昭和医学会雑誌
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68 巻, 2 号
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  • 塩沢 英輔, 矢持 淑子, 瀧本 雅文, 太田 秀一
    2008 年 68 巻 2 号 p. 77-79
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 須永 美歌子, 石川 慎太郎, 松田 貴子, 樫尾 明彦, 佐藤 孝雄, 久光 正, 石野 徳子
    2008 年 68 巻 2 号 p. 80-87
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    近年, 健康の維持増進を目的として生活習慣を整えることが重要視されており, 特に日常生活に運動を取り入れることが有効であると提唱されている.本研究では, 血液流動性を指標として, 異なる運動様式および運動後の水分補給が血液流動性に与える影響について検討した.被検者は, 健康な成人男性24名であり, それぞれ6名ずつ無酸素運動+非摂水群, 有酸素運動+非摂水群, 有酸素運動+100mL摂水群, 有酸素運動+500mL摂水群の4群に分けた.血液流動性の評価には, MC-FAN (Micro channel array flow analyzer) を使用した.その結果, 全ての群において運動後に血液流動性の有意な低下がみられた.無酸素運動+非摂水群においては, 運動30分後に運動前の値に復帰した.しかし有酸素運動+非摂水群においては, 運動30分後の血液流動性の回復は認められなかった.一方, 有酸素運動+500mL摂水群では運動30分後に血液流動性は運動前の値に回復した.有酸素運動+100mL摂水群では運動30分後の血液流動性回復は認めなかった.これらの結果は凝固阻止薬として血小板凝集に影響を与えないヘパリンを用いた場合に認められ, 凝固阻止に加えて血小板凝集も阻止するEDTAを用いた場合には一定の結果はみられなかった.以上のことから, 無酸素運動後の血液流動性低下からの回復に水分摂取は必要ないが, 有酸素運動を行った後の血液流動性の低下からの回復には一定量以上の水分摂取が有効であることが示唆された.また血液流動性変化の原因としては, 赤血球変形能やHtの低下よりも血小板凝集能の亢進の影響が主な要因であると示唆された.
  • 大塚 康二朗, 有川 公三, 村田 八千穂, 岡本 典子, 保阪 善昭, 島村 忠勝
    2008 年 68 巻 2 号 p. 88-97
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    南九州における皮膚悪性腫蕩の発生頻度は他の地域に比べ非常に高い割合で発生している.鹿児島県の基幹病院である今給黎総合病院形成外科においても皮膚悪性腫瘍の症例が増加しているため, 今回過去17年間の当院における皮膚悪性腫瘍を病理組織学的に分類し, 統計学的な検討とともに疫学的にも考察を加えた.症例数は763例でその内訳は, 基底細胞癌251例, 有棘細胞癌194例, 日光角化症116例, ボーエン病60例, 転移性皮膚癌37例, ケラトアカントーマ28例, 肉腫22例, 悪性黒色腫17例, 乳房バジェット病8例, 腺癌7例, 悪性リンパ腫5例, その他18例であった.それぞれの疾患について年齢, 性別, 発生部位, 地域性を調査し, 統計学的に検討を加えた.その結果基底細胞癌や有棘細胞癌は, これまでの2005年石原の統計の全国平均に比して頭頸部に多く, 女性に多い傾向が見られた.また平均年齢も高く高齢者に多い点が挙げられた.また全国の皮膚悪性腫瘍の総数では日光角化症が最も多い割合を占めているのに対し, 当院では基底細胞癌, 有棘細胞癌に次いで多かった.同じ前癌病変であるボーエン病は, 全国の総数では基底細胞癌と変わらないのに対し, 当院では60例と1/4程度であった.それらの理由として, 農家や漁業関係者の日光被曝量の増大, 離島も多く受診が困難な地域性があげられ, 長期間放置した結果, 悪性度の進行や腫瘍サイズの増大を招いたと考えられた.悪性黒色腫の当院での症例数は少なかったが, 鹿児島大学病院には形成外科がなく主に皮膚科で化学療法を含めた治療がなされていることが要因と考えている.当院における皮膚悪性腫瘍症例数は, 年々増加傾向にあるが, その理由として病理診断の確立により, 潜在的に存在した皮膚悪性腫瘍症例が統計として挙げられてきた点や, 地域への認知度上昇により早期発見が可能となり, 皮膚科, 形成外科での早期治療がなされてきていることが示唆された.今回の統計において, TMN分類, 予後の統計は行わなかったが, 更なる調査を行うことで, 鹿児島における皮膚悪性腫瘍の現状を正確に把握することが可能であり, 予後因子や治療の改善につながると考えられた.そのためにも今後更に皮膚科, 形成外科の地域への啓蒙の必要性を認めた.
