体幹組織構成の年齢的変化を明らかにするために, 日本人成人100名 (男50, 女50) のCT写真を体幹5断面高で撮影し, 部位別, 性別, 年齢別1ご検討した.CT写真撮影はErdheim格子線に準じて, E5 (胸骨中点高) , E6 (剣状突起高) , E7 (上腹部高) , E8 (臍高) , E10 (下腹部高) について行い, 構成分としては, 脂肪層, 骨筋層, 体腔の断面積を測定, 総断面積に対する比を算出し, 比較検討した.結果: 1.各断面の総断面の総断面積は男性では各年代ともE5が最も大, E6がこれにつぎ, E8が最も小で, すべての断面において30歳代以降加齢的減少の傾向が認められた.女性でも部位別の総断面積の大きさの順位は同様であったが, E10はE6に近い値を示し, 年齢的には40歳代に増加, 50歳代に最高に達し, 60歳代で急減する傾向が見られた.2.各組成比の年齢的消長を見ると, 脂肪層比は男性では30歳代以降加齡減少の傾向を示し, 女性では30歳代から50歳代の間ではほぼ等しく, 60歳代から加齢減少の傾向を示した.各年代ともE8が最も高く, 女性が男性よりも高かった.骨筋層比は一般に男性は60歳代から減少, 70歳代が最小となる傾向が見られたが, 女性では年齢差はほとんど見られなかった.体腔比は男女とも40歳代から加齢増加の傾向を不していた.3.各断面構成の年齢的消長を見ると, E5, E6, E7では男女各年代とも体腔比が最蔭高く, 骨筋層比がこれに次ぎ, 脂肪層比が最も低かった.E8では男性は全年代を通して骨筋層比が最も高く, 体腔比がこれに次ぎ, 脂肪層比が最も低かった.これに対して女性では30歳代から50歳では脂月々層比が, その後は骨筋層比がそれぞれ最も高かった.E10では男女とも骨筋層比が最も高かったが, 男性では40歳代から体腔比が, 女性では30歳代から脂肪層比が, 70歳代には体腔比がそれぞれ骨筋層比に次いでいた.4.各断面における各組成の男女差を見ると, 脂肪層比は各断面において各年代とも女性が男性よりも優り, 骨筋層比はE5, E8, E10では各年代とも著明に, E6では僅かに, E7では60歳代迄それぞれ男性が女性よりも優り, 体腔比はE5では各年代とも, E6とE7では40歳代から男性が女性よりも優り, E8, E10では各年代とも男女差は認められなかった.
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