昭和医学会雑誌
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50 巻, 6 号
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  • 諸星 利男
    1990 年 50 巻 6 号 p. 585-590
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 3. イヌと霊長類, 筋線維と神経線維
    山本 俊雄, 猪口 清一郎, 甲田 基夫, 佐藤 巌
    1990 年 50 巻 6 号 p. 591-599
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    発声と喉頭筋の発達との関係を明らかにするために, イヌ喉頭筋の筋線維構成を霊長類と比較するとともに, ヒトとサルの喉頭各筋の筋線維数と支配神経中の有髄神経線維数との比較を行い両者を対照し検討した.研究対象は, イヌは中等大の雑犬雌雄各1頭, ヒトは40歳代~50歳代の男性4名, サルはニホンザル雄成獣1頭で, イヌの喉頭筋はSudan Black B染色により筋線維を3型に分別, ヒトおよびサルの例では筋線維はHE染色, 神経線維はトルイジンブルー染色によった.結果: 1.イヌの喉頭筋には, ヒトおよびチンパンジーにみられた喉頭蓋筋と斜披裂筋は認められなかったが, 室筋が認められ, 発声への関与が考えられた.2.イヌの喉頭各筋の横断面積と筋線維総数は雌雄とも輪状甲状筋が最も大, 甲状披裂筋 (声帯筋を含む) がこれに次ぎ, 室筋が最も小で, 性別的には一般に雄の方が雌よりも大であったが, 横披裂筋と外側輪状披裂筋では差がなかった.3.イヌの喉頭各筋の筋線維型については, その頻度は各筋とも雄では白筋線維, 中間筋線維, 赤筋線維の順に高く, 雌の方が雄よりも白筋線維の頻度が高かった.その太さは, 雄では白筋線維, 中間筋線維, 赤筋線維の順に大で, 白筋線維は後輪状披裂筋と輪状甲状筋と横披裂筋が, 中間筋線維と赤筋線維では室筋が, それぞれ最も大で, 3筋線維型とも甲状披裂筋が最も小であった.雌でも雄と同順であったが, 中間筋線維と赤筋線維の差は少なかった.白筋線維では横披裂筋が最も大で雄と等しかったが, その他の筋では雄>雌の傾向が著明であった.4.イヌの喉頭各筋とヒト, チンパンジー, ニホンザル, ガラゴ等との比較では, チンパンジーに最も近く, ヒトよりも大きな筋が多く, 白筋的性格が強かった.5.ヒトとサルの喉頭各筋の支配神経中の有髄神経1に対する筋線維数を比較すると, ヒトの方がサルよりも各筋とも少なくて, 神経支配が密ということになり, その差は甲状披裂筋と横披裂筋において著明であった.ヒトとサルとイヌの喉頭各筋の筋線維総数をみると, ヒトとサルでは一定の数比が認められたが, ヒトとイヌとの問では筋によって大小の差が著しく, 異なった筋線維配分比を示していた.
  • 由良 明彦, 大槻 彰, 真柳 誠, 稲垣 昌博, 中山 貞男, 小口 勝司
    1990 年 50 巻 6 号 p. 600-607
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素 (CCl4) とα-naphthylisothiocyanate (ANIT) 誘発急性肝障害ラットにおける血清リボ蛋白とアポ蛋白の変化を検討した.CCI4とANITはオリーブ油に溶解し, 2ml/kgの容量となるように調製した.CCl4は0.5ml/kgを1日1回4日間経口投与した.ANITは100, 200mg/kgを1回経口投与した.その結果血清リボ蛋白において, CCl4は超低密度リボ蛋白 (VLDL) を減少させたが, 低密度リボ蛋白 (LDL) や高密度リボ蛋白 (HDL) 亜分画のHDL1, HDL2, HDL3には有意な変化は認められなかった.ANIT投与によりVLDL, HDL3の減少とLDL, HDL1の増加が認められた.さらに, ANIT投与でVLDL', HDL'1と表示した異常リポ蛋白を認めた.電気泳動ゲル上でVLDL'は原点とVLDLの間に, HDL'1はHDL2とHDL1の間に認められた.Albumin結合遊離脂肪酸はCC14投与で増加, ANIT投与で減少を示した.CCl4ではVLDLとHDLのApoEならびにC-1が減少した.ANITではVLDLのApoA-1, HDLのApo-EとC-1が増加した.CCl4投与では小葉中心性の肝細胞壊死と脂肪沈着を認めた.ANITでは肝細胞の膨化を起こしたが, 肝細胞壊死や脂肪沈着はみられなかった.これらの結果から, CCl4投与におけるVLDLとApoE, GIの減少は肝細胞性肝障害に伴う肝でのアポ蛋白合成抑制によるものであり, ANIT投与におけるVLDLとHDL3の減少, LDLとHDL1の増加, 異常リボ蛋白出現は, 胆汁うっ滞性肝障害に伴う肝でのリボ蛋白形成異常であることが示唆された.
