昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
Print ISSN : 0037-4342
ISSN-L : 0037-4342
60 巻, 2 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 佐藤 啓造
    2000 年60 巻2 号 p. 147-148
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 長山 雅俊
    2000 年60 巻2 号 p. 149-153
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 曽我 恭司, 近岡 弘, 飯倉 洋治
    2000 年60 巻2 号 p. 154-156
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 角田 健司, 佐藤 啓造
    2000 年60 巻2 号 p. 157-165
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 有賀 徹, 弘重 壽一
    2000 年60 巻2 号 p. 166-172
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
  • ―あるSIDS事件を巡って―
    平沼 高明, 平沼 直人
    2000 年60 巻2 号 p. 173-178
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • ―患者のQOL調査も含めて―
    栗原 稔
    2000 年60 巻2 号 p. 179-188
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 岡松 孝男
    2000 年60 巻2 号 p. 189-194
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 石井 規子, 小島 直美, 河崎 みどり, 福地 邦彦, 五味 邦英
    2000 年60 巻2 号 p. 195-203
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    輸血療法の適正化を推進する目的で, 昭和大学病院における1998年の輸血部業務の現状を報告する.各種の同種血輸血, すなわち日赤血の使用はほぼ適正に行われていたが, そのなかで, 不適切な取り扱いにより廃棄とされた製剤が0.98%あったこと, 必然性のない院内採血の実施, 2.6%の放射線未照射血の輸血が重大な問題点として挙げられる.診療科別の日赤血の使用状況では, 赤血球M・A・P (人赤血球濃厚液, 保存液の主成分はMannitol, Adenine, Phosphateである: MAP) は, 内科系, 外科系で大きな差は無く, 新鮮凍結血漿 (Fresh Frozen Plasma: FFP) は外科系で, 濃厚血小板 (Pletelet Concentrate: PC) は内科系で多く使用された.今後の課題は, MAPの準備量を更に適正化し返却率を下げること, およびFFPとPCについては, 使用指針を遵守し使用量を減少させることである.自己血輸血は多くの科で施行され, 同種血輸血の削減に有効であった.自己血のみで手術が施行された症例は年間の輸血を伴う手術症例の23%であった.対象症例の適切な選択による自己血輸血の実施の拡大がさらに望まれる.輸血副作用は, 輸血症例全体の0.5%で発生したが, すべて軽症であった.血液製剤の種類や患者要因など, 副作用の原因は特定されなかった.現在, 輸血副作用としての感染症の早期発見と二次感染予防の目的で, 輸血施行後2~6カ月後に, 梅毒・HBV・HCV・HIV・HTLV-Iの検査を実施している.患者本人と主治医に検査の実施を促す通知を行っているが, 実施率は37%であった.これまでの追跡調査では, 陽性化例は認められていないが, 本調査の徹底が重要である.より効果的な輸血のためにこのデータが使用されることを期待する.
  • ―病理学的病期分類との比較および関節液中の関節マーカー濃度との比較検討―
    初見 俊明
    2000 年60 巻2 号 p. 204-215
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究はヒト膝関節疾患の病態把握を目的として, 軟骨変性の病理学的な病期分類と関節軟骨中のヒアルロン酸, コンドロイチン硫酸, ケラタン硫酸などのいわゆる関節マーカーの濃度を分析し, 病理学的損傷と軟骨基質の破壊との比較検討を行うことを目的とした.また多数報告例の見られる関節液中の関節マーカー濃度との比較を行い関節液のデータとの相違を検討する事を目的として行った.膝関節疾患に対し, 人工膝関節置換術を施行時に切除した膝関節軟骨から, 70個の軟骨片を採取した.採取した軟骨片を二分割して, 一方を, FASSBENDERの軟骨変性の病理学的な病期分類を用いて6段階に分類し, もう一方については関節マーカー濃度を調べるため生化学的な成分分析を行い軟骨変性の病期に伴う関節マーカーの濃度推移を比較検討した.次に, 各症例の関節軟骨の関節マーカーの濃度を関節液中における関節マーカーの濃度と比較し相違について検討した.その結果, 一次性変形性膝関節症 (以下OAと略す) の軟骨片と大腿骨内顆骨壊死症 (以下ONと略す) の軟骨片は, 軟骨変性の病期が重度になるほど関節マーカーの濃度が減少する傾向があったが, 慢性関節リウマチの軟骨片は軟骨変性の病期が重度になっても, 関節マーカーの濃度が減少する傾向はみられず, 機械的破壊が主体である疾患と化学的破壊が主体である疾患との軟骨変性・破壊のメカニズムの違いを示唆する結果となった.関節軟骨と関節液の関節マーカーの濃度の比較では, OAはほぼ関節液の結果と同等であったが, RAにおいてはコンドロイチン4硫酸で軟骨内と関節液中の濃度に違いが認められた.また, RAの滑膜にコンドロイチン6硫酸に対する透過性の亢進を示唆する結果が認められた.OAは軟骨変性の病期と関節マーカーの濃度に相関関係があり, 軟骨内関節マーカーの濃度と関節液中における関節マーカーの濃度と等しい関係があったが, RAでは軟骨変性の病期と関節マーカーの濃度には相関関係が無く, 軟骨内関節マーカーの濃度と関節液中における関節マーカーの濃度に明らかな相違が認められた.またONの結果はOAと同様の結果となった.
