昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
72 巻 , 2 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
特集:再検証「サルからヒトへ」 —本当にホモ・サピエンスは進化型なのか—
最終講義
教育講演
図説
原著
  • 阿部 央
    2012 年 72 巻 2 号 p. 216-221
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    下顎骨骨折は顔面骨骨折の中でも,骨折線数や骨折部位が診断や治療上問題になりやすい.これまでの「骨折線数を考慮しない部位別分類(以下,従来法)」と,今回調査した「骨折線数を考慮した分類」(以下,新分類法)を比較検討する.今回の新分類では骨折線の数が1つの場合をI型,2つの場合をII型,3つをIII型,4つ以上をIV型としてレトロスペクティブにt検定を用い年齢,性別,原因,X線における骨折線部位,骨折線数,他の骨折や合併症の有無,治療方法,入院期間など詳細な調査を試みた.調査対象は,過去14年4か月に昭和大学病院形成外科を受診した症例について行い,統計学的検討を行った.新分類法では従来法と比較してタイプ別の治療期間の標準偏差(全型平均)約17から8へ,分散(全型平均)が約287から64へ低値を示し,入院期間の詳細な予測が可能となった.骨折の発生部位は受傷機転に影響されやすく,同時に社会背景により大きく変動するため,骨折線数別の発生部位を見出すことで受傷年代別の骨折状態や治療方針,詳細な入院期間の予測が可能となり,さらにクリニカルパスやインフォームドコンセントに有用と考える.
  • 徳中 亮平, 門松 香一, 吉本 信也, 村松 英之
    2012 年 72 巻 2 号 p. 222-228
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    頭蓋顎顔面領域において,骨折や骨切り手術に従来より使用されていた金属製プレートにかわり,未焼成ハイドロキシアパタイト(u-HA)とポリ―L―乳酸(PLLA)の複合体からなる生体吸収性骨接合ミニプレートシステムが多く使用されてきている.今回われわれはその有効性や安全性の大規模調査を行った.その結果,従来用いられている金属製プレートと比較して異物反応や感染,骨の再転位など合併症に明らかな有意差を認めず,また手術回数の明らかな減少を認めた.生体内分解吸収性骨接合材料は安全性においても従来の金属製プレートと比較し同等であると考えられた.
  • 塩沢 朋子, 野呂瀬 朋子, 矢持 淑子, 瀧本 雅文, 太田 秀一, 塩沢 英輔, 鈴木 髙祐, 宇野 美恵子, 村上 菜々 ...
    2012 年 72 巻 2 号 p. 229-237
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    腸管スピロヘータ症Intestinal spirochetosis(IS)は,Brachyspira属グラム陰性桿菌であるBrachyspira aalborgiおよびBrachyspira pilosicoliによる人畜共通感染症で,大腸粘膜上皮表層に好塩基性で毛羽立ち状に付着したpseudo brush border様構造として認められる.欧米では大腸生検の2~7%に認められる.本邦では研究報告が少なく感染頻度は極めて稀とされるが,いまだに十分に解明されていない.ヒトにおけるISの病原性についても議論がある.