症例は35歳, 女性. 過去に総合感冒薬の多量服用歴あり. 平成16年11月25日の早朝0時に自殺企図にて徐放性テオフィリン製剤200mg錠を140錠 (28,000mg) 内服し, 5時間後に動悸, 全身倦怠感を生じ救急搬入された. 来院時, 脈拍180回/分, 血圧80/50mmHg, 意識は混濁していた. 血液検査では白血球数の増加, 高度の低カリウム血症, 呼吸性アルカローシス, 高血糖を認めた. 胃洗浄および活性炭50gの投与後も病状の改善なく, 内服9時間後に判明した来院時のテオフィリン血中濃度は169.2μg/mLであった. 血液吸着を3時間施行し, 血中濃度は124.1μg/mLまで低下したが依然中毒域であり, 血液透析を4時間追加し, 同時に強制利尿を図ったところ, 血中濃度は29.2μg/mLと改善した. 翌日には5.4μg/mLとさらに改善し, 意識レベルも回復した. また内服12時間後の採血にて筋原性酵素の上昇を認め, 横紋筋融解症を併発したと考えられた. 血性CPKは内服後24時間で108,470IU/Lと最高値となった後は徐々に低下した. 十分な利尿により急性腎不全を発症することなく改善し, 第15病日に独歩退院した. 徐放性テオフィリン製剤による急性中毒の際は, 血液吸着に加え, 血液透析と強制利尿の併用療法も有効と考えられた.
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