昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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51 巻 , 6 号
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  • 猪口 清一郎
    1991 年 51 巻 6 号 p. 601-611
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 児玉 秀文, 青木 明, 梅田 知幸, 水野 幸一, 米山 啓一郎, 竹内 治男, 小貫 誠, 八田 善夫
    1991 年 51 巻 6 号 p. 612-619
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肝疾患において不可逆的な変化を来す原因の一つに肝線維化があり肝の形態変化のみならず機能にも影響を与える.したがって慢性肝疾患の病態を知るうえで肝線維化を把握することは重要である.そこで非活動型慢性肝炎 (CIH) , 活動型慢性肝炎 (CAH) , 肝硬変 (LC) , 肝硬変合併肝細胞癌 (HCC) に於ける同一血清中のtype IV collagen 7S-domain (7S) , type III procollagenN-peptide (P3P) , type I procollagenC-peptide (PIC) とprolyl hydroxylase (PH) 濃度を測定しその臨床的有用性を検討した.RIA法で測定した7Sの濃度は平均±SDで各疾患それぞれ5.06±1.55ng/ml, 6.98±2.41, 10.42±2.69, 12.2±3.62であった.IRMA法によるP3P濃度は, 8.06±3.82u/ml, 12.61±4.93, 15.12±4.31, 17.05±5.38であった.EIA法によるPICは, 847.3±142.2ng/ml, 1258±356.8, 1106±295.9, 1164±412.0, EIA法によるPHは60.06±11.74ng/m1, 57.58±14.43, 60.24±15.03, 82.31±55.20であった.同一血清7S, P3P濃度の平均値は, 組織学的に肝線維化の強くなる順にCIH, CAH, LC, HCCと高くなり有意差 (P<0.01) を認めたが, LCとHCCとの間には有意差はなかった.7Sは, LCとHCCで全例異常高値を示すが10ng/ml以上を示す例はHCCに多かった.P3Pは, CIHを除き測定域が大きかった.P1Cは, CIHで全例正常値をしめしCAH, LCとHCCより有意に低く (P<0.01) , CAHが一番高い傾向にあった.PHは, HCCで高い傾向にあるものの各群間には有意差は認められなかった.肝の線維化マーカーとしては7Sの陽性率が一番高く肝線維化をよく反映し, P3PとP1Cはこれに加え炎症壊死の要素が加わりCAH, LC, HCCの鑑別がっきにくかった.今回測定した線維化マーカーは, 血清濃度が高い場合には肝硬変をさらには肝細胞癌の存在も考慮すべきであると考えられた.今回の検討から血清PHの測定は, 各群間に有意差がなく臨床上有益でないと考えられた.各線維化マーカーは一般臨床検査とは一定の相関関係にはなかった.7S, P3PとP1Cは, 互いに相関関係がなく各々独立した線維化パラメーターと考えられ血清測定値の意味づけは多少異なるものと考えられた.以上より7Sは, 肝の組織学的線維化の程度に相関し, P1Cは肝の線維化の程度より肝細胞炎症壊死による線維合成を, P3Pは両者を反映しているものと考えられ, さらには肝細胞癌の存在は肝での線維合成の亢進を招来しているものと考えられた.
  • 浦野 芳治, 西田 均, 川田 泰司, 八田 善夫
    1991 年 51 巻 6 号 p. 620-626
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症における上行性側副血行路の評価を目的に, ドップラー断層法 (real-time two-dimensional Doppler echography, Color Doppler) と超音波内視鏡 (endoscopic ultrasonography: EUS) を組み合わせたColor Doppler-EUS (CD-EUS) を用いて, 門脈圧亢進症患者44例, 対照例 (コントロール) 24例を対象に, 胃食道静脈瘤 (胃食道壁内血流) , 壁外静脈, 奇静脈を観察し, その定性的および定量的評価を試みた.胃食道壁内血流, 壁外血流に関しては血流検出の有無および血流が検出された場合は血流方向, 血流波形を, 奇静脈では中部奇静脈 (仮称) 径と血流波形を検討し, 以下の結果を得た. (1) CD-EUSにより非侵襲的かつ比較的生理的な奇静脈, 胃食道壁内静脈, 壁外静脈等の門脈圧亢進症における上行性側副血行路の構築および血流観察が可能であった. (2) コントロールでは胃体上部小彎および大彎側にそれぞれ一カ所の動静脈胃壁穿通部を認め, この部位にのみ胃に流入する動脈血流と流出する静脈血流がカラー表示され, これより口側の胃および食道には壁内静脈血流は検出されなかった. (3) 門脈圧亢進症では胃食道壁内, 壁外静脈血流が検出され血流方向は逆流していた.胃壁内静脈血流はsm層を主体に認められ食道壁内静脈血流へ連続し, 壁外静脈血流も胃壁外から食道壁外へ連続していた. (4) コントロールでは奇静脈は流出路までしか描出されず, 中部奇静脈径は3.10±0.98mmであった.門脈圧亢進症ではコントロールに比して中部奇静脈径は有意に拡張し, また奇静脈流出路よりも口側まで連続する静脈血流を認めた. (5) 血流波形は壁内静脈では食道静脈瘤のF因子が軽微であれば定常流を, 進行すると拍動流を示した.壁外静脈も軽度の拡張では定常流を, 高度な場合は拍動流を呈した.奇静脈血流波形はコントロールでは定常流あるいは拍動流を呈し, 門脈圧亢進症では拍動流であった. (6) CD-EUSは奇静脈流出路, 壁外静脈等まで描出でき, 食道静脈瘤の内視鏡的硬化療法の適応の選択, 効果判定, 合併症の予防などに有用である可能性が示唆された. (7) CD-EUSにより上行性側副血行路の形態診断や血行動態の観察ができ, 門脈圧亢進症の研究や肝外短絡路の評価, 血流動態の分析手段として有力なものとなりうることが示唆された.
