昭和医学会雑誌
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41 巻, 6 号
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  • 小堀 正雄, 米良 仁志, 武重 千冬
    1981 年41 巻6 号 p. 619-628
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    ラットの尾逃避反応で検した針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) 及びモルヒネ0.5mg/kg腹腔内投与で現われる鎮痛は一側性の中脳中心灰白質背側部 (d-PAG) , 視床下部前部 (AH) , 後部 (PH) , 外側部 (LH) , 中隔核外側部 (1-SP) , 帯状束 (CB) , 海馬背側部 (d-HPC) , 手綱核一脚間核路 (HP) , 視床正中中心核内側部 (m-CM) などの破壊及び脳下垂体の除去で完全に出現しなくなった.また脳下垂体以外の上記の部位の刺激によって刺激終了後も長く持続する鎮痛が出現し, この鎮痛はナロキソンで完全に拮抗された.またこれらの部位には針麻酔の刺激 (針刺激) によって誘発電位が出現した.d-PAGの刺激によって現われる鎮痛 (d-PAG-SPA) はAH, 1-SP, CB, d-HPC, m-CM, HPの破壊及び脳下垂体の除去で出現しなくなり, またHPの破壊でl-SPの刺激で現われる鎮痛 (SPA) d-HPC-SPA, m-CM-SPAが出現しなくなった.AH-SPAは脳下垂体の除去で出現しなくなった.以上から, d-PAGから脳下垂体に到る針鎮痛の求心路が明らかとなった.
  • 米良 仁志, 小堀 正雄, 武重 千冬
    1981 年41 巻6 号 p. 629-640
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラットの尾逃避反応で検した針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) 及び0.5mg/kgモルヒネの腹腔内投与による鎮痛 (モルヒネ鎮痛) , 及び中脳中心灰白質背側部刺激による鎮痛 (d-PAG-SPA) は視床正中中心核 (1-CM) の局所破壊によって増大した.針鎮痛の求心路のうち, d-PAG, 視床下部前部の破壊や脳下垂体の除去で出現しなくなった鎮痛は1-CM破壊後も消失したままであったが, 視床下部後部, 外側部, 中隔核外側部, 手綱核・脚間核路, CM核内側部などの破壊で消失した鎮痛は, 1-CM破壊後再び対照の値以上に出現する様になり, 鎮痛発現系には1-CMの抑制をうけている系 (R1) とうけていない系 (R2) の径路が存在することが明らかになった.R2が破壊されている時は針, モルヒネ鎮痛, d-PAG-SPAは1-CMの電気刺激によって完全に, R1, R2が存在している時は部分的に抑制された.視床下部後部にも1-CMと同様の性質を示す部位が見出され, 相互の刺激で誘発電位が記録された.
  • 米良 仁志, 小堀 正雄, 武重 千冬
    1981 年41 巻6 号 p. 641-645
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) , 0.5mg/kgモルヒネ鎮痛 (モルヒネ鎮痛) の抑制系であるラットの視床正中中心核外側部 (1-CM) とモルヒネ耐性との関係を検した.針鎮痛有効群の針, モルヒネ鎮痛はモルヒネの大量 (初日50mg/kg, 以後100mg/kg 12日間連続投与) 投与によって耐性が形成され出現しなくなる.13日目にモルヒネの投与を止め, 同時に1-CMを電極挿入によって破壊すると, 鎮痛はほぼ対照の値まで出現する様になったが, 1-CMを破壊しなかった動物及び, 1-CMの直上部までを電極挿入で破壊した動物では耐性は消失しないで約13日間鎮痛が出現しなかった.あらかじめ1-CMを破壊すると鎮痛が増大するが, その後前記と同様の大量モルヒネを投与しても耐性は形成され難く, ほぼ対照の値までしか鎮痛は低下しなかった.以上の様にモルヒネによって針鎮痛に耐性が形成され, かつ耐性は主として鎮痛抑制系に形成されることが判明した.