  • 磯崎 健男, 笠間 毅, 小田井 剛, 若林 邦伸, 松倉 聡, 足立 満, 手塚 正一
    2008 年 68 巻 2 号 p. 98-105
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    CX3CL1 (フラクタルカイン) は膜結合型のケモカインであり細胞遊走活性のほかに細胞接着活性をも合わせ持っており関節リウマチ (RA) の病態にも関与している.RAの骨破壊において骨芽細胞 (OB) および破骨細胞の役割は重要である.この骨芽細胞におけるCX3CL1の発現調節機構を解析した.RAおよび変形性関節症 (OA) 患者の骨組織から骨芽細胞を分離培養してCX3CL1の産生ならびにmRNA発現をELISAおよび定量real time PCR測定した.正常コントロールは正常ヒトの外傷性骨関節手術時に分離した.RA由来OB (RAOB) からのCX3CL1産生は無刺激およびtumor necrosis factor alpha (TNF-α) , interferon gamma (IFN-γ) の刺激においてもほとんど産生はみられなかったが, TNF-αとIFN-γの共刺激により著明に産生増強が認められた.この発現は免疫染色ならびにフローサイトメトリーにおいても確認された.このOBからのCX3CL1産生はOAOBあるいはnormal OBに比してRAOBにおいて増強していた.このCX3CL1はmRNAレベルにおいても同様にRAOBにおいて高発現であった.サイトカインの共刺激による産生増強の機序を明らかにする目的で細胞内シグナル伝達因子の関与を検討した.RAOBによるnuclear factor kappa B (NF-κB) のmRNA発現はそれぞれのサイトカイン単独に比して増強していた.さらにこのNF-κBを阻害するpyrrolidineの添加によりCX3CL1の産生および発現は有意に低下した.またこのNF-κBに対するsiRNAをトランスフェクションし阻害することによりCX3CL1の産生および発現は有意に低下した.以上の結果は骨芽細胞がCX3CL1の重要な発現細胞でありその発現調節は炎症性サイトカインとNF-κBにより制御されていた.
  • 中尾 健太郎, 角田 明良, 竹中 弘二, 松井 伸朗, 大中 徹, 鈴木 直人, 山崎 勝男, 草野 満夫
    2008 年 68 巻 2 号 p. 106-112
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    クリティカルパスは現代の医療では欠かせない必須アイテムとなりつつある.われわれは結腸癌術後6病日退院パスを使用し, 患者のニーズにこたえている.しかし, 盲目的にクリティカルパスを施行することは, 時として重大な過ちをおかすことになりかねない.早期にパス脱落症例を見つけることは重篤な合併症を防ぐこととなる.今回, 縫合不全のためパス中途で中止となる早期指標について, 問題なくパスが終了した症例 (コントロール群) 62例と縫合不全メジャーリーク2例の白血球数熱型等をもちい比較検討した.コントロール群の平均値は白血球, 熱型はそれぞれ1病日10, 036/ul, 37.3℃で最高値を示し, 以後下降を示した.メジャーリーク症例は3病日目に白血球, 体温は正常値に戻らず, 体温は以後も37度程度の熱が持続した.このことから, 本CPを実施するにあたり術後3病日目の白血球数, 体温を検討することが重要であることが示唆された.
