日本透析医学会雑誌
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31 巻 , 10 号
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  • 宮田 敏男, 稲城 玲子, 黒川 清
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1311-1316
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Advanced glycation end products (AGEs) は蛋白の非酵素的な糖酸化反応により形成され, 近年, 老化や糖尿病合併症進展への関与が示唆されている. 腎不全での著明なAGEsの蓄積のメカニズムの解析が端緒となり, 腎不全におけるAGEsや脂質過酸化物の蛋白修飾物であるadvanced lipoxidation end products (ALEs) の蓄積は, 糖, 脂質およびアミノ酸由来の小分子量で反応性の高いカルボニル化合物が増加し, 広汎に生体蛋白の修飾が充進した状態, すなわち “カルボニルストレス” の結果と捉えられるに至った. カルボニルストレスは組織構築の変化や細胞に対する種々の生理活性を介して, 透析アミロイドーシスや動脈硬化などの腎不全合併症の病態に関与することが示唆される.
  • 堀江 正宣, 長谷川 正広, 土屋 博, 伊藤 慎一, 山羽 正義, 篠田 孝, 中村 豊, 加藤 〓郎, 河村 毅, 西田 泰幸, 米田 ...
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1317-1321
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    通常透析量のA病院 (142例: Kt/V 1.67±0.34) と透析量の多いB病院 (101例: Kt/V 3.66±1.40) の243症例を対象に, Kt/V, PCRの値でPCRは0.8, 1.2を, Kt/Vは1.0と1.6を境に透析領域を9区分 (仮にsquare mapと呼称する: 9 square) に分布させた. 現在まで適正透析量といわれているsquare 5 (Kt/V: 1.0-1.6, PCR: 0.8-1.2) には61症例 (25.1%) が分布し, そのTACureaの平均値は49.4±8.3mg/dlであった. square map上ではsquare 5,6,7,8,9のTACureaはNCDSが推奨する50mg/dl以下の値を示した. 将来的に真の適正透析量領域になる可能性があると思われるsquare 7,8には126症例 (51.8%) が分布し, TACureaは, それぞれ49.7±8.5mg/dl, 34.3±7.7mg/dl, であった. いわゆる過剰透析量領域 (大透析量領域: Kt/V: 1.6以上) であるsquare 7,8,9にある140例を, PCRは無視してKt/Vの値のみでさらにa群 (1.6-2.0), b群 (2.0-2.5), c群 (2.5-3.0), d群 (3.0以上) の4群に細分化した. 今回の大透析量領域の細分化群であるa, b, c, d群の4グループ間で透析歴, 年齢に有意差を認めていない. この4群間でTACurea, β2-MG, Ca×P値は, a群とb群を境に有意差を認めたが, Kt/Vでみた透析量2.0以上のb, c, d群間では差を認めなかった. Kt/Vが増大するとともにTACureaは低下していくが, その低下度は次第に緩徐となり, 通常ダイアライザーを用いた通常の透析では, Kt/V値2.0がTACurea, β2-MG, Ca×P値からみた今回の臨床的検討での限界値と考えられる.
  • 十河 眞人, 小俣 優美子, 伊藤 和江, 大谷 幸子, 古田 昌子, 下田 研二, 星野 正信
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1323-1330
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    はじめに: 飲水の制限は, 透析の予後を左右する循環器系の合併症を予防する上で重要である. しかし, 透析を受けている患者の中には, この飲水制限が不良である者が少なくない. そこで, 透析患者における飲水制限とパーソナリティ上の関係について, MMPI (Minnesota Multiphasic Personality Inventory) を用いて調査した.
    対象と方法: 清湘会のクリニックにおいて慢性維持血液透析を受けている患者約398人のうち, 中-日の体重増加がdry weightの5%以上ある51名 (男性: 34名, 女性: 17名) を体重管理の不良な例 (不良群) とし, 中-日の体重増加がdry weightの3%以下の33名 (男性: 16名, 女性: 17名) を良好な例 (良好群) とした.
    これらの透析患者にMMPI (原法の新日本語版, 三京房, 京都) を施行し, 不良, 良好の2群の間で各尺度の平均値について男女別に集計を行い, 比較を行った. MMPIの日本での標準化に際して対象とした健常成人1,022名 (男性: 500名, 女性: 522名) との間でも比較を行った.
