昭和医学会雑誌
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67 巻, 3 号
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  • 塩沢 英輔, 矢持 淑子, 瀧本 雅文, 太田 秀一
    2007 年 67 巻 3 号 p. 157-159
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 江 修博, 小澤 優樹, 茅野 博行, 上田 宏昭, 江波戸 修一, 川村 喜太郎, 安藤 浩巳, 長谷川 雅一, 片桐 敬
    2007 年 67 巻 3 号 p. 160-171
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心肥大は, 突然死, 心不全, 心筋梗塞, 狭心症などを高率に起こすと報告されている.しかし, 急性心筋梗塞の病態や予後に及ぼす心肥大の影響についての報告は少ない.そこで, 発症24時間以内に収容された初回急性心筋梗塞患者202例 (男性148例, 女性54例, 平均年齢66.3歳) を対象に, 第1病日に施行した心エコー図法から左室心筋重量係数 (LVMI) を算出し, 心筋重量の重いA群110例 (LVMI: M≧130, F≧120) と軽いB群92例 (: LVMI: M<130, F<120) に分け, 急性期, 慢性期の血行動態, 心エコー図所見, 病態, 予後について比較検討した.また, 心筋重量の重いA群において, 心筋重量が第1病日に比し第28病日で減少する改善群 (A1群32例) と不変または増加する非改善群 (A2群63例) に分け, 同様に比較検討した.平均追跡期間は4.7年であった.Riskfactorである高血圧, 糖尿病の既往がA群で有意に高率であったが, その他の臨床背景には有意差は認めなかった.左室壁菲薄化は両群ともに経時的に出現率が高くなり, A群で高率にかつ発症早期より認めた.予後の検討では, 急性期ではA群はB群に比し心不全, 慢性期では, 心不全, 狭心症の発症率が有意に高率であり, 死亡, 心不全, 心筋梗塞再発作, 狭心症を合わせた心事故発生率も急性期, 慢性期ともA群で有意に高率であった.冠危険因子である高血圧, 糖尿病, 喫煙, 高脂血症, 肥満, 心筋重量の急性期の心不全, 狭心症, 心事故におけるオッズ比は, 狭心症では有意差を認めなかったが, 心不全, 心事故では心筋重量が2.77, 2.07と有意差を認めた.慢性期におけるオッズ比は, 心不全, 狭心症では心筋重量が3.51, 3.30と有意差を認め, 心事故では高血圧1.88, 肥満0.50, 心筋重量4.29と有意差を認めた.一方, LVMI≧130の改善群, 非改善群の比較では, 高血圧の既往がA1群で有意に高率であったが, その他の臨床背景には有意差は認めなかった.心エコー図所見では, 左室壁菲薄化は経時的に出現率が高くなり, 特に非改善群のA2群で高率にかつ発症早期より認められた.予後の検討では, 急性期では心不全, 心事故がA2群で有意に高率で, 慢性期ではA1群で狭心症の発症率が有意に高率であった.以上より, 心肥大に急性心筋梗塞を合併した場合には, 急性期, 慢性期の予後が悪く, 心筋梗塞発症早期より梗塞範囲の縮小, リモデリングの抑制, さらに心筋重量の改善を目的とした積極的な治療を進めることが必要であると考えられた.
  • 首藤 直樹, 森田 順, 永田 将一, 鈴木 康太, 森田 将, 深貝 隆志, 吉田 英機, 五十嵐 敦, 石原 理裕, 檜垣 昌夫
    2007 年 67 巻 3 号 p. 172-181
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    今回我々は前立腺癌患者に対する内分泌治療の意義を明確にする目的で初期治療として内分泌治療を施行した症例の長期的な臨床経過ならびに予後因子についてレトロスペクティブに検討を行った.対象は1988年から2005年までの17年間に昭和大学病院および独立行政法人国立病院機構災害医療センター泌尿器科を受診し, 病理組織学的に前立腺癌と診断され初回治療として内分泌治療を施行した692例である.一般的に予後と関連があるといわれているPSA, 臨床病期 (Clinical stage) , Gleason score別に生存率, 非再燃率について検討を行いその予後因子としての有用性について検討を行った.また, 近年新たな予後因子として注目を集めている前立腺針生検時の癌の陽性本数の比率 (% positive core) についても検討を行った.年齢は50~97歳まで分布し, 中央値76歳観察期間は10日から5812日, 中央値886日, PSAの中央値は31ng/ml (最低0.7-最高18000ng/ml) であった.全体の5年生存率は70.7%, 10年生存率は51.6%, 疾患特異的5生存率は82.9%, 疾患特異的10年生存率は68.3%, 5年非再燃率は61.9%, 10年非再燃率38.8%であった.Kaplan-Meire法では, 検討した全ての因子において, 全てまたは一部のカテゴリー間で有意差がみられた.多変量解析では臨床病期, Gleason score, 生検陽性本数の比率 (% positive core) が生存率に有意に影響を与えた因子であった.これらの結果をもとに5年疾患特異生存率の症例数をノモグラムとして作成し治療前に患者に提示できるようにした.早期前立腺癌に対する内分泌治療は十分に長期制癌が望めることが示され, 今後この情報を適切に患者に知らせる必要があると考えられた.また, 前立腺針生検時の癌の陽性本数の比率 (% positive core) が前立腺癌の内分泌治療後の独立した予後因子であることも示された.