  • 南部 かおり, 田村 光広, 宮坂 信雄, 杉本 裕之
    2000 年60 巻2 号 p. 216-219
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年Helicobacter pylori (Hp) が消化性潰瘍の成因として重要視され, Hpの除菌が再発率を低下させることがわかってきた.今回常用量のプロトンポンプインヒビター (PPI) , クラリスロマイシン (CAM) , メトロニダゾール (MNZ) とPPI, CAM, アモキシシリン (AMOX) の低用量コンビネーション療法を行った.平成8年1月1日から11年5月31日に当院の上部消化管内視鏡検査で消化性潰瘍を認めた174例に対し組織のHp培養を行い, Hp陽性であった症例に血清Hp抗体を測定し, 除菌療法を行った.除菌療法はPPI (オメプラゾール20mgまたはランソプラゾール30mg, 以下同様) 8週, CAM600mg, MNZ750mgl週投与群, PPI8週, CAM400mg, MNZ500mg2週投与群, PPI8週, CAM400mg, AMOX1000mg2週投与群で比較した.1カ月及び4カ月後の内視鏡で潰瘍の状態とHpの培養を行い, 観察終了時に2カ所とも陰性となった症例を除菌有効と判断した.除菌効果はMNZ投与群で86.2%, AMOX投与群で95.5%, 全体で90.8%で有効であった.MNZ1週投与群と2週投与群では有意差を認めなかった.血清Hp抗体は有効例では後値が前値の50%未満の低下例が83.5%で, 抗体価の変化でも大まかな除菌効果が予測可能であった.副作用としては蕁麻疹1例と味覚変化2例に途中内服中止例があったが, コンプライアンスは良好で, 軽度の副作用のみであった.今回のコンビネーション療法は重度の副作用の出現もなく, コンプライアンスも良好であり, 一般臨床医でも可能で有効な方法と考えらた.