    結果: 不良群は良好群に比し, 不安, 身体的愁訴に関係する尺度 (Hs, D, Hy, Pdなど) で高い値をとる傾向が認められたが, 有意な差はなかった. 正常成人に比べると, 不良群, 良好群ともにL, Hs, D, Hy, Esの尺度で有意に高値を示した.
    考察: 今回示された不良群, 良好群にともに認められたHs, D, Hyの高値は, 透析患者の抑鬱状況と身体的拘りを示唆する. この3つの尺度の上昇はneurotic triadと呼ばれ, 透析患者の神経症的状態を示すものと考えられる. 有意差は認められなかったが, 不良群ではこれらの尺度の得点が良好群より高く, 神経症的傾向が強いようであった.
    追加尺度のEsの低値は自我の脆弱性に通じるもので, 透析を受ける患者の精神的脆さを示しているといえよう.
  • 鳥山 高伸, 横家 正樹, 操 潤, 川原 弘久
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1331-1334
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者に対する経皮的冠動脈形成術 (PTCA) の成績, 特に石灰化病枝に対するnew device併用の効果を検討した. 当院に通院中の透析患者57名 (平均年齢59±9歳, 平均透析期間5.9±5.6年, 慢性糸球体腎炎20名・糖尿病性腎症34名・他3名) の114病枝に対して計174回のPTCAを施行した. うち, plain old balloon angioplasty (POBA) 102回, cutting balloon angioplasty (CBA) 23回, stent implantation (STENT) 49回を施行し, 各々の3か月後の再狭窄の発生率を評価した. 再狭窄は狭窄率50%以上と定義した. PTCA施行により全例拡張が得られたが, 3か月後には174施行中78施行例 (45%) が再狭窄をきたした. 喫煙・糖尿病・高血圧・高脂血症の有無および年齢・透析年数は再狭窄に対する危険因子として有意ではなかった. また, 57症例中48症例 (85%) に, 114病枝中92病枝 (82%) に石灰化がみられ, この高度な冠動脈石灰化率が透析患者の冠動脈病変の特徴と思われた. 石灰化病枝における再狭窄の発生率は, POBA群では80施行中48施行例 (60.0%), CBA群では18施行中9施行例 (50.0%), STENT群では42施行中10施行例 (23.8%) であり, new deviceの併用, 特にstent併用は石灰化病枝に対して著明な効果があった. また, PTCA反復施行により統計的有意差はないものの50.0%・46.5%・27.3%と再狭窄発生率の低下が得られた. 透析患者の冠動脈は石灰化の進行が著明でありPTCA後の再狭窄率も高いが, cutting balloon・stent等new deviceの併用や反復施行により良好な成績を得ることが可能である.
  • 杉原 清貴, 藤本 眞一, 中野 博, 山田 一, 本宮 善恢, 水野 麗子, 木村 麻子, 山路 國弘, 橋本 俊雄, 土肥 和紘
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1335-1342
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    左室心内膜下心筋線維は左室長軸方向に走行しているので, 左室長軸運動の解析は心機能障害を早期に検出しうる可能性がある. そこで著者らは, 維持透析患者の心機能評価に対する左室長軸運動の意義を検討した. 対象は, 慢性糸球体腎炎を基礎疾患とする32例の維持透析患者 (HD群) であり, その平均年齢が52歳, 平均透析期間が103か月であった. 1回透析前に記録した心エコー図所見から, HD群を左室総壁厚 (TLVT) が2.4cm以上の左室肥大群 (LVH群) 10例と, 2.4cm未満の非左室肥大群 (NH群) 22例に区分した. なお, 対照群 (C群) には健常者20例を選んだ. Mモード心エコー図所見から, 心室中隔壁厚と左室後壁厚の和であるTLVT, 左室拡張終期径 (Dd), 左室収縮終期径 (Ds), および左室内径短縮率 (FS) を計測した. パルスドプラ僧帽弁口血流波形から, 急速流入期最大血流速度E, 心房収縮期最大血流速度A, およびE/Aを計測した. さらに左室長軸Mモードから, 総振幅 (TLAM), 急速流入期振幅 (ELAM), 心房収縮期振幅 (ALAM), 最大拡張速度 (max LAM relax), およびELAM/ALAMを計測した. HD群は, C群に比し, 左室肥大あるいは左室拡大を示し, 左室拡張期特性が低下しており, 左室長軸運動も障害されていた. 左室壁厚以外のMモード心エコー図指標とパルスドプラ僧帽弁口血流指標はLVH群とNH群の両群間に差がなかったが, 左室長軸Mモード指標のELAMおよびELAM/ALAMはNH群に比してLVH群で有意に低値を示した. また, ELAM, max LAM relax, およびELAM/ALAMは, 年齢と弱い負相関を示した. 以上より, 左室長軸Mモード法は, 左室拡張障害を早期に検出し得る可能性があり, 維持透析患者での心機能評価に対しても有用な検査手法と考えられる.