  • 櫻井 裕子, 田中 大介, 岡部 均, 田中 美智代, 日比野 聡, 中野 有也, 阿部 祥英, 井上 真理, 遠藤 明, 板橋家 頭夫
    2008 年 68 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    小児期の肥満は, 肥満症やメタボリックシンドロームの一因となり早期の介入が必要であるが, 明らかな臨床症状には乏しく, 一般検査で異常値を認めることは稀である.一方, アディポサイエンスの進歩によりレプチンやアディポネクチンは肥満を早期評価する上で注目され, 肥満症の合併症を予見する指標としては高インスリン血症が知られている.また, メタボリックシンドロームは, 特に中心性肥満に腎障害を合併することが知られ, 高率に尿中アルブミンの高値を認めるとの報告がある.今回, われわれは非肥満小児と肥満小児における尿中アルブミンと高分子量アディポネクチンについて検討し, さらに腎障害の原因となりうる代謝異常の有無を総コレステロール, トリグリセライド, 尿酸血糖インスリンをもとに非肥満小児と肥満小児において比較検討を行った.対象となった児は, 非肥満小児群男児22名, 女児8名, 肥満小児群男児27名, 女児12名であった.非肥満小児群と肥満小児群において, 高分子量アディポネクチン/総アディポネクチン比 (以下HA/TA) と尿中アルブミン (mg/g・Cre) について検討した結果, HA/TAは男女共に非肥満小児群より肥満小児群で有意に低値であったが, 尿中アルブミンは非肥満小児群と肥満小児群で男女共に有意差を認めなかった.また, 非肥満小児群と肥満小児群のいずれも男女共にHA/TAと尿中アルブミンの間に相関はなかった.また, 血液一般検査, 尿検査所見の検討では, 尿酸に関してのみ, 男女共に非肥満小児群より肥満小児群で有意に上昇していた.今回の検討では, これまでの報告と同様に, 非肥満小児と肥満小児においてHA/TAは有意差を認めた.しかし, 成人の肥満では尿中アルブミンの増加が注目されているが, 本検討では肥満小児の尿中アルブミンの増加は認めなかった.その理由は, 成人の肥満では尿中アルブミンが増加する機序として, 様々な因子が関与していることが知られているが, 小児期では, まだそれらが必ずしも出現していないためと思われた.しかし, 長期にわたって肥満の影響が及ぼされる小児期の肥満は, 検査データが正常であっても無視することができない.今後, 小児肥満症や小児のメタボリックシンドローム, およびその合併症の出現順序を肥満度の程度や肥満状態に暴露された期間などを含めて経過を追い, 尿中アルブミンとアディポサイトカインの関係を解明し, さらに早期予防と治療に結び付けていくための検討を行っていきたい.