われわれは大腸病理検体を用いて,日本におけるISの発生頻度および臨床病理学的特徴を検討した.4か月間に連続的に単一医療機関で診断された大腸病理検体1025例を前方視的に解析した.Hematoxylin-Eosin染色標本を検鏡し,大腸粘膜上皮にpseudo brush borderを認めた症例を組織形態学的にISと診断し,同症例のホルマリン固定パラフィン包埋組織切片から抽出したgenomic DNAを用いてB. aalborgiおよびB. pilosicoliの種特異的塩基配列を標的としたPCR法による遺伝子診断を行ってIS感染を確認した.IS感染を示すpseudo brush borderの多くは,正常粘膜上皮細胞の表層部に認められた.1025例のうち42例(4.1%)を組織形態学的にISと診断した.42例に遺伝子解析を行い,37例(88.1%)にB. aalborgi感染,8例にB. pilosicoli感染が確認され,5例(11.9%)の重複感染を含む,40例(95.2%)に遺伝子検査でIS感染を確認し得た.42例の年齢中央値は59歳(31~77歳)で,36例(85.7%)が男性であった.大腸内視鏡検査動機は検診(33.3%)が最も多く,次いで大腸ポリープ経過観察(26.2%),検診便潜血精査(23.8%)であり,消化器症状(便秘)精査目的は2例(4.8%)のみであった.病理診断は低異型度管状腺腫が24例(57.1%),過形成性ポリープが14例(33.3%)だった.38例(90%)で消化器症状を認めなかった.消化器症状を認めた4例もISと消化器症状との関連は明らかではなかった.IS感染に対する治療を行った例はなかった.従来の後方視的研究から日本のIS感染頻度は欧米に比して極めて低い(0.19~0.9%)とされてきたが,本研究(4.1%)では欧米と同等の感染率だった.本研究では前方視的に連続する全大腸検体を同一の病理医が診断し,遺伝子診断でIS感染を確認しており,IS診断の連続性,均一性,信頼性は高いと考えられた.IS感染者の90%が無症状であること,内視鏡検査実施動機の93%が検診,便潜血精査等の消化器症状精査以外であったこと,内視鏡像で特異的所見がないこと,菌体が大腸正常粘膜上皮の表層部に多くみられたことから,IS感染はヒトにおいては病的感染ではなく,偶発感染である可能性があると考えられた.
  • 田中 俊生, 佐々木 晶子, 谷岡 大輔, 野田 昌幸, 藤島 裕丈, 中山 禎理, 小林 裕介, 宇髙 結子, 辻 まゆみ, ...
    2012 年 72 巻 2 号 p. 238-245
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    神経膠芽腫(glioblastoma)は,手術加療だけでは完治が困難な悪性脳腫瘍であり,現在は手術後,放射線療法と化学療法との併用加療が行われている.しかし,治療途中で抗癌剤耐性や放射線耐性を得るために,glioblastomaの根治療法とは なり得ていない.放射線耐性因子のひとつにp53がある.p53はアポトーシス制御に重要な関わりを持つ.細胞に放射線を照射するとDNA障害が起こり,p53が活性化されアポトーシスに関連する標的遺伝子の転写を制御する.しかし,glioblastomaの50%はp53遺伝子の欠損またはp53遺伝子変異が認められるため,転写活性化能が低下し,p53経路アポトーシス誘導機構が働かずアポトーシスへ導かれない.そのため,細胞は放射線感受性が低く,放射線に対し強い抵抗性を示す.アポトーシス誘導は重要な癌抑制機能であり,化学療法,放射線治療など治療感受性に関与している.近年,この遺伝子の転写を制御するmiRNAが報告されている.miRNAは,19~23塩基対からなるsmall RNAで,複数のタンパク質と複合体を形成して標的となるmRNAの3’非翻訳領域(3’UTR)に結合し,遺伝子発現の転写後抑制を行う.本研究では,p53変異型であるT98G神経膠芽腫細胞,p53野生型のA172神経膠芽腫細胞を用いてp53,Bcl-2,Bax,Caspase-9活性値の発現,およびp53アポトーシス経路の遺伝子を制御するmiRNA発現解析を行った.A172細胞のp53発現とmiR-34a,T98G細胞のBcl-2発現とmiR-21が強くp53アポトーシス誘導経路に関与し,放射線治療効果に影響を及ぼすことが示唆された.
