群) 14名, 年齢を一致させた健常者 (NC群) 16名である.方法は, 末梢血リンパ球を分離し, Flow cytometryを用いてCD3, CD19, CD4, CD8, CD56, CD28, CD80を解析した.また, 末梢血単核球からRNAを抽出しIFNγ, IL-4, IL-10, IL-12の発現をreal-time RT-PCR法にて検討した.その結果, 1) 末梢血リンパ球数CD3+T細胞数, CD19-B細胞数CD4-T細胞数はND群, HD群で有意に低下していた.2) 3群間の各細胞比率に有意差は認めなかった.3) HD群はND群と比較して, CD28+T細胞比率は有意に上昇, CD80-B細胞比率は有意に低下していた.HD群, NC群間に有意差は認めなかった.4) IFN-γmRNAは3群間に有意差なし, HD群でIL-4mRNAは有意に低下, IL-10mRNA, IL-12mRNAは有意に上昇, 特にIL-10mRNAの上昇は顕著であった.以上のように我々は透析導入1年後の免疫機能を同一患者で評価することで, より明確に透析導入前後の免疫不全状態を比較検討し得た.その結果, 保存期慢性腎不全患者においてはT細胞数, B細胞数双方の減少を伴ったリンパ球減少症と共刺激反応の障害を認めた.血液透析により, それらの障害はある程度改善されるが, 新たにサイトカインの異常をきたし, 保存期とは異なった免疫異常をきたすことが考えられた.
  • 内田 潤一, 杉崎 徹三, 戸塚 大輔
    2004 年 64 巻 6 号 p. 507-512
    発行日: 2004/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    後腹膜線維症は原因不明の尿管や後腹膜臓器を侵襲する比較的稀な疾患とされてきたが, 近年様々な診断および治療法が報告されている.治療法は外科的療法とステロイドによる内服療法の二つに大別される.今回, 我々は当院で原発性, および続発性の2症例の後腹膜線維症に続発し, 水腎症による腎後性の急性腎不全症例に対して比較的少量のステロイド療法で改善した症例を経験したので報告する.
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