昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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42 巻, 6 号
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  • 諸星 利男, 神田 実喜男
    1982 年 42 巻 6 号 p. 701-708
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 李 中仁
    1982 年 42 巻 6 号 p. 709-724
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    乳腺の腺細胞における分泌顆粒の産生と放出機構および分泌機能停止後の分泌顆粒とlysosomeとの関連性を検索するために, 妊娠後期, 授乳期および授乳停止後のD.D.K系マウスの乳腺について, PA-CrA-silver法, Chromic acid-PTA法, AcPase法にて電顕組織化学的に観察した.PA-CrA-silver法とChromic acid-PTA法では, 妊娠後期と授乳4日目のマウス乳腺細胞はGolgi装置の肥大とcasein顆粒, multicasein body, 脂肪顆粒の増加をみとめた.casein顆粒とmulticasein bodyの反応陽性周辺部はcomplex carbohydrates, 反応陰性中心部はproteinであることが判明した.multicasein bodyはcasein顆粒数個が互いに融合して生じたものと考えられた.casein顆粒とmulticasein bodyの分泌は開口分泌, 離出分泌の両形式で行なわれる.Golgi装置の凸面から凹面にむかって, gradient染色が見られた.surfaces of microvilliとlysosomeは陽性反応, 脂肪顆粒は陰性反応.粗面小胞体はPA-CrA-silver法に弱陽性反応, mannoseなどの糖がRERにて形成分泌されることを示している.Chromic acid-PTA法の反応物はglycoproteinであるので, RERは陰性反応.授乳停止後4日目の腺細胞ではGolgi装置は萎縮し, casein顆粒, multicaseinbody, 脂肪顆粒の減少とprimary lysosomeの増加が認められた.授乳停止後8日目の腺細胞ではGolgi装置の萎縮とcasein顆粒, multicasein body, 脂肪顆粒の減少はさらに著明であった.primary lysosomeも減少していたが, secondary lysosomeとlysosome消化後のautophagic空泡の増加をみとめた.以上から, 授乳停止後casein顆粒の一部はlysosomeによって分解処理されることが示唆された.
  • 血清Mg濃度とその調節ホルモンの動態について
    益海 利恵, 須永 進
    1982 年 42 巻 6 号 p. 725-735
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    周生期におけるMg代謝を解明することを目的として, 血清Mg値とその調節因子 (血清アルドステロン, 血清PTH, 血清25-OH-D3, 血清Free T4) , 並びに血清Ca, P値を測定した.対象は母体血17例, 臍帯動, 静脈血それぞれ26及び21検体, 合併症のない新生児 (成熟児77例, 未熟児84例) , 疾患合併新生児86例 (RDS, 低Ca血症, 低Mg血症その他疾患児) , 健康小児94例である.