  • 熊本 久大
    2008 年 68 巻 2 号 p. 119-129
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    セメントレス人工股関節置換術 (セメントレスTHA) は現在変形性股関節症に対する一治療法として確立されつつある手術法の一つであるが, 様々な問題も抱えているのもまた事実である.本研究ではosteolysisについて, osteolysisの発生機序に関与するとされている炎症性サイトカインを調べることで一つのスクリーニング検査とならないか調査した.対象は当院にてTHAを施行し術後5年以上経過し通院中の症例に対し, 単純X線写真と末梢血液中の炎症性サイトカインを比較検討した.炎症性サイトカインはIL-1, IL-6, TNF-α, GM-CSFの4項目について調査した.またosteolysisの有無は単純X線写真正面像にて判別した.50例のセメントレスTHAに対し一例は感染のため参考値とし検証対象から除外し, 残り49例において分析した.Osteolysisの部位は単純X線正面像にて判定した.分類にはGruenのzone分類を用いた.臼蓋側にosteolysisを認めたものはzone IIに最も多く, ステム側ではzone2に認めるものがもっとも多かった.IL-1とGM-CSFの上昇を認めたものはなかった.TNF-αの上昇を認めたものは3例であり, これはすべてosteolysisを認めた.IL-6は有意差は認めなかったものの6pg/ml以上のものでは全てosteolysisを認めた.サイトカインの上昇と線摩耗量, 及び年平均線摩耗量に明らかな相関関係は認めなかった.今回の研究により, osteolysisを認める症例では血清中のサイトカインの上昇を比較的多くに認めた.しかし線摩耗量や年平均線摩耗量が増えればサイトカインが上昇するわけではない.すなわち, 摩耗粉の量が多ければ反応が強いのではなく, これが骨-インプラント間に侵入した量に依存するのではないかと考えられる.今回の調査でもosteolysisを示した部位は臼蓋側ではscrew, 及びscrew holeの周囲となるzone IIに集中しており, ステム側でも比較的関節面に近い近位部に集中している.またサイトカインが多ければosteolysisが進行するのではなく, これにより刺激され, 活性化された破骨細胞と, もともとの造骨細胞のバランスにより進行してくるため, 生体のバックグラウンドが大きく左右すると考えられる.以上のことより, もっとも大事な事は充分な臨床所見をとることと, 単純レントゲンの評価ということになるが, これらにおいてosteolysisを疑う際IL-6とTNF-αは一つの評価の指標としてよいと考えられる.
  • 武藤 光範, 濱嵜 裕司, 櫻井 将之, 西村 英樹, 近藤 武志, 江角 仁志, 小林 洋一
    2008 年 68 巻 2 号 p. 130-137
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は54歳女性, 両側下肢安静時疼痛と潰瘍を主訴に来院した.Fontaine分類IV度の両側閉塞性動脈硬化症と診断し, 血行再建はカテーテル治療を選択した.左浅大腿動脈の完全閉塞病変では穿通用カテーテル, バルーンいずれのデバイスも病変を通過しなかった.そこで, 冠動脈用のデバイスである高速回転アテレクトミーを使用することでバルーンが病変を通過し, 閉塞部の拡張が可能となった.末梢動脈疾患 (peripheral arterial disease; PAD) に対するカテーテル治療において, 複雑病変は末梢血管用デバイスでは治療に難渋することがあり, その場合冠動脈用デバイスが有用なことがある.
  • 阿部 祐吉, 山崎 謙, 藤下 彰彦, 米澤 俊郎, 赤羽 日出男, 三橋 明, 山口 重貴
    2008 年 68 巻 2 号 p. 138-142
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    今回著者らは, 特に誘因なく発症した急性股関節痛を呈する化膿性外閉鎖筋炎と思われる1例を経験したので報告する.症例は59歳の男性で主訴は左股関節痛, 発熱で当院を受診し, そのまま入院となった.初診時著明な股関節運動時痛があり, 血液検査にて炎症反応と肝機能異常を認めた.MRI脂肪抑制画像にて外閉鎖筋を中心に高信号域に変化し, また関節液の軽度の貯留も認めた.そのため股関節穿刺を施行し, 入院後抗菌剤, NSAIDs投与にて解熱し股関節痛も改善した.血液検査での炎症反応も2週後に正常化した.初診より2ヶ月後のMRIでは, ほぼ外閉鎖筋は正常画像となり股関節痛もなく経過良好となった.基礎疾患を認めない成人の化膿性外閉鎖筋炎は稀であり, 股関節痛, 発熱を呈する症例では股関節の炎症疾患として関節炎だけでなく本疾患も念頭におく必要がある.
  • 吉田 智彦, 国村 利明, 山崎 貴博, 今高 博美, 佐藤 雅, 久行 友和, 斉藤 光次, 大池 信之, 諸星 利男, 佐藤 雅, 斉藤 ...
    2008 年 68 巻 2 号 p. 143-145
    発行日: 2008/04/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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