  • 岩崎 秀樹
    1990 年 50 巻 6 号 p. 608-613
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    各年代における男女の顔面頭蓋の骨塩密度Bone Mineral Density (BMD) の変化を調べる目的で, 健常成人の99例 (男性45例, 女性54例) について, Hologic社製QDR-1000を用い, 顔面頭蓋のBMDを測定, 検討した.測定方法は, canthomeatal line (CMライン) に平行にスキャンし, 眼窩上縁から梨状孔下縁までを測定した.結果は次のとおりである.顔面頭蓋のBMDの総平均は男性では1.300g/cm2女性では1.222g/cm2であり, 年齢的には男性では, 30歳代で1.346g/cm2と最高値, 女性では40歳代で1.390g/cm2と最高値となり, おのおの加齢的減少傾向がみられたが, 女性の方が男性より減少率は著しく高く, また個人差が大であった.また顔面頭蓋のBMDの性差および年齢的傾向は中根らの腰椎のBMDの結果とほぼ同様の傾向を示していた.それぞれの分散は, 男性: 0.01162, 女性: 0.01902であった.身長および頭蓋の大きさと形によるBMDへの影響は少なく, 補正をしなくともほぼ傾向を把握することができることがわかった.
  • 村松 邦彦
    1990 年 50 巻 6 号 p. 614-621
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    宿主マウスの小形条虫に対する感染阻止機構を調べる.一環として, 虫卵抽出可溶性粗抗原が感染マウスから採取した感作細胞に及ぼす影響を調べた.BALB/c系雄マウス1匹当り1000個の小形条虫虫卵を経口投与し, 10日目の感作腸間膜リンパ節細胞 (感作MLNC) を採取した.虫卵抽出可溶性粗抗原の存在下またはこの粗抗原をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分画後ニトロセルロース膜に転写・固相化した抗原分画存在下で, 採取した感作MLNCを培養, tritiated thymidine (3HTdR) の取り込みを調べ, 次の結果を得た.1) 虫卵抽出可溶性粗抗原存在下に5×105個の感作MLNCをin vitroで96時間培養したところ, 3HTdRの取り込みは対照の未感作MLNCのそれに比べて著しい増加を示した.2) 感作MLNCを抗Thy-1.2モノクローナル抗体, あるいは抗L3T4モノクローナル抗体で処理した後, 虫卵抽出粗抗原の存在下で96時間培養したときの3HTdRの取り込みは著しく減少し, 粗抗原無添加で抗体無処理感作MLNC培養の場合の値に近似していた.3) 虫卵抽出可溶性粗抗原を固相化したニトロセルロース膜の存在下で感作ML-NCをin vitroで96時間培養したところ, 固相化に用いた粗抗原量が2μgと極めて少量の場合でも3HTdRの取り込みは未感作MLNCの場合に比べて著明に増加した.4) 虫卵抽出可溶性粗抗原をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動 (ゲル濃度7.5%) により分画, 抗原分画を電気的に転写・固相化したニトロセルロース膜を5mmX5mm角に連続的に切断, これらの転写膜切片存在下で感作MLNCを96時間培養, 3HTdRの取り込みを調べたところ, 分子量200000~250000に相当する抗原分画固相化膜存在下で非常に強い取り込みの増加が観察された.