その結果, (1) 胎児―母体における血清Mg値と血清アルドステロン値: 母体血, 臍帯静脈及び動脈血の血清Mg値はそれぞれ1.65±0.09mg/dl, 1.76±0.07ml/dl, 1.94±0.19mg/dlであり, 血清アルドステロン値はそれぞれ529.1±165pg/ml, 668.6±154pg/ml, 1, 042.7±494pg/mlであった.母体血清Mg値は臍帯静脈血値と比べ有意に低値を示し (p<0.05) , 両者の血清Mg値は有意な正の相関を示した (p<0.05) .母体血清アルドステロン値は臍帯静脈血値と比べ有意に低く (p<0.05) , 両者の血清アルドステロン値は有意な正の相関を示した (p<0.05) .臍帯動脈血における血清Mg値と血清アルドステロン値は有意な負の相関を示した (p<0.05) . (2) 新生児早期の血清Mg値と血清アルドステロン値: 血清Mg値は成熟児1.83±0.11mg/dl, 未熟児1.75±0.15mg/dlで, この両者の値は年長児値と比べ低値を示した.日齢12~168時間の血清Mg値の推移は, 成熟児では生後直ちに下降し, 以後大きな変化はなく, 日齢72時間以後漸増した.未熟児では日齢12~144時間まで漸減した.血清アルドステロン値は成熟児680.8±270.8pg/ml, 未熟児値705.2±322.3pg/mlであった.血清アルドステロン値の日齢12~144時間における推移は, 成熟児, 未熟児共に生直後から日齢48~72時間まで上昇し, 以後漸減した.血清Mg値と血清アルドステロン値は, 成熟児では日齢48時間以後において有意な負の相関があった (p<0.05) .また未熟児では, 日齢48時間以後において負の関係を認めた (p>0.05) . (3) 疾患合併新生児: RDS児の血清Mg値は1.66±0.18mgldlで, 未熟児値と比べ低値を示し, 特に日齢3日以内の症例の11%に低Mg血症を認めた.血清アルドステロン値は1, 675.5±423.5pg/mlで, 未熟児値と比べ2.3倍と高値を示した.その他の患児でも同様の結果を得た.血清25-OH-D3値及び血清Free T4値と血清Mg値の間には明白な相関はなかった.以上のことから, Mg及びアルドステロンは胎盤移行性があると考えられた.また妊娠後期の胎児及び日齢48時間以後の成熟児Mg代謝に, アルドステロンが一部関与していると推測された.疾患新生児 (特にRDS児) では血清Mg値は低く, アルドステロンの高値がその一因と推測された.
  • ―ヒト足筋ならびにサル・ヒト手筋との比較―
    鈴木 雅隆, 猪口 清一郎, 中西 弘, 阿尻 貞三, 木村 忠直, 松本 祐二
    1982 年 42 巻 6 号 p. 737-746
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    カニクイザル成獣 (7.2kg, 雄) の足筋について, その筋重量, 筋線維数ならびに筋線維の太さを計測し, 先に同じ方法で行ったヒト手足筋およびサル手筋と比較して, サル足筋を中心とした筋線維構成の機能的相違を検討した.組織標本はセロイジン包埋, H・E染色によった.結果は次の如くである.1.サルおよびヒトの手足筋の筋重量および筋線維数の総計はサル手<サル足<ヒト手<ヒト足の順で, サルでは前脛骨筋よりも優ることはなかった.しかし, 足の屈筋と伸筋を除いた固有足筋と比較すると, 筋重量ではサルは足>手, ヒトは足=手, 筋線維数ではサルは足=手, ヒトは足<手であった.2.サル足では母指内転筋とそれに対応する筋の発達が見られ, それらの筋線維径も大であった.3.サル手では指の集束に働く筋の発達が見られ, それらの筋線維径も大であった.4.ヒト足では縦横方向の弓形成に関与する筋の発達が見られ, 縦弓形成に関与するものでは筋線維径の発達が著しかった.5.ヒト手では母指内転筋とそれに対応する筋の発達が見られたが, 筋線維径は一般に中型か小型であった.
