昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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65 巻, 6 号
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  • 宮川 喜吉, 緑川 武正, 木川 岳, 石橋 一慶, 蒔田 勝見, 曽田 均, 上道 治, 白畑 敦, 真田 裕
    2005 年 65 巻 6 号 p. 473-478
    発行日: 2005/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    超音波凝固切開装置 (Ultrasonically activated shears, USAS) を低位前方切除術に使用し, 出血量及び手術時間, ドレーン挿入期間, 術後在院日数に及ぼす影響を止血クリップ使用群と比較検討した.当院で2002年1月から2005年1月までに熟練した一人の執刀医が施行した低位前方手術は20例でUSAS使用群8例をGroup I, LIGA clip使用群12例をGroup IIとし, 出血量および出血時間, 術後ドレーン挿入期間, 術後在院日数, 術後合併症を比較検討した.手術は全身麻酔下に行い, 患者体位は仰臥位もしくは砕石位で開腹下に低位前方切除術を行った.腫瘍摘出後腸管再建はLDAもしくはDSTの吻合法にて施行した.USASはHS II使用し, 出力はlevel 3, variable (凝固) モードに設定し, 主に腹膜翻転部以下の仙骨前面の剥離, 直腸周囲の剥離に使用した.USAS使用群 (Group I) の出血量は300.6±200.1mlに対して, LIGA clip使用群 (Group II) の出血量は492.8±139.9mlで有意に低下した. (p=0.045) 手術時間に関しては, Group Iは288.5±58.1minに対して, Group IIは266.1±59.8minであり有意差は認めなかった.術後ドレーン挿入期間に関してはGroup Iは11.8±2.9日に対して, Group IIは12.3±5.0日であり有意差は認めなかった.術後在院日数に関してはGroup Iは22.3±8.1日に対して, Group IIは26.3±11.2日であり有意差は認めなかった.合併症に関してはGroup Iは膀胱障害1例, 腸炎1例, Group IIはドレーン感染3例, 腸閉塞2例であった.低位前方手術におけるUSASの使用は手術時間の延長なく, 術中出血量を減少させ, 術後リンパ漏予防効果を認めた.
  • 富田 亜紀子, 篠田 陽子, 菊池 雷太, 小塚 和人, 木村 聡
    2005 年 65 巻 6 号 p. 479-487
    発行日: 2005/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    2001年4月に新規開院した昭和大学横浜市北部病院 (661床) では, オーダーから報告まで一切をペーパーレスで行う電子カルテ化を行った.細菌部門や薬剤部門, 各病棟や外来診察部門など各部門システムと連携することが可能になり, 結果電子カルテを通じて全スタッフが同じ情報を共有できるようになった.また院内感染対策においてもその連携を生かし, 今までにない機能を導入した.たとえば院内感染が危惧される病原体をもった患者を医療スタッフ全員が迅速に識別できるよう, 患者を予防策別に色分けし, 院内合意のもと特定の抗菌薬を処方すると警告が表示されるシステムを開発した.また, 薬剤部門, 細菌部門システムとの連携により, 患者別, 診療科別の抗菌薬使用量を集計, さらに多剤耐性菌の検出率を自動集計し, 院内感染対策委員会で公表している.これらの効果を検証する目的で, 抗菌薬が長期処方された患者の数, 多剤耐性緑膿菌の検出率を集計し, 中心静脈関連血流感染のサーベイランスを施行した.その結果, 15日を超えて注射用抗菌薬が連続投与された症例は月あたり5.0±2.6人 (平均±標準偏差) にとどまり, 多剤耐性緑膿菌の検出は2002年1月から2004年8月までの32ケ月間に5件, 中心静脈血流感染 (CR-BSI) はICUでは1000device daysあたり0%, 循環器, 消化器センターの混合病棟の2棟, 病棟A, 病棟Bではそれぞれ2.2%, 2.0%であった.これらの結果から, 電子カルテに伴い導入されたシステムは感染対策効果を上げたと推察される.
  • 山下 潤, 成島 道昭, 松石 純, 鈴木 一
    2005 年 65 巻 6 号 p. 488-493
    発行日: 2005/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    局所麻酔下胸腔鏡検査は胸水貯留疾患の診断において有用である.その胸腔内肉眼所見については癌性, 結核性, 悪性胸膜中皮腫において特徴的な像を呈する.癌性胸膜炎患者において, 局所麻酔下胸腔鏡の胸腔内肉眼所見と胸膜癒着術の成否における関連性について検討する.19名の癌性胸膜炎患者 (男性12名, 女性7名, 平均年齢72.6歳, 肺癌16名, 胃癌2名, 大腸癌1名) を対象とした.胸腔内肉眼所見分類として以下のものを用いた.A-1: 大結節が臓側または壁側胸膜に多発, A-2: 大結節が両側胸膜に多発, B: 小結節が両側胸膜に多発.また胸膜癒着術後4週目に胸水の消失または変化がない場合を癒着術成功, 胸水の増加を認めた場合を癒着術失敗と判定した.胸膜癒着術の成功率はA-1では4/6 (66.7%) , A-2では5/7 (71.4%) , Bでは1/4 (25%) であった.胸膜癒着術の成否と局所麻酔下胸腔鏡による胸腔内肉眼所見との関連性について検討すると, 胸膜面にびまん性に小結節を認める場合に不成功例が多かった.このような検討は初めてであり, 今後更なる症例を積み重ねての検討が必要と思われる.
  • ―第二外科の成績―
    沢田 晃暢, 鈴木 研也, 柏瀬 立尚, 伊達 由子, 坂本 正明, 青木 武士, 角田 ゆう子, 神谷 憲太郎, 草野 満夫, 広瀬 正典 ...
    2005 年 65 巻 6 号 p. 494-499
    発行日: 2005/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    乳癌におけるセンチネルリンパ節生検 (SNB) の概念とは, 癌からのリンパ流を最初に受けるリンパ節のみを生検し, ここに転移を認めなければ他のリンパ節に転移は無いと考えて, 腋窩リンパ節郭清 (ALND) を省略することである.乳癌手術において腋窩郭清の省略は, 腋窩リンパ節転移陰性患者にとって, 手術後の患側上肢浮腫や知覚障害を回避できたいへんメリットが大きい.今回, 2001年12月~2005年3月までの間に, SNB「インジゴカルミン単独法」とバックアップALND手術を当院第2外科で同時に行った乳癌患者129例を対象とし, 当院SNBの精度に関して検討した.センチネルリンパ節の同定率は全期間で85.3%であり2004年以降 (後期) では, 91.4%であった.同定率と年齢, 腫瘍径, 腫瘍の主占拠部位, 組織型と同定率との関連を調べたところ, 同定率は年齢, 腫瘍径, 占拠部位には影響を受けておらず, 唯一組織型で, 乳頭腺管癌だけが高い同定率を示した.正診率は, 後期で91.9%と他の施設と比較して遜色ない結果であったが, 偽陰性率が38.5%と高率であったことは反省すべき材料であった.原因としては, 摘出したリンパ節に対して作成切片の個数が少なかったことや, 免疫染色を行っていないことが考えられた.今後, 標準治療となるであろうSNBの精度を上げることが, 今後我々の課題である.
  • 松下 友美, 小幡 輝之, 渋谷 まさと, 内藤 美智子, 土岐 彰, 八塚 正四, 鈴木 淳一, 鈴木 孝明, 渡辺 理江, 荒尾 直樹, ...
    2005 年 65 巻 6 号 p. 500-502
    発行日: 2005/12/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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