日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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56 巻, 8 号
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症例報告
  • 大野 亘, 早間 悠人, 加世田 健, 落合 文佳, 森本 幾之, 浅川 信一郎, 奈倉 倫人, 新井 繁幸, 山崎 修, 田村 好古, 戸 ...
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 56 巻 8 号 p. 311-316
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/28
    ジャーナル フリー

    70代男性.抗糸球体基底膜腎炎に対し,血液透析と副腎皮質ステロイド療法を実施し8週で血液透析を離脱.その約9週後に意識障害が出現したが数日で改善.しかし,発熱と尿閉が出現し,CRPの再上昇と持続性膿尿を認め,CTにて前立腺膿瘍の後腹膜腔への穿破を認めた.血液・尿培養からEscherichia.coli が検出された.エコーガイド下ドレナージ術と抗菌薬治療にて膿尿も含め軽快した.本症例は免疫抑制下,血液透析,乏尿と前立腺膿瘍のリスク因子を有していた.血液透析導入後に腎炎性尿所見と膿尿の出現持続を認めたが,亜硝酸塩反応はほぼ陰性であり,前立腺膿瘍穿破診断の直前まで関連症状は認めなかった.先進国では,前立腺膿瘍の頻度は低く自然穿破はさらに稀であるが,死に至る可能性がある.急速進行性腎炎による血液透析導入中の尿所見の解釈は難しいが,持続性膿尿を認める場合は,感染症兆候が乏しくても前立腺膿瘍を鑑別に入れ画像検査を実施し検討する必要がある.

  • 中井 健太郎, 中島 唯, 原 裕一郎, 井上 めぐみ, 宿理 朋哉, 原 雅俊, 中川 兼康, 山本 恵美, 本山 健太郎, 德本 正憲
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 56 巻 8 号 p. 317-322
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/08/28
    ジャーナル フリー

    心タンポナーデは比較的稀となった尿毒症および透析に関連した合併症の一つであるが,腎移植からの透析再導入後に心タンポナーデを呈した2例を経験したので報告する.症例1は41歳男性.31歳時にIgA腎症から腹膜透析を導入し,7か月後に腎移植を施行した.体液管理が困難となり,血清クレアチニン(Cr)10.6 mg/dLで血液透析を再導入したが,その2か月後より発熱,炎症反応の上昇を認め,3か月後に胸痛が出現し,血圧が低下,心タンポナーデの診断で心囊ドレナージを施行した.症例2は48歳男性.25歳時にIgA腎症から血液透析を導入し,34歳時に腎移植を施行した.Cr 12.3 mg/dLと増悪し血液透析を再導入した10日目に,透析中の血圧低下,呼吸困難感が出現し,心タンポナーデの診断で心囊ドレナージを施行した.診断後,透析中の抗凝固薬としてナファモスタットメシル酸塩を使用し,アスピリン,コルヒチンを内服して加療し再発なく経過した.

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