  • 浅木森 幸晃, 川西 秀樹, 崎久保 悦男, 熊谷 純子, 森石 みさき, 大城 望史, 土谷 晋一郎, 頼岡 徳在
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1343-1346
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    on-line CHDFとデブリードメントにより救命し得た劇症型溶連菌感染症の1症例を経験したので報告する. 患者は39歳男性. 平成8年9月3日高熱, 左下肢痛をきたし3日後に左大腿壊死, 低血圧状態となり入院. 溶連菌感染症による横紋筋融解症, 敗血症を疑い, 皮膚切開ドレナージ, デブリードメント, 大量の抗生剤投与, 昇圧剤投与に加えon-line CHDFを施行した. 全身状態は徐々に改善し, 第9病日より間欠的血液透析 (HD) に変更した. 第22病日より尿量が増加し, 第30病日にHDより離脱した. 第86病日に植皮術を施行し, 現在社会復帰している. 本症例は, 局所に対する適切な皮膚切開ドレナージ, 徹底したデブリードメントを施行し, 十分な栄養, 抗生剤等の薬剤投与をすると同時に早期より持続的血液浄化療法を施行することにより救命できたものと思われる.
  • 米田 達明, 上田 峻弘, 名和 伴恭, 深沢 佐和子, 城下 弘一, 桜井 哲男, 椎名 浩昭, 井川 幹夫
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1347-1350
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は40歳女性. 結節性硬化症に両側性腎血管筋脂肪腫 (AML) と多発性腎嚢胞の合併により血液透析導入に至った. 結節性硬化症において腎病変の合併は一般的であるが, 慢性腎不全に至ることは稀である. 腎AMLはその発育過程より単独で高度の腎不全を生じることはないが, 腎嚢胞は腫大し, 正常腎組織の圧排, 置換により腎障害を生じる可能性がある. 腎AMLに多発性腎嚢胞を併発し, その増大により末期腎不全に至った症例は極めて稀である. 現在維持透析中であるが, 腎AMLに対し保存的に経過観察中であり, 腫瘍内出血の危険性を有するため今後も十分な注意が必要であると思われる.
  • 武田 智美, 武田 敏也, 内木 義人, 米川 智, 坂口 美佳, 大野 卓志, 岩本 一郎, 田中 久夫, 長谷川 廣文, 今田 聰雄, ...
    1998 年 31 巻 10 号 p. 1351-1355
    発行日: 1998/10/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は75歳の男性. 1997年1月19日に下腿浮腫, 肉眼的血尿に気付き他院を受診した. 施行した諸検査でBUN 85mg/dl, Cr 4.8mg/dl, Hb 9.7g/dl, 尿蛋白1+, 尿潜血3+が認められたため, 急速進行性糸球体腎炎 (RPGN) と診断され1月22日に当科に転医入院した. 入院時検査でMPO-ANCAが488 EUと高値を示し, その後に行った腎針生検で糸球体に半月体形成はなかったが, 小・中血管の血管炎所見とフィブリノイド変性が高度に観察されたため, MPO-ANCA関連の古典的多発動脈炎と診断した. 血液透析療法, ステロイドパルス療法, 二重膜濾過法 (DFPP) を施行した. その結果, 入院後13日目に血液透析から離脱できた. 治療中にMPO-ANCAとCRPが再上昇し, この時期に右腸腰筋出血を合併した. MPO-ANCA陽性の古典的多発動脈炎に右腸腰筋出血を合併した報告は少ないため, 文献的考察を加えて報告する.
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