  • 古松 弥生
    1991 年 51 巻 6 号 p. 627-643
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    本研究は, 健康的な被服環境をととのえるための基礎的研究として高年女子の身体形態特性の把握とその表現法の開発を目的として実施したものである.調査対象は, 身体計測および上半身の体表展開図を採取するため, 立体裁断を同時に行った63~87歳の在宅の高年女子111名, 身体計測のみ行った19~24歳の若年女子111名である.結論: 1) 身体計測値・指数などを用い, 若年女子および高年女子の成績について主成分分析を行い, 全身は5つ・上半身は3つ・下半身は4つの身体形態特性を表現する主成分を抽出した.この結果から上半身の表現法には各主成分を代表する項目として「背肩幅/胸囲」「背幅/背肩幅」「前中心丈/背丈」が妥当であると判断した.また, 下半身の主成分を代表する項目は「腰囲」「胴囲」「腰囲一胴囲」「腹囲一胴囲」「W.L.→床の前後差」が妥当であると判断した.2) 高年女子と若年女子の主成分得点の検討および計測値・指数の観察結果から, 表現する項目は同じでも具体的な形態特徴は両者間に大きな差異があると判断した.すなわち, 高年女子は若年女子と比較して胸囲に対して背肩幅が狭く, 背肩幅に対して背幅が広く, 背丈に対して前中心丈が短い形態特徴を持っている.また, 下半身では, 若年女子より胴囲・腹囲が非常に大きく, そのため腰囲と胴囲との差は少ないが腹囲と胴囲との差は若年女子と同じである.また, 丈の前後差では, 前が後より長いという特徴を持っている.3) 身体形態特性の要因を代表する項目を主成分分析の結果から選び, これを用いて若年女子・高年女子別にクラスター分析を行い, 上半身・下半身の体型の類型化を行った.クラスター分析により分類された高年女子の各クラスターの身体形態特徴を若年女子と比較して観察した結果, その差異が明らかであった.4) クラスター分析に用いた変数が類型化に寄与する程度を把握する為に正準判別分析を行いクラスター毎の正判別率を検討した.この結果, 若年女子と高年女子との問にその相違が認められた.5) 高年女子の上半身形態特性を表現する主成分の意味および各クラスターの体型の特徴を, 近似体表展開図を示すことにより視覚的に観察した.この, 近似体表展開図は, 衣服原型に近い形なので, 身体計測値を用いて分類された体型別衣服設計にも十分役立つものである.