  • 宮澤 洋
    2000 年60 巻2 号 p. 220-231
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 外傷性肩関節前方不安定症に対して鏡視下Bankart修復術が行われているが, 修復すべき前下関節上腕靭帯一関節唇複合体 (Anterior inferior glenohumeral ligament labrum complex: 以下AIGHLLC) の術前評価は確立されていない.我々は, 初回脱臼 (初回群) , 反復性脱臼 (反復群) , 対照群にMR Arthrography (以下MRA) を行い, AIGHLLCの評価, および反復性脱臼における鏡視所見と比較検討した.MRAの方法は熊谷らの既報に従い, Gd-DTPA液0.2mlと生理食塩水19.8mlを関節内に注入後, 上肢回旋中間位にて, スピンエコー法のT1強調画像にて3~5mmのスライス厚で, 肩甲骨に平行な斜位冠状面と水平横断面の2方向を撮像した.尚, 使用したMRI装置は, ジーメンス製1.0Tおよび, 1.5T装置である.斜位冠状面では, 関節窩前縁を起始部とし, 前下方に向かい前方関節包と合流するband状の低信号を前下関節上腕靭帯 (Anterior inferior glenohumeral ligament: 以下AIGHL) とした.また, このbandの関節唇付着部での幅を計測した.水平横断面でも, 関節窩前縁を起始部とし, 下位スライスで前下方へと連続していくband状の低信号をAIGHLとした.MRAによるBankart損傷の分類として, 教室の広瀬の分類を用いた.鏡視分類として黒川の鏡視分類を用いた.斜位冠状面では, band状のAIGHLの描出が水平横断面より優れていた (p<0.01) .AIGHLのband幅では, 反復群が有意に薄かった (p<0.01) .Bankart損傷のType別分布では, 初回群, 反復群でType別分布に相違を認めた.脱臼回数とAIGHLのband幅には, 有意差はなかった.また, 反復性脱臼において, MRA分類と関節鏡分類は有意に相関していた (P<0.01) .反復性脱臼では, 脱臼回数とMRA分類および関節鏡分類との相関はなかった.これらの結果は, 脱臼回数の少ない時期に関節唇の損傷形態は決定づけられ, 脱臼回数の増加は関節唇以外の, 前方関節支持機構のいずれかの部位に不連続や質的破綻を進行させていくのではないかと推測される.ある程度, 初期の段階でAIGHLが伸張され, 不可逆的変化が生じるものと思われる.術前にAIGHLLC損傷の病態を予測するMRA所見等を十分検討すれば, 鏡視所見や, ある程度予後の可能性が示唆された.
  • 神 與市, 平泉 裕, 藤巻 悦夫
    2000 年60 巻2 号 p. 232-240
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 頚椎の脱臼骨折や慢性関節リウマチおよび長期透析などによる変形不安定頚椎に対しての固定法のひとつとしてpedicle screw法の報告が散見できる.しかし, 頚椎椎弓根は胸腰椎に比べ細く, 脊髄, 神経根, 椎骨動脈などが隣接しているため, 手術に際しては解剖学的位置関係を把握しておくことが不可欠である.我々は, 解剖屍体を用いて独自な方法で解剖学的椎弓根軸を設定し, 実際に三次元的形態計測を行い, 至適なpedicle screwの刺入点, 方向, 長さ, 直径, について検討した.刺入点より外側塊外縁までの距離の平均値は第3頚椎から第5頚椎では約4mmであり, 第6頚椎で5.3mm, 第7頚椎で7.1mmであった.刺入点より外側塊下縁までの距離の平均値は第3頚椎から第5頚椎では約10mmであり, 第6頚椎で11.3mm, 第7頚椎で15.5mmであった.解剖学的椎弓根軸の内側への傾斜角は, 第3頚椎から第5頚椎では約50°, 第6頚椎で38°, 第7頚椎で31°であった.矢状面での傾斜角は, 第3頚椎の11°より下位頚椎に従って徐々に減少してゆき, 第7頚椎では-5°であった.至適なpedicle screwの長さは椎体によらず, 20-25mmであった.至適なscrewの直径は最小のC3で2.7~3.5mm, 最大のC7で4.0~5.3mmと考える.しかし, 今回の研究の中でもっとも小さい至適なscrewの直径は, C3における1.9mmであったことを考えると, この太さでは強度的に無理があり, 術前の計測によってはpedicle screw刺入が不可能な椎弓根も存在すると考える.今回の形態計測研究の結果は, 術前の詳細なCT撮影や従来よりあるレントゲン撮影の情報とともに中下位頚椎のpedicle screw固定法の手技をより安全なものにすると考える.