  • 趙 維華, 郭 試瑜, 武重 千冬
    1990 年 50 巻 6 号 p. 622-628
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    鎮痛抑制系破壊後, 非経穴部を刺激して出現する鎮痛 (NAA) は下垂体の除去で出現しなくなるが, 下垂体がNAAの発現にどのように関与するかを検索した.痛覚閾はラットの尾逃避反応によった.弓状核後部 (P-HARN) の単一ニューロン活動は, ガラス微小電極を用いて細胞外から記録した.腹腔内に投与したACTHによって用量依存的に鎮痛が出現した (ED50=0.25mg/kg) .低濃度では痛覚過敏が現れた.鎮痛抑制系であるL-CMを局所破壊した後, あるいはこの系を抑制するCCKの拮抗剤のproglumideの投与後, 非経穴部の刺激によって, P-HARNのニューロン放電頻度の増大が現れた.またこのニューロンは静注したACTH (0.25mg/kg) によっても放電頻度を増大した.このニューロン活動はACTHの拮抗剤であるデキサメサゾンの静注で拮抗された.非経穴部刺激あるいは静注したACTHによって活動するニューロンはpicospritzerを用いて超微量適用したACTH0.1mMで作用時間900msecでは全く反応を示さなかったが, ドーパミンで放電頻度の増大が現れた.下垂体除去後は非経穴部刺激による鎮痛もACTHによる鎮痛もともに出現しなくなったが, 両者の同時作用で鎮痛が出現した.また非経穴部刺激あるいは静注したACTHによるニューロン活動の増大も下垂体の除去で出現しなくなったが, 非経穴部刺激下でACTHを静注すると再び出現する様になった.以上の結果から, NAAの求心路の最終部と下行性痛覚抑制系の起始部のP-HARNとの間にはドーパミンシナプス伝達があり, これは非経穴部の刺激で下垂体から遊離されるACTHがシナプス前性に働いて可能となると考えられた.
  • 新村 和平, 宮崎 浩, 八田 善夫
    1990 年 50 巻 6 号 p. 629-638
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    強力な蛋白合成阻害剤であるcycloheximide, 14C-1eucine及びcholecystokinin-octapeptide (CCK8) を意識下ラットに投与し膵における蛋白合成, 分泌およびそれらの関連性についてin vivoで検討した.CCK8 (250ng/kg/hour) の持続静注にて蛋白分泌量は, CCK8投与開始後45分で, コントロール群の3.20±0.37mg/15minに対して9.70±1.44mg/15minと有意の上昇を示し, 以後漸減した.CCK8投与後の蛋白合成については14C-leucineの単独静注後30分よりCCK8を持続静注し検討したところCCK8投与開始後75分で, コントロール群の20.25±2.24dpm/μg Proteinに対し45.13±7.18dpm/μg Proteinと有意な上昇を示した.Cycloheximide 1mg/kgの投与では蛋白分泌量は徐々に減少し, 投与後180分より360分まで基礎分泌量の20%以下の低値を保った.Cycloheximide投与後の蛋白合成については, cycloheximide投与後30分および210分に14C-leucineを投与し蛋白比放射能を検討した結果, cycloheximide投与後90分より360分まで蛋白合成は阻害されていた.一方, cycloheximideを投与し蛋白合成を阻害した条件下で, CCK8の持続静注を行ったところ, 蛋白合成阻害は持続していたが, 蛋白分泌はCCK8投与開始後60分でcycloheximide単独群の0.04±0.002mg/15minに対して2.17±1.01mg/15minと有意な上昇が認められた.また, 組織学的に腺房細胞内の分泌顆粒数について検討した結果, コントロール群で分泌顆粒は最も多く存在し, 蛋白合成を阻害したcycloheximide群, CCK8を投与し膵を刺激したCCK8群の順で顆粒は減少しており, 蛋白合成を阻害した後にCCK8で刺激したcycloheximide+CCK8群では腺房細胞内の分泌顆粒はほとんど認められなかった.以上よりCCK8は, 膵外分泌において蛋白合成および分泌の両者を刺激するが, そのメカニズムは, 必ずしも直接関連したもののみではなく同時に両機構に作用している可能性が示唆された.