  • 下間 順子, 瀧本 雅文, 前田 崇, 本間 まゆみ, 塩沢 英輔, 矢持 淑子, 九島 巳樹, 太田 秀一, 齋藤 文護, 中牧 剛, 友 ...
    2007 年 67 巻 3 号 p. 182-189
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    多発性骨髄腫では腫瘍血管新生やシクロオキシゲナーゼ2 (cyclooxygenase-2: COX-2) 発現が負の予後因子として報告されている.これらは近年注目されている骨髄腫細胞と血管内皮細胞, 間質細胞, 破骨細胞等の骨髄微小環境での相互作用においても, 重要な役割を担っていることが考えられる.今回我々は, 多発性骨髄腫の骨髄標本を用いて, COX-2発現と血管密度の相関および臨床的予後について, 免疫組織学的に検討した.初診時の多発性骨髄腫80例のホルマリン固定パラフィン包埋骨髄標本を用いてCOX-2とvon Willebrand Factorの免疫染色を行った.免疫染色の評価はCOX-2については, 陽性率と染色強度をスコア化し, 高発現群と低発現群に分けて検討した.血管密度についてはvon Willebrand Factorの陽性所見から一視野辺りの血管数の平均をMicrovessel density (MVD) として求めた.その結果, COX-2強発現群, 弱発現群間では全生存率で有意な差がみられ, さらにCOX-2高発現群では, 血管密度も増加している傾向がみとめられた.COX-2が多発性骨髄腫の血管新生に関与している可能性が示唆され, 近年注目されている骨髄腫細胞と骨髄微小環境をめぐるネットワークにCOX-2と血管新生が互いに影響を与えつつ, 骨髄腫の病態に関与している可能性が示唆された.
  • 池田 幹雄
    2007 年 67 巻 3 号 p. 190-196
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    免疫学的測定法の一つである酵素免疫測定法 (Enzyme Immunoassay, EIA) の試薬性能を改善するため, 新たな免疫固相を作製した.すなわち, 等電点がpH8.5であるゼラチンとアラビヤゴムの希薄溶液を等量混合し, 40℃に加温したアルコール溶液に加えた.徐々に酸を加えてコアセルヴェート液滴を生じさせた.アルコール溶液にはあらかじめ酸化第二鉄コロイドとヘキサメタリン酸ナトリウムを加えておき, これらを液滴内に取り込ませた.母液を4℃に冷却し, コアセルヴェート液滴をゲル化させると直径約2μmの微粒子が生成した.グルタールアルデヒドを加えてゼラチンの分子内および分子間に架橋を形成させ, 粒子を不溶化した.粒子の表面および内部には酸化第二鉄コロイドとヘキサメタリン酸ナトリウムが沈積するため, 粒子は磁性を有し, リン酸基の解離により負に荷電する.このようにして得られた磁性ゼラチン粒子を固相として, B型肝炎ウイルス (HBV) 表面抗原 (HBs抗原) 測定用のEIAを組み立てた.すなわち, 磁性ゼラチン粒子をベンゾキノンで処理し, 活性化した.粒子分散液に抗HBs抗原ウサギ抗体を加えて固相化し, 健康家兎血清を用いて粒子表面をブロッキングした.患者血清を試験管に採り, 固相液を加えて37℃で10分間加温した.試験管を磁石の上に置き, 固相を分離した後, 上清を吸引除去した.リン酸緩衝化生理食塩水 (PBS) で固相を洗浄した後, アルカリホスファターゼ標識抗HBs抗原マウスモノクローナル抗体を加え, 37℃で10分加温した.再び洗浄後, 酵素基質液を加え37℃で5分間加温した.波長477nmにおける発光量を測定し, cut off indexを求めた.