  • 瀬川 克巳, 佐藤 孝雄, 武重 千冬
    1981 年41 巻6 号 p. 647-656
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    中脳中心灰白質背側部 (d-PAG) の電気刺激によって誘起される鎮痛 (SPA) は刺激終了後も長く持続し, 鎮痛の有効性に個体差があり, ナロキソン (1mg/kg) の腹腔内投与 (i.p.) で完全に拮抗され, メチセルジド (2mg/kgi.p., 20μg脊髄クモ膜下腔投与i.th.) , フェントラミン (20μgi.th.) の投与, 及び中脳中心灰白質腹側部 (vPAG) , 大縫線核 (RM) , 巨大神経細胞網様核 (NRGC) の破壊で部分的に拮抗され, RMとNRGCの破壊で出現しなくなる.これに反し, vPAG-SPA, RM-SPA, NRGC-SPAは刺激時にのみ出現し, 有効性の個体差がなく, vPAG-SPA及び針鎮痛無効群のRM-SPAはメチセルジド (2mg/kgi.p.) で, NRGC-SPAはフェントラミン (20μgi.th.) で完全に拮抗されるが, 針鎮痛有効群ではナロキソンで拮抗される鎮痛が加算されて出現する.以上からdPAG-SPAはdPAGに由来する内因性モルヒネ様物質がセロトニン系とカテコールアミン系の下行性抑制を活動させ鎮痛が出現していることが判明した.
  • 藤下 悌彦, 久光 正, 武重 千冬
    1981 年41 巻6 号 p. 657-662
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    皮電計によってラットの体表86部位の皮膚電気抵抗を測定した結果, 低抵抗部は下肢に多く見出された.この部を経穴部, それ以外の部 (大腿部や腹部) を非経穴部とすると, 経穴部の針刺激によって鎮痛の出現する動物 (針鎮痛有効群) と鎮痛の出現しない動物 (針鎮痛無効群) とがあったが, 非経穴部の刺激では何れも鎮痛は出現しなかった.D-フェニールアラニン投与後は, 経穴部刺激によって両群の動物で同程度の鎮痛が出現する様になり, 非経穴部の刺激でも鎮痛が出現する様になった.デキサメサゾンは経穴部刺激による鎮痛には全く作用を示さなかったが, D-フェニールアラニン投与後出現した非経穴部刺激による鎮痛には拮抗し, その出現を阻止した.以上の結果から非経穴部刺激, 経穴部刺激による鎮痛は異った遊離機序による内因性モルヒネ様物質によって出現していることが推定された.
  • ―モルヒネの硬膜外麻酔の機序―
    佐藤 孝雄, 武重 千冬
    1981 年41 巻6 号 p. 663-673
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラットの尾逃避反応で検した針麻酔の鎮痛 (針鎮痛) , 0.5mg/kgモルヒネの腹腔内投与による鎮痛 (モルヒネ鎮痛) は脊髄のクモ膜下腔 (髄腔) に投与したナロキソンで拮抗された.針鎮痛有効動物では髄腔内に投与した0.05μ9モルヒネが, ほぼ腹腔内に投与した0.5mg/kgモルヒネと同程度の鎮痛を現わし, 髄腔内投与のモルヒネにも腹腔内投与と並行する鎮痛の有効性の個体差がみられ, 無効動物はd-phenylalanineの前投与で鎮痛が有効になり個体差は消失した.両側脊髄前側索の切断で髄腟内投与の0.05μ9モルヒネ鎮痛及び0.5mg/kg腹腔内投与のモルヒネ鎮痛は消失したがこれより濃度の高いモルヒネ鎮痛は消失しなかった.また一側性の中脳中心灰白質背側部の部分破壊や脳下垂体除去でも同様の現象がみられた.針鎮痛は針刺激と対側の前側索の切断でその出現が阻止された.以上の結果から腹腔内投与及び髄腔内投与の小量のモルヒネによって現われる鎮痛は, モルヒネが針鎮痛の求心路を刺激して現われる鎮痛であることが示唆された.
  • 神田 実喜男, 盛山 真行, 塩川 健, 副島 和彦, 諸星 利男, 増田 弘毅, 中村 直文, 永山 剛久, 菊池 良知
    1981 年41 巻6 号 p. 675-684
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    最近20年間の日本病理剖検輯報による本邦病理学領域における深在性真菌症の統計的観察を行なつた。日本病理剖検輯報による全剖検総数は390673症例で, その内の1, 672%に種々な真菌症記載がみられる。病原別頻度は, カンジダが最も多く, ついでアスペルギルス, クリプトコックス, ムーコルの順である。年次別発生状況については, 全体として逐年的な真菌症の増加が認められる。真菌症の臓器分布は, カンジダが食道, アスペルギルス, クリプトコツクスおよびムーコルは肺に一番多くみられる。続発性真菌症の基礎疾患は, 白血病, 悪性リンパ腫および再生不良性貧血が上位疾患である。
  • 平林 晋一
    1981 年41 巻6 号 p. 685-692
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    新生児低酸素性脳症におけるCT所見とApgar scoreとの相関を求めるため, 新生児期におけるCT上のperiventricular hypodensityの程度から後におこり得る後遺症を予測する事が可能であるか否かを知るため, 生後1分後のApgarscoreが5以下であった53例の小児のCT像を検討した.1分後のscoreについて0~3と4~5の2群に便宜上分けCT像を比較した.更にその53例の5分後のscoreについて0~5と6~10に便宜上分け同様にCT像を比較した.その結果5分後のscoreが比較的悪い群 (0~5) において初期の頭蓋内出血及び後の脳の異常の出現頻度が高い事が分った.1分後と5分後scoreとでは5分後のそれの方が, 重症度及び予後のための良い指標である事が確められた.