  • 岡 壽士, 石田 康男, 浅川 清人, 金城 喜哉, 金 潤吉, 小嶋 信博, 楠本 盛一, Akio NAKAYOSHI
    1990 年 50 巻 6 号 p. 639-645
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    消化管のステープル機械吻合器End to End Anastomosis (以下EEA) の出現は, 低位直腸の吻合操作を容易にしたが, EEAでさえも直腸の再建では吻合部が低位であればあるほど操作は難い.PREMIUM CEEA Stalpers (以下PCEEA) はアンビルシャフトがセンターロッドと分離可能になったEEAの新機種である.われわれはこの改良されたEEAの操作性を駆使して, 1947年にBakerらによって行なわれた結腸直腸側端吻合術を機械吻合に導入して極めて簡単に吻合を作成できる工夫をした.手術適応は中部および上部直腸癌の再建に行なわれ, 直腸と結腸の吻合で, 両断端の口径差が大きい場合, さらに腹腔内でのみ吻合操作を行なう場合などが適応となる.手術手技は肛門側直腸断端の巾着縫合の設置, 肛門側断端にアンビル部の挿入, 口側の処理, センターロッドの連結, 吻合操作, 本体の作動, 機械の抜去, 吻合部の確認, 結腸断端の閉鎖の手順で行なう.われわれは直腸の機械吻合には従来の端々吻合のほかにダブルステープリング法そして今回紹介した側端吻合法を使い分けているが, 本術式で行なった1988年似来の臨床例の検討では12例中, 縫合不全やその他の合併症はなかった.Bakerが本術式の利点としてあげているのは手術手技が簡単であること, 吻合部の縫合不全が少ない, そして大きな吻合口が得られることとしている.われわれはさらに全操作が腹腔内から行なえるためあらためて砕石位をとる必要がないことを上げる.臨床的にまた実験的に吻合部の術後の耐圧度は実験的に見ても他の術式と差異は無い.また文献的にも吻合部の血流は良好であるとされている.
  • 廣本 雅之, 日下部 輝夫, 津嶋 秀史, 嘉悦 勉, 小林 英昭, 前田 隆志
    1990 年 50 巻 6 号 p. 646-651
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    胃, 大腸の原発性腺扁平上皮癌のまれな6症例を経験し, 検討したので報告する.腺扁平上皮癌を呈した胃癌は2例で, MA, seiの2型癌およびMC, ssβの3型癌であった.大腸は4例で, Rs, ssの1型癌, D, sの4型癌, S, ssの2型癌およびD, ssの2型癌であった.これら6症例につき臨床病理組織学的に検討した.発生機転を考えるに, 組織像においてすべてに, 同一腺管内に腺癌と扁平上皮癌が同時に存在する所見を得, 扁平上皮癌部分でもPAS, Alcian-Blue染色陽性の腸性粘液を有する細胞を認めたことより, 腺癌の扁平上皮化生により扁平上皮癌が発生したものと考えられ, 腺扁平上皮癌は腺癌の2次的修飾像と思われた.
  • 白倉 真人, 朝比奈 紀彦, 大氣 誠道, 渡辺 尚彦, 岡本 途也, 渡辺 悟郎
    1990 年 50 巻 6 号 p. 652-656
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    1987年1月から1988年12月までに富士吉田市立病院を受診した顔面外傷患者157例について統計的観察を行い, 治療方法及び若干の考察を合わせて報告した.受傷患者は10-20歳代の男性に多く, 原因は転落・転倒と交通事故についでスポーツが多かった.骨折部位は鼻骨を中心として顔面上・中1/3骨折がほとんどを占めた.今後社会的要因の変化にともない, 女性や老人の受傷が増加してくるものと推察される.
  • 川畑 博, 若山 吉博
    1990 年 50 巻 6 号 p. 657-663
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    昭和54年12月から平成元年10月の問に当院神経内科に入院したALS患者24例を対象として, 臨床的事項と検査所見の両方を検討し, 最近の多数例の報告結果と比較した.男女比は3: 1, 平均発症年齢は60.0歳であった.上肢の筋力低下から発症するタイプが最も多く, 全体の半数はこの上肢型で占められたが, 女性では球麻痺から発症するのが比較的多くみられた.一般臨床医家もALS患者を診察する機会は多いのに反してALSとしてフォローされていたのは全体の1/3症例しかなく診断に苦慮している傾向がみられた.検査では血中CKおよびmyoglobin値の上昇と肝機能障害を少数例で認めたが, 軽度の異常で疾患に特異性はみられなかった.以上を最近の報告結果と比較すると我々の症例は男性の比率が若干高くて, 高齢発症の傾向がみられたが, それ以外は他施設からの報告とほぼ準じた結果を示した.