  • 水野 健朗, 西田 均, 宮本 二一, 八田 善夫, 高橋 正一郎, 腰塚 浩
    1991 年 51 巻 6 号 p. 644-650
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡的逆行性膵管造影 (ERP) , 超音波内視鏡 (EUS) , Caerulein-Secretin test (CS test) を施行した慢性膵炎症例43例, 正常対照13例において, ERP診断に基づいて慢性膵炎を分類し, EUS像の変化とCS test障害の程度を比較検討し, 画像診断と膵外分泌機能障害の程度の相関を検討した.なお, ERP診断は日本消化器病学会慢性膵炎検討委員会による臨床診断基準 (1983) に従い, これに加えて, 機能障害と比較するためには病変の広がりも考慮する必要があり, びまん性 (diffuse: D) と限局性 (local: L) に分類した.またCS testはERPと同一の診断基準に従い, 液量, 総アミラーゼ分泌量, 最高重炭酸塩濃度の三因子について検討し, 正常群CS (0) , 一因子障害群CS (1) , 二-三因子障害群CS (2-3) に分類した.EUS所見は膵内部エコーの異常, 膵辺縁の不整像, 主膵管の拡張, 壁不整像について検討した.この結果, 以下のような結論を得た.1) ERP診断とCS test結果とはERP所見を (L) , (D) に分類した場合でも必ずしも一致せず (特にERP所見が正常から中等度の場合) , 膵管変化と膵機能障害の程度とは平行しなかった.2) EUSでは, 慢性膵炎において膵管像の変化, 膵辺縁の不整像は高率に検出されたが, 正常例でも描出され, 慢性膵炎の特異性は少なかった.3) EUS所見の中でも内部エコーの異常は, CS test結果と高い相関関係を示し, 膵実質障害を反映するものと考えられた.4) 膵内部エコーの異常はCS test障害が進行するに従い, 点状高エコー像, 点状高エコー像と斑状低エコー像の混在像, びまん性低エコー像へと進行した.しかし明らかなCS test障害を惹起するのは点状高エコー像と斑状低エコー像の混在像を示す例およびびまん性低エコー像の例であった.5) 慢性膵炎におけるEUS診断は, 膵管の形態的変化, 膵辺縁の変化のみならず, 膵実質像の把握も可能であった.すなわち機能障害と相関し, また軽度膵炎でCS test障害を認めない場合でも点状高エコー像として膵の異常が確認できた.今後, 症例を積み重ね検討することにより, 臨床的に捉えられない時期の軽度膵炎の検出, ひいては慢性膵炎の初期変化の検討に有用となる可能性が示唆された.
  • 尾崎 正美
    1991 年 51 巻 6 号 p. 651-661
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂に対して, いろいろな手術的治療法がなされているが, 唇顎口蓋形成術術後, 外鼻変形, 鼻閉を生じることが少なくない.その原因として披裂の程度, 外鼻や顎の発育, 解剖学的問題があるのではないかと考え唇顎口蓋裂患者に対し術前にcomputed tomography撮影を行った.〈対象, 方法〉対象は, 唇顎口蓋裂患者36名, 生後平均128日である.36名を裂型別に4群に分類した.両側唇顎口蓋裂5名, 片側唇顎口蓋裂13名, 片側不全唇裂, 口蓋裂合併群7名, 片側不全唇裂のみ11名である.フランクフルト平面に平行にスライス幅5mmで単純CT撮影を行い, 鼻偏位, 鼻腔面積, 鼻中隔の形態, 彎曲度を計測した.〈結果〉鼻偏位の方向はすべて健側であり, 鼻腔面積は裂側がすべて狭くなっていた.鼻中隔の形態は, 右側に裂があるものはS字状彎曲, 左側に裂があるものは逆S字状彎曲であった.又, 口蓋裂の有無により鼻偏位度, 鼻腔面積, 鼻中隔の彎曲度は, 裂型別に有意の差が認められた.このことから, 唇顎口蓋形成術術後の外鼻変形, 鼻閉の原因の一つとして解剖学的変形が考えられる.
  • 斉木 賢治, 田口 進, 八田 善夫
    1991 年 51 巻 6 号 p. 662-669
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    蛋白分解酵素阻害剤の一つであるnafamostate mesilate (FUT-175) 静脈内投与後の十二指腸内移行とそれに伴う膵外分泌の変化をラットを用いて検討した.0.5mg/kg/h量の静脈内4時間持続投与では, 血中と同程度の安定した胆汁中濃度 (170~180ng/ml) が示された.この条件下で採取した胆汁・膵液, また十二指腸へ移行するFUT量, さらにその数十倍量 (300ng/body/h~0.01mg/body/h) を十二指腸内に直接投与しても膵外分泌亢進, 血中CCKの上昇, 血中アミラーゼの変動は認められなかった.FUT 0.1mg/body/h量以上の十二指腸内投与で膵外分泌は刺激され, 0.1mg~5mg/kg/bodyの間で用量依存性の亢進を示し, 低用量ではセクレチン, 高用量ではセクレチンとCCKが膵外分泌刺激に関与することが推測された.結論として十二指腸内に移行し膵外分泌亢進を示すFUT量は通常使用量よりはるかに高用量で, 臨床使用量では膵細胞に対し刺激亢進作用は示さず膵細胞障害を示唆する変化は認められなかった.
