ラットの尾逃避反応で検した針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) 及び0.5mg/kgモルヒネの腹腔内投与による鎮痛 (モルヒネ鎮痛) , 及び中脳中心灰白質背側部刺激による鎮痛 (d-PAG-SPA) は視床正中中心核 (1-CM) の局所破壊によって増大した.針鎮痛の求心路のうち, d-PAG, 視床下部前部の破壊や脳下垂体の除去で出現しなくなった鎮痛は1-CM破壊後も消失したままであったが, 視床下部後部, 外側部, 中隔核外側部, 手綱核・脚間核路, CM核内側部などの破壊で消失した鎮痛は, 1-CM破壊後再び対照の値以上に出現する様になり, 鎮痛発現系には1-CMの抑制をうけている系 (R
1) とうけていない系 (R
2) の径路が存在することが明らかになった.R
2が破壊されている時は針, モルヒネ鎮痛, d-PAG-SPAは1-CMの電気刺激によって完全に, R
1, R
2が存在している時は部分的に抑制された.視床下部後部にも1-CMと同様の性質を示す部位が見出され, 相互の刺激で誘発電位が記録された.
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