  • ―術中循環系イベントの発生および術前合併症との関連性についての臨床的検討―
    中島 育代
    2007 年 67 巻 3 号 p. 197-208
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    高齢者では, 加齢のほかに随伴疾患の影響を受けて諸臓器の機能が低下しているため, 周術期に慎重な管理を要する.麻酔管理における加齢の影響を検討するため, 術前から有する合併症と術中合併症の発生および血行動態の変動との関係をレトロスペクティブに調査した.開心術, 人工心肺使用例および産科麻酔を除く40歳以上の麻酔管理症例1956例を対象とし, 10歳ごとに5群に分類した.さらにそれぞれを全身麻酔群, 硬膜外併用全身麻酔群, 脊髄くも膜下麻酔群の3群に分類した.すべての情報は麻酔記録より収集した.術前からの合併症麻酔導入薬の使用量, 術中異常高血圧 (収縮期圧>180mmHg) の発生, 術中異常低血圧 (収縮期圧<80mmHg) の発生, 不整脈の頻度および昇圧薬の使用状況などについて比較した.統計はMann-WhitneyUおよびFisher's PSLDを用い, P値<0.05をもって有意差ありとした.また術前からの合併症と術中の循環系イベントとの相関関係をSpearman rank correlationにて検討した.術前合併症は年齢とともに有意に増加した.特に高血圧症, 心電図異常, 心疾患の3つの合併症の合併率が高く, その上それらの随伴率は各年代における差が大きかった.術中異常高血圧の発生は全身麻酔単独群で多く, 硬膜外麻酔の併用で減少した.術中異常高血圧と術前からの高血圧症には弱いが相関関係があった.術中異常低血圧は, 硬膜外併用全身麻酔群で多かった.術中異常低血圧と術前の心電図異常には弱いが相関関係があった.昇圧薬の使用は硬膜外併用全身麻酔群で多く, 特に60歳代以上の年代では半数以上の症例で使用されていた.術中不整脈の発生には年代間において有意差はなかった.導入に使用したプロポフォールの投与量は年代問に有意差はなかった.術中の輸血施行率は全身麻酔群および硬膜外併用全身麻酔群で高かった.また50歳代以上の群における緊急手術では30~50%と高率に輸血が行われていた.加齢が進むにつれて, 術前からの循環器系の合併症を随伴する率が高くなり, その上術中の血圧変動が強かった.術中循環系イベントの発生および術前合併症の臨床的検討の結果から, 加齢が麻酔管理に影響することが明らかとなった.従って, 高齢者の麻酔管理には適切な昇圧薬の使用や薬剤の投与量の調節が必要である.
  • 石田 育男, 幸田 力, 柳川 容子, 松下 浩一郎, 島村 忠勝, 宮岡 英世
    2007 年 67 巻 3 号 p. 209-216
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    カテキンは緑茶の構成成分であり, 抗菌作用を始め様々な生理活性を有することが知られている.カテキンの中でもエピガロカテキンガレート (EGCg) は緑茶中の含有量が最も高く, また抗炎症作用を有することが明らかとなっている.骨髄炎では炎症性サイトカインやreceptor activator of NF-κB ligand (RANKL) の産生が骨融解を促進し治療を困難にしていることから, 本研究ではEGCgが骨髄炎治療に用いうる可能性について検討をおこなった.まず, ヒトの骨髄炎の主要な起因菌である黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus) をマウス骨芽細胞に感染させ, そこで産生誘導される炎症性サイトカインについてEGCgの影響を調べた.マウス骨芽細胞をEGCgで処理すると, S.aureus感染で誘導されてくる炎症性サイトカインのILIαおよびIL6の産生を抑制し, さらにそれに伴うRANKLの産生も抑制することが示された.これらの結果からEGCgは骨髄炎において骨融解を抑制することが考えられ, 骨髄炎治療に有用である可能性が示唆された.
  • 遠井 健司, 桑迫 勇登, 中島 育代, 吉江 和佳, 鈴木 保良, 鹿島 邦昭, 安本 和正
    2007 年 67 巻 3 号 p. 217-220
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    水疱性類天疱瘡は全身の皮膚の至る所や粘膜に水疱が多発する自己免疫性皮膚疾患である.本症と種々の悪性腫瘍との合併も報告されており, これらの患者に対して手術が行われることも稀ではない.今回我々は, 57歳女性, 水疱性類天疱瘡を合併した子宮体癌患者の麻酔管理を経験した.術前にステロイドの塗布や経口投与を行い, 水疱は軽減し, 四肢体幹に色素沈着を認める他には皮膚症状は軽快していた.麻酔は脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔とした.術中は良好な鎮静, 鎮痛が得られ, 特に問題なく経過したが, 手術終了時に尾底部に水疱形成や布片の接着面に皮膚の表皮剥離を認めた.術後は特に問題なく経過し, 再発は認められず, 軽快退院した.
  • 佐々木 康綱
    2007 年 67 巻 3 号 p. 221-226
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • ―イレッサをめぐる諸問題―
    中川 和彦
    2007 年 67 巻 3 号 p. 226-232
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • ―トラスツズマブを中心としたあらたな動き―
    佐伯 俊昭
    2007 年 67 巻 3 号 p. 232-237
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 藤井 博文
    2007 年 67 巻 3 号 p. 238-242
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 中牧 剛
    2007 年 67 巻 3 号 p. 242-252
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 大井 正也, 石川 昇, 大野 正裕, 福隅 正臣, 岡山 尚久, 尾本 正, 手取屋 岳夫, 川田 忠典, 大山 祥, 吉武 理, 草野 ...
    2007 年 67 巻 3 号 p. 253-256
    発行日: 2007/06/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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