  • 杉村 健太, 中島 清隆, 小川 剛司, 藤巻 悦夫
    1991 年 51 巻 6 号 p. 670-672
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    我々は限局型色素性絨毛結節性滑膜炎 (限局型PVS) の1例を経験したので報告する.症例: 63歳男性.主訴: 右膝関節上部の腫瘤, 屈曲時の緊張感。初診時所見: 膝蓋骨外上方に1.5cm×1.5cm大で, 弾性硬の腫瘤を触れた.血液検査所見: 異常なし.単純X線, ゼロゲラフィー所見: 異常なし.超音波検査所見: 境界明瞭で, echo freeな腫瘤を認めた.手術時所見: 充実性, 有茎性腫瘤が滑膜より発生していた, 病理組織所見: 紡錘状細胞の増殖, 多核巨細胞, ヘモジデリン貪食細胞, 泡沫細胞が見られた, 限局型PVSは, 鑑別診断が困難な場合があり補助診断が重要であると考えた.
  • 小嶋 信博, 岡 壽士, 北村 直康, 金 潤吉, 金城 喜哉, 楠本 盛一, 石田 康男, 仲吉 昭夫
    1991 年 51 巻 6 号 p. 673-677
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    成人腸重積の多くは癌などに起因する二次性で, 緩徐な腹痛を繰り返す例が見られることから, 幾度となく重積と自然整復を繰り返す場合が多いと推定されている.入院中に大腸内視鏡, 注腸および手術にてその病態がとらえられた成人腸重積症の1例を経験したので報告する.症例は間歇的腹痛を主訴とする61歳の主婦で, 近医での注腸にて盲腸癌を疑われ, 当科を受診した.腸重積の既往があり, 2年前より軽度の腹痛を繰り返していた.入院後の大腸内視鏡にて横行結腸に腫瘍が認められ, 造影剤の注入により蟹爪像が描出された.翌日の注腸では腫瘍は盲腸にあり, 重積は解除されていた.手術前夜より再び腹痛が出現し, 手術時, 癌腫を先進部とする三筒性の重積腸管を確認した.移動盲腸があり, 重積腸管には循環障害を認めず, 用手的に整復後, 右半結腸切除術を施行した.先進部となった癌腫は限局潰瘍型の高分化腺癌であった
  • 青柳 有司, 車谷 英美, 西田 均, 吉田 浩之, 舩冨 等, 鈴木 央, 八田 善夫
    1991 年 51 巻 6 号 p. 678-682
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    血中, 腹水中アデノシンデアミナーゼ, CA-125が高値を示し, 腹腔鏡検査にて診断しえた結核性腹膜炎症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.本例は入院当初血中, 腹水中アデノシンデアミナーゼ, CA-125が高値を示したが, 抗結核剤投与後, 臨床症状の軽快とともに正常化した.結核性腹膜炎は近年まれな疾患であり, 特異的マーカー, 画像診断上の特徴がないのが現状である.本例においても諸検査で確定診断するに至らず, 腹腔鏡検査及び生検により確認しえた.以上本疾患の診断には腹腔鏡検査および結節部からの生検が有用と考える.さらに, 腹腔鏡検査を応用すれば, 腹水の存在の有無, 結核結節の存否を確認できるが, 臨床上同一患者にくり返し施行するのは困難である.本例における血中, 腹水中のアデノシンデァミナーゼ, CA-125の上昇機序の詳細は不明であるが, 臨床経過と対比すると, 臨床症状の改善, 炎症症状の改善, 炎症反応の改善とともに低下を認めており, 結核性腹膜炎の診断, 治療効果判定及び長期経過観察の一助になると考えられた.
  • 水野 健朗, 高橋 正一郎, 高山 昇, 秋田 泰, 石井 誠, 米山 啓一郎, 南沢 佐代子, 手塚 貴志, 井上 徹也, 西田 均, 八 ...
    1991 年 51 巻 6 号 p. 683-686
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例, 77歳, 男性.昭和61年12月当科にて慢性肝炎, 肝細胞癌 (HCC) と診断され, 以後4回の肝動脈塞栓療法 (TAE) を施行した.平成2年3月肝腫瘍径増大を認め入院となったが, 腹痛と血性腹水を認めHCC破裂と診断した.腹部超音波検査にて門脈腫瘍栓による門脈本幹の閉塞が認められたがカラードプラ断層法で門脈周囲に海綿状血管増生 (CTPV) を認めTAEを施行した.術後肝不全を来たすことはなかったが, HCCの再破裂にて死亡した.TAEはHCCに対する治療法として広く行われているが門脈本幹が腫瘍栓で閉塞している場合は適応外となる.しかし, 本例のように門脈閉塞が見られるときにもCTPVの形成を伴う場合には肝内門脈血流が保たれるためTAE施行が可能であった.また, CTPVの診断に超音波カラードプラ断層法が有用であった.