  • 第1報アミノフィリン静注および点滴静注における血清テオフィリン濃度について
    松本 貴美子, 福岡 圭介, 新谷 仁, 朱 博光, 横内 英明, 林 義久, 有田 昌彦
    1982 年 42 巻 6 号 p. 747-754
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    気管支喘息児20名において, アミノフィリン静注および点滴静注時の血清テオフィリン濃度を, 経時的に, 1日間測定した.血清テオフィリン濃度の測定は, EMITにて行った.同時に, 39検体についてHPLCで, 18検体についてGCでも測定し, それぞれ, 相関係数0.980, 0.961で高い正の相関を示した.アミノフィリン5mg/kgを5分間で静注後, 15mg/kg/日を均等に輸液した群では, 静注直後に血清テオフィリン濃度は平均19.9μg/mlとなり, 30分後には平均9.93μg/ml, 60分以後24時間までは平均値で8.5~9.7μg/mlで維持された.アミノフィリン6mg/kgを5分間で静注後, 18mg/kg/日を均等に輸液した群では, 静注直後に平均19.05μg/ml, 30分後に平均10.6μg/mlとなり, 60分以後24時間までは, 平均値で10.4~13.6μg/mlに維持され, すみやかなPFRの上昇と臨床的改善と示した.初めからアミノフィリン21mg/kg/日を均等輸液した群では, 血清テオフィリン濃度は, 初期で極めて低く, 充分なPFRの改善を得ることができなかった.静注直後に, 血清テオフィリン濃度が30μg/mlを超えた2例で, 胃腸症状を認めた.気管支喘息におけるテオフィリンのtherapeutic rangeは10~20μg/mlといわれている.血中濃度をこの範囲に維持するためには, アミノフィリン5~6mg/kgを5分以上かけてゆっくり静注した後, 18mg/kg/日を均等に輸液する方法がよいと思われる.しかし, テオフィリンの代謝は, 種々の因子によって異ってくるので, 臨床症状をみながら, 必要によって血中濃度をモニターすることが望ましい.
  • 松本 貴美子, 福岡 圭介, 新谷 仁, 朱 博光, 横内 英明, 林 義久, 有田 昌彦
    1982 年 42 巻 6 号 p. 755-762
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    気管支喘息児21名について, sustained-release theophyllineであるテオナまたは, テオナ-Pを投与し, 血中濃度を経時的に測定し, 血清テオフィリン濃度と臨床効果について検討を行った.テオナまたは, テオナ-P1回投与群11例では, 平均8.6±1.4mg/kgの投与量で, 血清テオフィリン濃度の平均値は, 1時間後2.1±1.9μg/ml, 2時間後4.0±2.3μg/ml, 4時間後5.5±1.9μg/ml, 8時間後7.5±2.5μg/ml, 12時間後6.3±1.3μg/ml, 24時間後3.0±2.5μg/mlであった.血中濃度の最高値は, 症例の72%で8時間後, 28%で12時間後にあり, 平均8.0±2.4μg/mlであった.テオナ投与により, PFR, FEV1.0は, 1, 2, 4, 24時間後で前値に比較し有意に上昇した.4時間後で, %PFR, %FEV1.0は最高値の64.9±71%, 51.4±59.1%の改善を示した.27%の患児は, 4~12時間後に, 嘔気, 嘔吐などの副作用を示した.テオナまたはテオナ-PによるRound the clock therapy群10例では, 平均8.7±2.1μg/ml/dose, 12時間毎の投与で, 血清テオフィリン濃度の平均値は, 夜間投与の場合, 2時間後9.3±3.8μg/ml, 4時間後9.4±3.1μg/ml, 8時間後9.4±4.5μg/ml, 12時間後8.2±4.3μg/mlであり, 朝投与の場合, 2時間後11.3±5.0μg/ml, 4時間後11.2±9.2μg/ml, 8時間後9.7±4.9μg/ml, 12時間後7.8±4.0μg/mlで, 1日中, 10μg/ml前後に維持された.Peak through differenceは, 平均3.7±1.9μg/mlであり, 12時間毎の投与で, 良好な安定性を示した.Peak through differenceの日中平均は, 3.1±1.3μg/ml, 夜間平均は, 4.3±2.3μg/mlで両者間に有意の差は認めなかった.テオナまたはテオナ-PのR.T.C治療により発作回数は, 朝, 昼, 夜ともに有意に減少した.発作改善度を, 発作改善率およびPFRの改善を参考に判断すると, 著明改善50%, 中等度改善30%, 軽度改善10%, 不変10%で中等度改善以上が80%と良好な結果であった.10例中3例で, R.T.C開始初期に, 一過性の胃腸症状, 頭痛などの副作用を認めた.