  • 猿田 祐輔, 矢持 淑子, 野呂瀬 朋子, 九島 巳樹, 瀧本 雅文, 太田 秀一, 本間 まゆみ, 塩沢 英輔
    2012 年 72 巻 2 号 p. 246-258
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    原発性皮膚リンパ腫は,全体の約85%をT/NK細胞が占め,そのうち半数以上が菌状息肉症(mycosis fungoides; MF)とSezary症候群である.近年では,臨床像および細胞の形態に加え,細胞表面形質によって機能的に分類し,さらにクロナリティー解析を行うことにより以前では診断に至らなかったリンパ腫も診断することが可能になっている.しかし多彩な臨床像を呈し長期的な経過をとる症例が多く,初回生検時には炎症性変化であっても10数年の経過を経てリンパ腫へと移行するものもあり,現在のところそれらを事前に予測する手段は確立されていない.今回われわれは,皮膚T細胞リンパ腫と臨床的に鑑別を要する炎症性皮膚疾患として,局面状類乾癬(parapsoriasis en plaques; PP)を中心に免疫組織化学的にリンパ腫への移行を予測しえるか比較検討した.1993~2011年に昭和大学病院で臨床・病理学的にPPと診断された18例,MFと診断された8例(28検体),炎症性皮膚疾患として扁平苔癬(lichen planus; LP)14例を対象とし免疫組織化学的染色を施行,PPとMFについてはさらにクロナリティー解析を行い検討した.CD4/CD8間の解離はPP,MFではそれぞれ33%,88%に認めたが,LPでは全例で認められなかった.またCD7の減弱についても,PP,MFでその傾向が強かった.CCR3は,PP,MF,LPの全例で陰性だったが,CCR4,CXCR3はLPに比してPP,MFで陽性例が多かった.T細胞性クロナリティー解析では,PPは全例陰性であったが,MFは50%でモノクローナルな増殖を認めた.以上より,PPはLPに比してよりMFに近い表面形質の発現が認められ,炎症性皮膚疾患に加え腫瘍性変化の側面も持つことが示唆された.また経時的に生検されたMF症例の病勢については,クロナリティー解析は補助診断として有効なことが確認された.
臨床報告
  • 鈴木 直人, 鈴木 恵史, 富永 幸治, 星野 光典, 成瀬 博昭, 村上 雅彦
    2012 年 72 巻 2 号 p. 259-263
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下虫垂切除術における術中洗浄の必要性に関しては統一した見解はない.当院では手術適応となる急性虫垂炎すべてを腹腔鏡下虫垂切除術の適応とし,術式の工夫として全例に高速洗浄器による術中大量洗浄を施行している.洗浄量は術中に明らかな炎症性腹水を認めれば,温生食10lとし,それ以外は5lとした.ポート挿入は10l症例では右側アプローチとし,5l症例では左側アプローチとした.ドレーンは全例ダグラス窩に挿入し,翌日抜去とした.92症例が対象となった.組織学的にはカタル性が7例,蜂窩織炎性が41例,壊疽性が44例であった.すべての症例で術後合併症は認めなかった.その術中洗浄の工夫について紹介する.
症例報告
  • 櫻庭 一馬, 木川 岳, 白畑 敦, 喜島 一博, 原田 芳邦, 新村 一樹, 坂田 真希子, 岡田 一郎, 北村 陽平, 横溝 和晃, 梅 ...
    2012 年 72 巻 2 号 p. 264-268
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
    症例は66歳女性.血便を主訴に当院を受診した.上部・下部消化管内視鏡検査するも出血源を同定できず,ダブルバルーン内視鏡検査にて回盲弁から約10cm口側に粘膜下腫瘍を認めた.CT検査では小腸に造影効果を有する壁肥厚像を認め,小腸間膜リンパ節が腫大していた.病理検査による確定診断はつかなかった.十分なインフォームドコンセントのもと,単孔式腹腔鏡下に回盲部切除と所属リンパ節の可及的郭清を施行した.術後の病理検査で小腸原発悪性リンパ腫と診断した.術後経過は良好で第15病日に退院となった.単孔式腹腔鏡下手術は効果的に腹腔内の観察や切除を行うことが可能で,美容的に優れており,小腸悪性リンパ腫に対して有用であったので報告する.
feedback
Top