今回, 我々は血液透析患者の勃起機能を評価し, また, クエン酸シルデナフィルの投与を試みた. さらに2001年1月1日現在での世界における透析患者に対するクエン酸シルデナフィル投与の治療効果に関し, 文献的解析を行った.
クエン酸シルデナフィル服用希望の8例 [糖尿病: 5例, 非糖尿病: 3例, 平均年齢53.3±8.6歳 (糖尿病例: 53.4±10.7歳, 非糖尿病例: 53.0m±5.2歳, 平均透析歴2.9±3.1年 (糖尿病例: 2.8±1.8年, 非糖尿病例: 3.0±5.2年)] に対し, 国際勃起機能スコアー5 (IIEF5) を用いて勃起機能の診断を行ったところ, 平均スコアーは全体で6.1±4.7点, 糖尿病例6.4±4.8点, 非糖尿病例5.7±5.5点であった. この中で2例の症例がクエン酸シルデナフィルを服用した. 症例1は53歳透析歴3年, 原疾患は糖尿病, クエン酸シルデナフィル50mg服用でスコアーは11点から22点となり勃起不全 (ED) の状態から解放された. 症例2は56歳, 透析歴1年未満, 原疾患は慢性糸球体腎炎, クエン酸シルデナフィル25mg服用直後から顔面紅潮および心室性不整脈が生じ継続服用を断念した.
2001年1月1日現在における透析患者へのクエン酸シルデナフィル投与を文献的に検索し効果および副作用について自験例を含め検討したところ106例に投与され, 効果についての記載のあった96例中71例において有効 (有効率74.0%), 副作用は6例に認められ, 顔面紅潮, 頭痛が主なものであったが, 自験例においてLown等級分類IIに相当する心室性不整脈が認められた.
クエン酸シルデナフィルは透析患者のEDに対しても有効であると推測されるが安全性を含めてさらに症例数を重ねて検討する必要があると思われた.
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