  • 西山 英大
    1982 年 42 巻 6 号 p. 763-771
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    供試菌として各亜群赤痢菌Shigella dysenteriae, Shigella flexneri, Shigella boydii及びShigella sonneiを用い.SchlechtらのMedium D1.5培地で培養して得た乾燥菌体からWestphalらの方法I及びII, 及びBoivinのtrichloroacetic acid抽出法により調製した菌体特異多糖類抗原について免疫電気泳動を行った.各亜群赤痢菌抗原の同種抗血清による免疫電気泳動図では, 抗原孔附近 (区画c) 及びそれより陽極側の位置 (区画B) に各々数本ずつの沈降線が認められた.これら沈降線の出現位置から, 供試赤痢菌抗原の泳動図を2群―第I泳動群及び第II泳動群に分類した.第1群にはSh. dysenteriae, Sh. boydii, Sh. sonnei及び一部のSh. flexneri (type 2b, 6) 各菌の抗原が属し, 沈降線は区画B及びCの両区画に認められる.第II泳動群は第I群以外のすべてのSh. flexneri各菌の抗原を含み, その沈降線は区画Cのみに出現する.Sh. sonnei及びSh. flexneri type 2b, type6各菌の抗原は, 100℃, 1時間加熱処理によって免疫電気泳動図に変動が見られることから, これらの抗原は上記加熱条件によって何等かの変化を受ける易熱性抗原成分を含有することが判明した.しかしその成分の本態については, なお不明である.赤痢菌菌体から凍結融解を繰返して得られたGrasset抗原は, 免疫電気泳動により区画B及びCにはtype specific antigen, 区画Cより陰極側の位置にgroup specific antigen及びBelayaのShigella specific generic antigenが証明されるといわれるが, 本実験に用いた特異多糖類抗原においては, 免疫電気泳動図からはtype specific antigen以外の抗原成分を見出すことは困難であった.Sh. dysenteriae type 6, Sh. boydii type 6及びSh. sonnei type 2各菌の抗原との間に免疫電気泳動により, 共通抗原が認められた.この抗原成分を解明するため, Sh. sonnei type2よりKuninのenterobacterial common antigen (CA) を分離し, Sh. dysenteriae type6及びSh. boydiit ype6抗原と各々比較検討の結果, この共通抗原の1つはKuninのCAに由来するものであることは明らかである.
  • ポリスチレン容器・包装材料からのスチレンの食品への移行と異臭について
    辰濃 隆
    1982 年 42 巻 6 号 p. 773-782
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    最近, プラスチックからの溶出物, 例えば, 塩化ビニル, アクリロニトリル, ジメチルテレフタレートなどの原料モノマー, ジ-2-エチルヘキシルフタレートやアジペートなどの可塑剤, tert-ブチルヒドロキシトルエンやtert-ブチルアニソールなどの酸化防止剤その他多くの化合物に発ガン性, 突然変異原性, 催奇形成性などが見られることから, プラスチックを食品と直接触れるような使用を行った場合の安全性が懸念されている.ポリスチレン (PS) も食品と接触する機会の多いものであり, また他のプラスチックと異なり, 材質中に多くのスチレン (SM) を含んでいる.