血液透析 (HD) を施行した全身性エリテマトーデス (SLE) 16例 (女性15例, 男性1例), 年齢は24-47歳の臨床像, 治療, 予後について検討した. 腎生検は, 14例に施行し12例がび漫性ループス腎炎 (LN) であり, 2例は膜性LNであった.
これらの患者を腎不全の進行状態から, A, BおよびCの3群に分類した. A群 (n=6) はrapidly progressiveとした. SLEおよびLN発症より透析導入までの期間は短く進行性に腎不全に至った. 導入時, CH50は低値で免疫学的活動性は高く, 治療も大量のステロイド剤投与を行い, 全例血漿交換療法の併用, 3例でステロイドパルス療法も施行していた. 治療後は, 免疫学的異常と腎機能の改善を認めた. B群 (n=3) は, acute on chronicであった. A群に準じた治療を行いHD離脱したが, 1例が早期に急死した. 他の2例が再導入となった. C群 (n=7) は, chronicとした. SLEあるいはLN発症よりHD導入までの期間が最長240か月, 180か月の症例もあり, LNが慢性の経過で腎不全に至った群である. 6例の腎組織型はいずれもび漫性LNであり, 全例高血圧を認め, 糖尿病も2例に合併していた. 導入時のCH 50で評価するSLEの免疫学的活動性はA群に比し低く (p<0.01), ステロイド剤の投与量も少量 (p<0.001) であった. HD導入後のSLEの再燃は, 3例に認められ, ステロイド剤の増量を必要とした. 1例は, 維持透析10年目に脳出血で死亡した. A群は, C群に比しても血清クレアチニン値は平均5.4±1.8mg/d
lと低値 (p<0.02) で透析を施行し, 血漿交換療法やパルス療法を併用することで免疫異常や腎機能の改善がもたらされた. C群は, いわゆるburn outの状態で導入となるが, 維持透析経過中のSLEの再燃には注意を要する.
このようにSLE患者のHD施行は種々の病態で行われる. 臨床所見や腎生検を考慮し, 適切な時期に併用治療も含めたHD施行が予後の改善をもたらすと考えられた.
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