  • 三雲 仁, 平泉 裕, 星野 雄志, 高木 康
    2000 年60 巻2 号 p. 241-247
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    骨折治癒での骨代謝マーカーの変動モデルとして, 股関節疾患に対する骨切術 (股関節臼蓋形成不全に対する寛骨臼回転骨切術, 特発性大腿骨頭壊死に対する大腿骨回転骨切術) の手術前後における骨代謝マーカーの変動を検討した.症例は寛骨臼回転骨切術: 8例, 大腿骨回転骨切術: 3例の計11例である.今回検討したのは, 血清カルシウム, 無機リン, アルカリ性ホスファターゼ (ALP) , 骨型ALPなど日常的に測定されている骨代謝マーカーに加えて, オステオカルシンとカルシトニンを測定し, 手術前から術後3, 7, 14, 21, 28日まで追跡した.血清カルシウムは, 術後3日目に術前値の90.3±1.5% (平均値±標準誤差) と最低値になった後に漸増し, 14日目に100.1±2.0%と術前値に復する経過であった.一方, 無機リンは術後3日目に73.3±6.1%とカルシウムと比較して異常低値になった後漸増し, 14日目には109.3±5.5%となり, 21日目には115.1±4.5%とリバウンド的に術前値より高値となる経過であった.また, 骨型ALPは術後3日目に80.2±5.4%まで低下した後, 7日目より上昇し, 21日目には術前値の160.5±26.2%, 28日目には134.0±118.4%と上昇が認められ, 骨芽細胞の増殖は術後7日目頃からおこることが示唆された.特異的骨代謝マーカーであるオステオカルシンは術後3日目に術前値の60.6±6.2%にまで低下したものが14日日には100.9±9.0%と術前値に復した後漸増し, 21日目に108.2±10.7%, 28日目には131.0±12.2%と上昇が持続する経過であった.一方カルシトニンは, 術後3日目に1499.3±571.2%と著明に上昇した後漸減し, 14日目には317.2±93.8%, 21日目には282.8±107.2%, 28日目には264.4±94.5%と漸減する変動であった.骨切術による生体反応としては, 骨吸収を抑制し, 骨新生を促進することが必要であり, カルシトニンとオステオカルシンの変動はこれらを良く反映していることが確認できた.
  • 高場 恵美, 塩川 章, 瀧本 雅文, 太田 秀一, 角田 ゆう子, 神谷 憲太郎
    2000 年60 巻2 号 p. 248-257
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/11/19
    ジャーナル フリー
    1990~1992年の3年間に当院で手術された女性の原発性乳癌130例について, ホルモンレセプター, MIB-1, p53, c-erbB-2の発現と予後との関連をretrospectiveに検討した.ホルマリン固定・パラフィン包埋材料を用い, エストロゲンレセプター (ER) , プロゲステロンレセプター (PR) , MIB-1, p53, c-erbB-2はLabelled Streptavidin Biotin (LSAB) 法にて免疫染色を行い, 組織型, 臨床的因子とあわせて予後の検討を行った.免疫染色の陽性率は, ERは症例の68.5%, PRは53.8%, MIB-1は39.2%, p53は50.8%, c-erbB-2は66.2%であった.MIB-1陽性細胞の増加やp53, c-erbB-2の陽性化に伴い予後が不良であった.特に, MIB-1増加・p53陽性例は5年生存率が69.2%と低く, 予後不良であり, この組み合わせは予後判定の指標として有用であった.
  • ―関節鏡所見および動作解析による検討―
    渡辺 幹彦
    2000 年60 巻2 号 p. 258-265
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    投球障害肩の病態を明らかにすることを目的として, 投球障害肩の関節鏡所見による病変の把握と投球障害を有する者と有さない者との投球動作の比較検討を行った.関節鏡所見では上方関節唇損傷を10名中9名, 棘上筋腱の関節面不全断裂を10名中7名に認めた.関節窩上方から前上方にかけての関節唇剥離に伴う関節唇複合体損傷が投球障害肩の特徴的関節鏡所見と考えられた.動作解析のstick-figureの比較ではコントロール群は加速期からボールリリースまで体幹の回旋によってボールを加速していたが, 障害肩群では加速期の途中で体幹の回旋が止まり, 上肢の動きでボールを加速していた.各関節の最大速度の達するまでの時間の比較検討では, 障害肩群では投球相の加速期において肩関節, 肘関節ともにコントロール群に比較して早く最大速度に達し, 逆に肘関節-手関節間の最大速度到達時間間隔は有意に延長していた.これは加速期において肩関節, 肘関節は減速しながら, ボールを加速する時間が長いことを意味し, 肩関節へのストレスとして働いていると考えられた.
    動作解析の結果と関節鏡所見の病変部位から投球障害肩の病態は, 投球動作の加速期における体幹と上肢の協調運動の破綻によって発生するストレスによる関節窩前上方の関節安定化機構の破綻であり, 結果的に上方関節唇損傷や腱板関節面不全断裂を導くと考えられた.