このPSをいろいろな性質をもつ食品の容器・包装材, 飲食器具などに用いた場合, 多量に材質中に残存するSMが内容食品に移行することが考えられる.PSには発泡させたもの (FPS) と非発泡のものがあり, 後者はPSそのままのもの, ゴム質を加えた耐衝撃性PS (IPS) などに細分される.食品と接触される機会の多いFPSおよびIPSの2種類を用い, 材質中のSM量といろいろな食品に移行するSM量との関連を検討し, PS中のSM量をどの程度に制限すべきかを, 現在までに報告されている毒性値を基礎に推定した.PSから内容食品にSMが移行する場合, 溶出による現象と容器壁から揮散するSMを食品が吸着する現象の2通りがある.前者の場合には食品擬似溶媒 (蒸留水, 4%酢酸, 20%エタノール, オリーブ油) を, 後者の場合には油揚げめんを用い, 室温または40°で, 90日または28日間放置し, 移行するSMをガスクロマトグラフ法によって定量した.試験の結果は, Fig.1~6に示す.これらの結果から, SMの移行は油脂や脂肪性食品, アルコール性食品の場合は酸性や中性食品より大きく, また, SMの揮散, 吸着といった経路でもSMの移行量は大きかった.食品へ移行したSM量を人間が1日にどの程度摂取するかを, PSからのSMの最大移行量を基に計算したところ, 液体食品では約3.8mg/日であり, 乾燥食品 (油揚げめん, 1日3回, 1ケ70g) の場合では約2.1mg/日であった.WolfらのSMの長期飼育実験の無作用量は133mg/kg体重/日 (ラット) であり, また現在のところ, SMには発ガン性などの特殊毒性は報告されていないところから, 今回用いたPSに含まれる程度のSM量の材料ならば, 食品の容器・包装材料として用いても安全性が確保できると考えられた.FPSには, しばしば異臭の問題が生じることから, SMなどの揮散によるのではないかと考え, 材質中のSMとその類縁化合物量と異臭の関連を検討したところ, その関連が認められ, 材質中のSM量, SMとその類縁化合物総量を一定値以下に制限すれば異臭の問題はなくなるであろうと推定された.
  • 田中 賢治
    1982 年 42 巻 6 号 p. 783-796
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    白色家兎雌1017gから3500gまで105羽に対して坐骨神経切断群, ギプス固定群 (足関節底屈位, 中間位, 背屈位の3群) を作り前脛骨筋の筋萎縮の発現様式を組織学的, 走査電顕的に経時的に1週から5週目まで観察し次の知見を得た. (1) Sudan Black B染色から家兎前脛骨筋は白筋線維, 中間筋線維, 赤筋線維に区別することが出来, 白筋線維46.5%, 赤筋線維28.4%, 中間筋線維25.1%と分布し筋の表層では白筋線維が多く深層では赤筋線維が比較的多く分布している.走査電顕 (SEM) 像では各筋周膜内での筋線維の数は12~43個で各筋線維は4角, 5角, 6角の多角形を呈し筋線維の直径は8~70μmであった. (2) 筋重量は神経切断群では初期より筋重量の減少が見られる.ギプス緊張位固定群では初期には筋重量の増加が見られるがその後減少する. (3) 神経切断群とギプス固定群の筋萎縮の変化は両者とも表層に強いが, 萎縮などの変化は神経切断の方が早く表われ程度も強い. (4) ギプス固定群では前脛骨筋の伸展位, 中間位の方が屈曲位よりも筋線維の円形化, 膨化傾向などが早く出現する. (5) 以上の変化は白筋線維に強く表われる.従って白筋線維を多く占める表層に萎縮が強く見られた. (6) SEM像では神経切断の方がギプス固定群より筋線維の粗造化, 筋線維東間の結合織の増生, 空胞等がより強く, 又伸展位, 中間位の方が屈曲位よりも変化が強い.なお直径の大きな白筋線維と思われる筋線維に変化が著しかった. (7) 以上の知見から筋萎縮の予防対策に言及した.
