腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)患者において遺伝子組換えヒトエリスロポエチン(recombinant human erythropoietin:rHuEPO)投与量は,最大24,000単位/月(12,000単位/2週または6,000単位/週)であるが,十分な貧血改善効果が得られない症例もみられる.われわれは,当院PD患者46名を対象とし,rHuEPOによりヘモグロビン値(Hb値)が,10g/dL以上に到達できなかった赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulation agent:ESA)療法低反応性PD患者8名について,Darbepoetin Alfa(DA)投与の効果を検討しDA投与が必要であった患者群(DA群)は,DA非投与の患者群と比べると腹膜透析歴が有意に長期であった.また,DA群で残腎機能は有意に低下しており,中分子量物質除去の指標であるβ
2-ミクログロブリン値(β
2-MG)は高値であった.また,炎症の指標であるCRP値は,DA群で有意に高値であった.両群のフェリチン値に差はなかった.DA群では,rHuEPO投与からDAへ変更したことにより,投与開始時のHb値9.1±0.8g/dL(平均±標準偏差)から投与18週後にHb値11.0±0.8g/dLへ有意に改善し,また,長期投与により全例が目標Hb値の11g/dL以上となった.なお,DA投与量は,投与開始時67.5±19.8μg/回/2週から100±18.5μg/回/2週(投与18週)への増量が必要であった.rHuEPOで十分な貧血改善が得られないESA療法低反応性PD患者においても高用量のDA投与により,Hb値の改善が全例可能であったことより,当院のESA低反応症例は,ESA投与量の絶対量不足が原因と考えられた.
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