    periventricular hypodensityは病理学的なperiventricular leucomalaciaそのものか又はその前段階の状態を示すものと考えられる.精神神経学的後遺症を持つ5例と後遺症を持たず経過中正常CT像に回復した無作為抽出の5例との問で, 初期のperiventricular hypodensityの程度を比較したが期待に反し差がなかった.それ故新生児低酸素性脳症の重症度及び予後判定のためには, 生度数カ月の問反復してCTを検査する必要がある.後遺症を持つ5例において, 初期のCTでクモ膜下出血がやや高率に認められ, 経過中脳萎縮が認められたが, 臨床症状と脳の器質的変化との関係については, 症例を重ね今後CTによりより明確に求められる事が期待される.
  • 阿尻 貞三
    1981 年41 巻6 号 p. 693-706
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ヒトとカニクイザルの手筋の筋線維構成を比較検索し, 手筋と手の働きとの関係の解析を行った.相対筋重量はヒトはサルと較べると母指内転筋, 母指対立筋, 第二背側骨間筋が大で, 短母指屈筋, 小指外転筋, 短掌筋は小であった.各手筋の筋線維総数はヒト, サルともに筋重量との問に正の相関々係が見られ筋重量と等しい相互関係を示した.筋線維の太さについては, ヒトでは第一・第二背側骨間筋, 母指内転筋, 母指対立筋が他筋より大で, サルと較べてほとんどの筋で太さは小であったが, 特にその差は小指球筋と掌側骨間筋で著しかった.手筋はヒトでは手指の把握やつまみ動作に関与するものが, サルでは体の支持やhangingに関与するものがそれぞれ発達する傾向が明らかにされた.
  • 中西 弘
    1981 年41 巻6 号 p. 707-716
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ヒト足筋について, 筋重量, 筋線維総数, 筋線維の太さを調べ, 同一個体の手の筋と比較対応して足筋の機能的特徴を明らかにした.すなわち, これによって, 足筋を第1指, 第2指, 第3指の屈曲に強く働き歩行時の蹴りに作用する筋, 足指を外側方に牽引して足の支持機能に関与する筋, 第2~第5指の各指節の縦横方向の固定に働き足指のコントロールに作用する筋ならびに伸筋群に分けることができた.従って, 手足の同名筋の間でも母指球筋, 背側骨間筋の中には筋線維構成の上から機能を異にすると考えられるものが認められた.
  • 安井 辰夫, 野津 立秋, 日野 研一郎, 布上 直和, 鶴岡 延熹, 清水 盈行, 高木 康, 太田 秀一, 岡田 拓郎, 塩川 章, 杉 ...
    1981 年41 巻6 号 p. 717-724
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    45歳の男性のhairy cell leukemiaの1症例を報告する.患者は健康診断で白血球増多を指摘され, 1978年10月昭和大学病院に入院した.患者は巨脾以外に自覚症状をもたなかった.患者白血球数は31500/mm3でそのうち81%は細胞表面に1.5~4μm長の絨毛を有していた.走査電顕像では多くの長い絨毛とその間に水かき状の膜を有する典型的なhairy appearanceをそれらの細胞は呈していたが, 透過電顕像では細胞質中にribosome lamella complexは認められず, 酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ活性も認められなかった.表面マーカーの検査では, それらの細胞はBリンパ球の特徴であるIgG Fc receptorとSIg (IgG, κ) を有していた.これらの所見より我々はこの症例をhairy cell leukemiaと診断した.
  • 和田 育穂, 安原 一, 坂本 浩二, 佐藤 孝雄, 武重 千冬, 久光 正, 桑原 敦子, 武重 千冬, 朱 博光, 巌本 三寿, 田角 ...
    1981 年41 巻6 号 p. 725-730
    発行日: 1981/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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