  • 刑部 義美, 鈴木 一, 野口 英世
    1982 年 42 巻 6 号 p. 797-803
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    目的, 担癌生体において, 免疫機能, すなわち細胞性免疫及び液性免疫 (免疫グロブリン, 補体) は, 病状の進行と共に種々の変化を招来すると考えられる.今回著者は, 原発性末期肺癌患者の免疫能について, 細胞性, 液性免疫の両面より検討を行なった.対象及び方法, 対象は昭和大学藤が丘病院呼吸器内科で死亡した, 来院時日本肺癌学会臨床期分類4期の34名である (男24名, 女10名, 平均年齢67.4歳) , 組織型は扁平上皮癌10名, 腺癌18名, 小細胞未分化癌6名でretrospectiveに初診時の免疫能と主に生存期間等の関係とを, 健常対照者27名 (男15名, 女12名, 平均年齢48.1歳) のそれと比較して検討を行なった.治療は原則としてCarboquone又はFT-207の単独療法及び非特異的免疫賦活剤 (OK-432, PSK) の併用療法である.PPD皮フ反応は一般診断用精製ツベルクリン液1人用 (日本BCG社製) を使用し, 48時間後に測定した.CH50はMayer法に準じた50%溶血法, C3c1A1C) 及び免疫グロブリン (IgG, A, M) は, Single Radial Immunodiffusion method (Hoechst社製) で測定し, 末梢血リンパ球数は, 白血球数×血液像のリンパ球数の%より求めた.結果, 1.PPD皮フ反応 (以下PPD) 陽性患者はPPD陰性患者に比し生存期間が有意に長く, PPD陽性患者の末梢血リンパ球数と生存期間とは正の相関を示した.2.CH50は肺癌患者では健常者に比し有意の高値を示し, PPD陽性患者では陰性患者に比し有意の高値を示した.CH50と肺癌患者の生存期間には正の相関があり, PPD陰性患者では更に高い正の相関を示した.3.IgG, IgAは肺癌患者では健常者に比し有意であったが, IgMは変化がなかった.又免疫グロブリン値と肺癌患者の生存期間には相関がなかった.結論, 本症患者では細胞性免疫能低下の時期より補体の関与が大となり, 細胞性免疫能のほとんど消失した時期では補体が原発性末期肺癌の生体維持に重要な働きをするものと考える.
  • 橋本 明
    1982 年 42 巻 6 号 p. 805-818
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ラット視床下部の室傍核 (PVN) および視索上核 (SON) におけるオキシトシン (OT) 産生細胞の分泌調節機構を検索するために, 抗OT血清を用いた電顕的免疫細胞化学によってOT様免疫陽性ニューロンにシナプスを形成する軸索終末の微細構造を観察し, さらに3H-noradrenaline (NA) または3H-dopamine (DA) のオートラジオグラフィーとOTの免疫細胞化学の同一切片法によってカテコールアミン (CA) ニューロンとOTニューロン間の相関を調べた.OT様免疫陽性ニューロンの軸索, 樹状突起あるいは細胞体にシナプスを形成している免疫陰性の軸索終末は微細構造上, その中に含まれている明るい小胞や有芯小胞の形, 大きさ, 構造などから数種類のものが区別された.すなわち1) 明るい球形の小胞 (直径40~50mm) のみを含むもの, 2) 明るい球形の小胞 (直径40~50nm) と有芯小胞 (直径80~100nm) の混在するもの, 3) 明るい扁平形の小胞 (長径55~65nm, 短径30~40nm) を含むものである.さらに1) , 2) の明るい球形の小胞を有する終末は, 約40nmの小型のものが主体をなすものと, 45~50nmのやや大型のものが主体をなすものが区別された.その他に, OT様免疫陽性線維同志間の軸索―軸索間あるいは軸索―樹状突起間シナプスやOT様免疫陽性線維が免疫陰性線維に同様のシナプスを形成しているものもみられた.OT様免疫陽性の前シナプス終末には直径50~60nmの明るい球形小胞と直径80~140nmの顆粒小胞が混在していた.免疫陽性反応は顆粒小胞に認められたが, 明るい球形小胞にはみられなかった.この顆粒小胞は視床下部後葉系の神経分泌ニューロンにみられる神経分泌顆粒より小さい.免疫細胞化学とオートラジオグラフィーの同時観察によって, 3H-DA標識終末がOT様免疫陽性線維にシナプスを形成しているのが稀に認められた.PVNおよびSONに3H-DAあるいは3H-NA標識線維が多数散在してみられた.3H-DAあるいは3H-NA標識終末には多数の明るい小胞 (直径40~50nm) と少数の有芯小胞 (直径80~100nm) が混在していた.以上の所見から, ラットPVNおよびSONにおいてCA, アセチルコリン (Ach) あるいはγアミノ酪酸含有線維がOTニューロンにシナプスを形成している可能性, およびOTニューロンの軸索側技による反回性回路の形成やOT含有介在ニューロンの存在の可能性が示唆された.