  • 吉利 彰洋, 安井 昭, 西田 佳昭, 熊谷 一秀, 真田 裕, 増尾 光樹, 張 仁俊, 安藤 進, 富永 幸治, 小林 茂樹, 三宅 政 ...
    1990 年 50 巻 6 号 p. 664-668
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性, 右下腹部痛の主訴にて入院, 急性虫垂炎の診断で開腹したところ, 盲腸憩室炎が認められたので, 虫垂切除と腹腔ドレナージを施行した.術後第3病日よりS状結腸憩室穿孔を併発したが保存的治療によって軽快, 外来で経過を観察していた.3カ月後汎発性腹膜炎を惹起し緊急手術を施行した.開腹診断はS状結腸憩室の再穿孔で, 二期的手術により救命した.以上の虫垂炎様症状を主訴に来院した多発性結腸憩室症の患者について若干の文献的考察を加え報告した.
  • 自験7症例の臨床病理学的検討を併せて
    橘 とも子, 米山 啓一郎, 小貫 誠, 八田 善夫, 国村 利明, 諸星 利男
    1990 年 50 巻 6 号 p. 669-675
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肝硬変 (Liver Cirrhosis以下LC) に合併した肝細胞癌 (Hepatocellular Carcinoma=HCC) で経過中, 肺線維症が悪化し, 呼吸不全で死亡した62歳男性の症例を経験した.本症例は49歳時LCと診断され, 59歳時腹部超音波検査 (US) で肝右葉に腫瘍様エコー像が認められ, 60歳時, 血管造影でS5, S8のHCCと確診, 以後計6回の肝動脈塞栓療法 (Transcatheter Arterial Embolization=TAE) を施行した.また, 49歳初診時から胸部X-ray上軽度の間質性陰影が存在し, 肺線維症が疑われた.HCCの治療に伴って胸部陰影は増悪し, A-aDO2も92.65となり呼吸不全で死亡した.剖検の結果は, 肝は乙型LCを伴った結節型HCCであり, 肺はびまん性肺線維症の状態で, 下葉に強い線維化とうっ血及び出血が認められた.さらに, 本大学における過去8年間の剖検症例を検索し, 肝と肺の線維化を合併した症例6例と本症の計7症例ににいて, 臨床病理学的に比較検討を行った.7症例中肝疾患を主病変とするものは4症例あり, いずれもLC+HCCであった.LCまたはHCCの診断から肺線維化発症までの期間や, 肝肺線維化の臨床病理学的重症度との間には一定の関係はみられなかった.また, 検査上何等かの自己抗体陽性を示したものが5例あった.明らかな因果関係は特定出来ないものの, 症例を呈示したごとく, 臨床的に両疾患の合併は必ずしも稀ではないと考えられ, 肝病変の進行や治療に伴って肺病変が増悪することがあるので臨床上注意を要すると思われた.
  • 田崎 修平, 高橋 正一郎, 舩冨 等, 八田 善夫, 林 芳郎, 藤村 憲治, 今給黎 満幸
    1990 年 50 巻 6 号 p. 676-680
    発行日: 1990/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    73歳男性が, 高熱と無言無動状態で, 当院入院急性心筋梗塞とdiltiazem, dipyridamole, indomethacine, diazepam等常用の既往があった.入院後も高熱持続し, さらに, 著明な発汗, 頻脈, 無力性昏迷, 筋強剛出現, 白血球増多とCPK, LDH高値を示し, 悪性症候群が疑われた.Dantrolene sodium, bromocriptine mesilateを経鼻で, levodopaを静注で投与したが, 耐糖能異常, DIC, 急性腎不全を併発し, 血液透析も行ったが, 12病日で死亡した.本症例における悪性症候群発症を単一薬剤で説明することは困難であり, 薬剤はその併用薬剤, 投与法, 患者の状態によって予期せぬ重篤な副作用を惹起する事があり, 使用に際し充分な注意が必要であると考えられた.
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