  • 柴田 実, Yoshio HATTA, 上野 幸久, 内堀 繁康, 山上 育恵, 菅沼 保明, 高橋 裕, 高橋 健, 佐藤 源一郎
    1991 年 51 巻 6 号 p. 687-691
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    気管支拡張症を合併した肝硬変の食道静脈瘤硬化療法 (Endoscopic injection sclerothera-py: 以下EIS) に際し, EIS前後で血液ガス分析と99mTc-MAA肺血流シンチグラフィーを施行し, 術後の肺機能の悪化に備えた.約1週間の間隔でEISを2回施行したところ, EISの24時間後に一過性のPaO2 (arterial oxygen tension: 動脈血酸素分圧) の低下とA-aDO2 (alveolar arterial oxygen difference: 肺胞気動脈血酸素分圧較差) の開大を繰り返し認めた.経過中PaO2は最低56Torrまで低下したが, 患者は無自覚で肺血流シンチグラムの異常も認められなかった.そこで, 自験例6例についてEIS前後の肺機能を追加検討したところ, 全例でEISの24時間後にPaO2の有意な低下とA-aDO2の有意な開大を一過性かつ無症候性に認め, 4例中2例で肺血流シンチグラムに血流欠損像の出現をみた.一般にEIS後の肺梗塞の合併はきわめてまれであるため, EIS後の肺機能については注目されることは少ない.しかし, 今回の検討ではEIS後に無症候性かつ一過性ではあれ高率に肺機能異常が出現しており, EISを施行する際には血液ガスの測定も行い合併症の早期発見に努めることが望まれる.
  • 河井 博明, 嘉悦 幸代, 樋口 健一, 石井 誠, 舩冨 等, 八田 善夫, 新井 一成, 小池 正
    1991 年 51 巻 6 号 p. 692-697
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は81歳, 女性.右腹部腫瘤を主訴に来院.触診上, 表面凹凸不整, 弾性硬の小児頭大の腫瘤を触知した.血液生化学検査では異常を認めず, 腹部超音波検査では肝と連続性のある巨大な腫瘤で, 内部は不均一な高エコーを呈した.腹部CTでは造影後に腫瘤の部分的な濃染が見られ, カラードプラでは腫瘍内血流は描出されなかった.血管造影では腫瘤は, 右肝動脈より栄養され, 動脈相早期から静脈相まで持続する綿花様濃染像が認められた.以上より肝外発育性巨大血管腫と診断し, 腫瘍摘出術を施行した.肝下面より有茎性に発育する長径14cm, 短径10cm, 1, 300gの腫瘍で, 組織学的には海綿状血管腫であった.肝外有茎性発育を示す血管腫は, まれであり, カラードプラの肝腫瘍の質的診断への有用性も合わせて報告した.
  • 澁澤 三喜, 角田 明良, 吉沢 太人, 田村 清明, 張 仁俊, 別所 知彦, 村上 雅彦, 松井 渉, 小池 正, 後閑 武彦, 太田 ...
    1991 年 51 巻 6 号 p. 698-702
    発行日: 1991/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    原発性びまん浸潤型直腸癌の一例を経験した.症例は33歳女性で, 主訴は下腹部痛, 便秘, 左下肢浮腫であった.注腸造影, 大腸内視鏡検査で肛門より口側に約20cmにわたり著明な狭窄を認め, 生検にて低分化型腺癌がみられ, びまん浸潤型直腸癌と診断した.MRIでは著しく肥厚した直腸壁と周囲組織への広範な浸潤, 骨盤内リンパ節転移が疑われた.遠隔転移もあり人工肛門造設術のみを施行したが病状の進行は極めて早く, 術後34病日で死亡した.剖検では癌性腹膜炎の状態で, 著じるしく肥厚した直腸壁と子宮膀胱などへの浸潤を認め, 骨盤内, 大動脈周囲リンパ節へも多数転移を認めた.一般に大腸癌の多くは限局潰瘍型 (Borrmann 2型) であり本症は稀とされ, 本邦における報告例も200例に満たない.その臨床像は他の大腸癌と比べ特異的であり, 悪性度が高く予後もきわめて不良である.その特異な病理組織や病態を解明する上で, 今後多数の症例を積み重ね早期診断早期治療の行われることが望まれる.
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