  • 奥山 大輔, 小塚 和人, 長塚 正晃, 千葉 博, 幸本 康雄, 齋藤 裕, 矢内原 巧
    2000 年60 巻2 号 p. 266-272
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    下垂体からのゴナドトロピンの分泌は視床下部からのLH-RHのパルス状分泌により律動的におこることが知られているが, LH-RHパルスがどのような機序で始まるかは明らかでない.また, 思春期及び若年婦人においての無月経患者におけるLHパルス分泌の報告は少ない.視床下部性無月経は第1度無月経 (G-I) と第2度無月経 (G-II) に分類され, G-IIではクエン酸クロミフェンにより良好な排卵の回復がみられるが, G-Iのなかにはクエン酸クロミフェンに無反応の症例がある.今回, 若年婦人の視床下部性無月経患者における夜間LHパルス分泌を分析するとともに, G-Iのうち, クエン酸クロミフェンに対する反応性とLHパルスとの関連について検討した.今回, G-I21名 (18.4±1.8歳) , G-II14名 (18.9±1.8歳) を対象とし, 夜間LHパルス分泌動態を正常月経周期を有する正常群6名 (17.0±2.4歳) と比較した.さらに, G-I患者のうち12例については, クエン酸クロミフェンを経口投与し, 排卵の有無により反応群 (CR) と無反応群 (CNR) に分類した.1) 夜間血中ホルモン濃度およびLHパルスの比較: Estradiol値において, G-IIはG-Iに比し有意の低値を認めた (p<0.02) .G-IIのLHパルス頻度は正常群, G-Iに比し有意な減少 (p<0.01) を認めた.一方, LHパルス振幅は無月経の程度が重症化するに従い, 軽微な増加傾向を認めた.G-IのLHパルス分泌は正常群と差を認めない一方, G-IIは夜間平均LH値の減少, LHパルス頻度の有意な減少, 振幅の増加傾向が特徴的であり, 特にその周期性に障害があることが推察された.2) CR群とCNR群の夜間ホルモン分泌動態の比較: 両群ともエストロゲンの分泌はほぼ同等の値を示すが, CNR群の夜間平均血中LH, FSH値はCR群に比し低値, パルス頻度, 振幅はCR群に比し有意の低下を認めた.これらのことから, CR群の夜間LHパルス動態は正常に近似している一方, CNR群のそれは夜間平均血中LHとLHパルス頻度においてG-IIに近い動態を示したことから, G-Iの中でもパルスジェネレーターもしくはパルスの分泌に異常を示すものが存在する可能性が初めて示された.また, G-Iのうちのクエン酸クロミフェン無反応症例はLHパルスジェネレーターの異常に加えて, エストロゲンの中枢へのfeedback機構の障害が二次的にパルス分泌異常をひきおこしている可能性が考えられた.
  • ―パラフィン組織切片上の元素分析法及び病理組織の比較検討―
    都筑 宏太郎
    2000 年60 巻2 号 p. 273-284
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    結晶性関節炎の患者から滑膜組織を採取し, 通常のパラフィンを用いて切片を作製し結晶分析を試みた.結晶の分析には電子線マイクロアナライザー (Electron Probe Micro Analyzer: EPMA) , X線回折 (X-ray diffraction: XRD) 及び微小点X線回折 (μ X-ray diffraction: μXRD) を用いた.EPMAは沈着物質の分布状態や, その元素の同定及び含有量を測定した.XRDは組織全体に含まれる化合物を同定した.μXRDはEPMAの結果得られた沈着物質に焦点を合わせ化合物を同定した.その結果, 採取した組織はパラフィン処理を施行し切片を作製することによって, 結晶を分析することが可能であった.また, EPMAを用いることにより結晶の存在が疑われる部位の分布を正確に把握することができ, その元素の種類や含有量をも測定することが可能であった.さらに同一部位の病理組織染色標本を作製することにより, 結晶周囲の組織病変を観察することができた.従来, 結晶の解析には結晶体を取り出して解析を行うのが通常であったが, 今回のパラフィン切片によっても組織内での個々の結晶による成分の違い, 同一結晶物でも表面と内部の構成元素の違い, 従来のパラフィンブロックによる症例の解析, 結晶物周囲の細胞の反応の状態など組織像との対比も可能であり, 結晶性関節炎の解析にとっては極めて有効な方法になることが証明された.