  • 川内 章裕, 松井 渉, 内藤 誠二, 岡本 信也, 志賀 俊行, 中尾 ゆう子, 李 中仁, 紀平 幸一, 新井 一成, 安藤 彰彦, 小 ...
    1982 年 42 巻 6 号 p. 819-824
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 超音波診断検査は各種疾患に広く応用がなされている.しかしながら現行の体腔外走査方式では腹壁や腸管ガスによる減衰や散乱のため分解能, 深部臓器の描出率も満足すべきものではない.そこで今回, 以上のような観点からその有用性が期待されている超音波内視鏡 (オリンパス・アロカ社製1号機) を, 膵嚢胞, 十二指腸粘膜下腫瘍, 膵体部癌の3症例に使用した.その結果, 3症例全例で病変部をとらえることが出来たが, その走査性は極めて悪く, X線透視下にてその先端を確認しながら検査を施行せざるをえなかった.また, 内視鏡部の映像信号伝達機構にも問題があり, えられた画像も悪く, かつ, 周囲臓器との関係も不明瞭のため, 膵嚢胞の1例を除いては体腟外走査超音波断層像の方が優れていると考えられた.しかしながら, 今後このような問題点を解放することにより膵疾患や消化管病変の診断に威力を発揮することが示唆された.
  • 渡辺 浩之, 井上 梅樹, 布上 直和, 田口 進, 斉藤 博文, 八田 善夫, 善山 金彦, 小泉 和雄, 神谷 憲太郎, 片岡 徹, 石 ...
    1982 年 42 巻 6 号 p. 825-830
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    急性肝炎回復時に, 悪感戦慄を伴なった発熱と右季肋部痛, 閉塞性黄疸の所見を呈し, 発症3日目にはショック状態となり, 急性閉塞性胆管炎と診断.直ちに外科にて開腹術施行.胆道は凝血塊が充満しており, Tチューブ挿入による減圧を試みるもショック症状の改善が得られず救命し得なかった症例を経験した.急性閉塞性化膿性胆管炎は, 早期診断, 手術を施行しないと重篤な経過を取り死亡する例が多い.その診断にはCharcot's trias (右季肋部痛, 黄疸, 発熱) が重要であり, 閉塞性黄疸例では本症をつねに念頭におき, 早期の的確な処置を行う必要があると考えられる.
  • 舩冨 等, 竹中 武弘, 井上 梅樹, 八田 善夫, 副島 和彦
    1982 年 42 巻 6 号 p. 831-835
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    71歳, 女性の細気管支肺胞上皮癌の1症例を呈示した.本例は, 両側肺尖部を除く大部分が癌細胞に置き換えられていたにもかかわらず, 胸膜, 胸腔内リンパ節にも浸潤, 転移は認められなかった.同年 (昭和52年) の日本病理剖検輯報によれば, 細気管支肺胞上皮癌は71例で全肺癌の3.6%を占め, また肺内にとどまったものは16例であり, びまん性に進展したと思われる症例は, そのうちの8例にとどまった.以上のごとく, 本例は比較的まれなものと考えられ, 文献的考察を加え報告した.
  • 川端 善司, 新村 陽子, 柳沢 宏実, 福岡 俊明, 葛西 邦博, 田中 源一, 城戸 邦彦, 横田 朝男, 田中 洋子, 岩井 雅彦, ...
    1982 年 42 巻 6 号 p. 837-843
    発行日: 1982/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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