  • 中村 誠, 野村 恭也, 洲崎 春海
    2000 年60 巻2 号 p. 285-294
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    頑固な内耳性めまい症状を有する症例に対する手術的治療としては, 内耳破壊術あるいは前庭神経切断術が行われる.これらの手術は侵襲が大きいため, 最近はレーザー照射による前庭器の破壊手術が開発されてきた.本研究では, 球形嚢の機能廃絶を目的としたアルゴンレーザー手術は可能であるか否かについて検討した.研究材料には, 剖検の際に摘出され, 6~12ケ月間4%ホルムアルデヒド溶液に固定された52歳から91歳 (平均年齢82.7歳) の20個のヒト側頭骨を使用した.まず, アルゴンレーザーの吸収に影響を与える球形嚢壁に存在する色素を同定するために組織学的検討を行った.その結果, ヒト球形嚢壁に存在する色素はリポフスチンであることが分かった.次に, アルゴンレーザー透過性に関する検討を行った.ヒト側頭骨よりアブミ骨底を摘出し, 前庭窓から球形嚢壁に対して垂直に, アルゴンレーザーを出力1.5w, 照射時間0.5秒間で1回照射を行ったところ, 照射野の球形嚢壁に多数の小穿孔が生じた.これらの結果から, アルゴンレーザーによる球形嚢斑の破壊は蝸牛に悪影響を与えることが示唆された.
  • 久保田 潤, 内田 均, 藤巻 悦夫
    2000 年60 巻2 号 p. 295-299
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は78歳女性, 両手の痺れ, 巧緻運動障害, 歩行困難にて平成9年10月当院整形外科入院.入院時の日本整形外科学会頸髄症治療成績判定基準 (以下JOAスコア) は7/17であった.頸椎MRIではT1, T2強調像共に低信号で, ガドリニウムにて増強効果を認めない硬膜外腫瘤が歯突起後方に存在し, 脊髄を著明に圧迫していた.同部の腫瘤による脊髄症と診断しC1C2の椎弓切除及び, 後頭骨頸椎後方固定術を施行した.腫瘤の摘出は行わなかった.術後腫瘤の状態をMRIにより調査した結果腫瘤の縮小が認められ, JOAスコアも11/17と改善した.環軸関節の不安定性や関節症性変化のある症例では環椎横靭帯の亀裂と修復の繰り返しによる慢性的な機械的刺激が繊維性軟骨異形成を引き起こすとされている.腫瘤の本態が環椎横靭帯の反応性肥厚であることを考慮すると, 同部の固定のみでも腫瘤の縮小が期待できる.
  • 依田 欣之, 丸山 繁, 花岡 亮輔, 水野 雅夫, 岡田 哲朗, 国分 二三男, 足立 満, 柳瀬 賢次, 中村 美加栄, 豊田 高彰, ...
    2000 年60 巻2 号 p. 300-304
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は62才女性, 気管支喘息, 慢性肝炎にて外来通院中であった.慢性肝炎に対して強力ネオミノファーゲンC (以下強ミノCと略す) 静注を受けた後, 鼻汁, 喘鳴が出現した.強ミノC静注負荷試験を施行したところ1秒量 (FEV1.0) 21%の低下と喘鳴を認めた.また強ミノCの成分であるグリチルリチン酸モノアンモニウム (以下グリチルリチン酸と略す) , アミノ酢酸, L-システイン, 亜硫酸ナトリウムを成分別に吸入負荷したところグリチルリチン酸にて1秒量 (FEV1.0) 13.6%の低下を認め鼻汁, 胸苦しさが出現した.本症例では強ミノCの成分であるグリチルリチン酸によって発作が誘発されたと推定された.
  • 竹内 晋, 門倉 光隆, 片岡 大輔, 山本 滋, 野中 誠, 道端 哲郎, 井上 恒一, 川田 忠典, 高場 利博, 久保田 勇人, 北原 ...
    2000 年60 巻2 号 p. 305-307
    発行日: 2000/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top