日本透析医学会雑誌
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31 巻, 3 号
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  • 東洋医学・漢方・気功・全体医学 -第42回日本透析医学会ワークショップより-
    本田 宏, 徳中 荘平
    1998 年31 巻3 号 p. 175-181
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 山下 明泰, 濱田 浩幸
    1998 年31 巻3 号 p. 183-189
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    古典的な膜透過理論に基づく腹膜透過モデルには様々なものがあるが, 本論文では小分子溶質について, Pyle-Popovichの厳密な理論に忠実な新しい簡易モデル (以下, 本簡易式) を導出した. Pyle-Popovichのモデルをもとに生成した仮想の臨床データに対して, 対流輸送を考慮していないHendersonの式, 単一方向への対流輸送のみ考慮したBabb-Garredの式, および本簡易式を当てはめる計算機実験を行い, 総括物質移動・膜面積係数 (MTAC) を算出した. PET (peritoneal equilibrium test) データをもとに4時間目の検査値を用いれば, いずれの簡易式を用いても比較的小さな誤差でMTACを求めることができた. しかし除水不良例や除水過剰例において, 特に短時間の検査データを用いると, 前2つの簡易式ではMTACの算出値には大きな誤差 (Hendersonの式ではover-estimation, Babb-Garredの式ではunder-estimation) を生じる可能性が明らかとなった. このような場合にも, 本簡易式を用いれば±5.0%以内の誤差でMTACを求められることがわかった. また, HendersonやBabb-Garredの式から求めたMTACの値は, 採取する臨床データの時間に大きく影響を受けるのに対し, 本簡易式によるMTACの計算結果は, 臨床データの採取時間に影響を受けにくいことがわかった.
    これまでに採取されたPETによる検査データを生かし, 腹膜透過能を定量的に把握するために, 本簡易式は有用と思われた.
  • グアニジノ化合物およびAGEsとの関連についての検討
    三浦 靖彦, 友 雅司, 若林 良則, 小比木 英男, 森田 隆, 中野 広文, 西村 元伸, 鈴木 理志, 土田 弘基, 川口 良人, 細 ...
    1998 年31 巻3 号 p. 191-195
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析患者の皮膚〓痒症は, 未だ不明な点が多い. ラクチュロースは, 尿素の腸管循環を促進し, 血中アンモニアを低下させるが, 同様の機序による尿毒症性物質の低下を期待し, 透析患者にラクチュロースを投与し, 〓痒感に対する効果を見るとともに, 血中グアニジノ化合物およびAGEsとの関連についても検討を加えた.
    対象および方法: 白鳥の〓痒症の分類II度以上の透析患者15名 (男9, 女6) に, ラクチュロース16gを夕食後, 4週間投与した. 次の4週間は朝, 夕に16gを投与した. 〓痒感は, 自己採点させ, 投与前, 4週後, 8週後に, 血液一般検査, 生化学検査およびβ2マイクログロブリン, メチルグアニジン, グアニジノ酢酸, インドール硫酸, p-クレゾール, ペントシジンを測定した.
    結果: 投与前2.87±0.17であった〓痒感は, 4週後には1.87±0.22点に, 8週後には1.60±0.25点へと減少した (p<0.05). 血液一般検査, 血液生化学検査においては, クレアチニンのみが投与前12.2±0.5mg/dlから, 8週後には11.4±0.5と, 有意差 (p<0.05) をもって減少したが, 他の項目に関しては経過中有意差をもって変動したものはなかった. β2マイクログロブリン, メチルグアニジン, グアニジノ酢酸, インドール硫酸, p-クレゾール, ペントシジンにおいては, β2マイクログロブリン以外の物質は, 投与前に比して有意に減少した.
    結論: ラクチュロースの, 透析患者の〓痒症軽減効果が認められた. そのメカニズムとして, グアニジノ化合物およびAGEsとの関連が示唆された.
  • 上園 昭一
    1998 年31 巻3 号 p. 197-202
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の免疫機能を検討するために, 単球, リンパ球のサイトカイン産生能を調べた. 末梢血中の単球のinterleukin-1β (IL-1β), tumor necrosis factorα (TNFα) 産生能とTリンパ球のinterleukin-2 (IL-2) 産生能, さらに血漿中のsoluble IL-2 receptor (SIL-2R) を年齢および透析年数別に測定した. 対象は透析患者35例で, 内訳は40歳以下で透析歴1年以下7例 (平均年齢35.7歳, 平均透析期間10.1か月), 40歳以下で透析歴10年以上9例 (平均年齢37.8歳, 平均透析期間13.2年), 60歳以上で透析歴1年以下10例 (平均年齢66.3歳, 平均透析期間9.2か月), 60歳以上で透析歴10年以上9例 (平均年齢65.3歳, 平均透析期間12.8年) とし, 健康群は14例で40歳以下7例 (平均年齢35.0歳) と60歳以上7例 (平均年齢64.4歳) とした. IL-1β, TNFα産生能は健康群, 各透析患者群の間に有意な差を認めなかった. IL-2産生能は60歳以上で透析歴1年以下群および10年以上群ともに健康群に比べ有意に低下し (p<0.03, p<0.01), 40歳以下透析歴1年以下群に対しても有意に低下していた (p<0.03, P<0.01). 40歳以下では透析歴10年以上群が透析歴1年以下群に比べ低値を示す傾向があったが有意な差ではなかった. SIL-2Rは透析患者群のすべてが健康群より有意に上昇していた (p<0.001).
    これらのことから透析患者では, 高齢になるほどTリンパ球のIL-2産生能は低下し, 単球のIL-1β, TNFα産生能は年齢, 透析期間に関係なく保たれていると考えられた.
  • 野村 威雄, 瀬戸 浩司, 平田 裕二, 奈須 伸吉, 田崎 義久, 三股 浩光, 中川 昌之, 野村 芳雄
    1998 年31 巻3 号 p. 203-207
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例: 66歳女性. 1967年子宮全摘除. 1987年血液透析導入. 1996年7月下旬頃より右腰部痛, 下腹部痛, 発熱を認め, 腹部CTで右腎に腫瘤性病変を指摘され7月30日当科入院となった. 尿閉, 尿路感染を認め, 抗生物質投与および間歇導尿・膀胱洗浄を続け全身状態の改善を待って右腎摘出術を予定していたが, 8月8日38℃を超える発熱を認めたため膿腎症の診断で経皮的腎瘻術施行. 腎瘻術後は解熱傾向となり全身状態も改善した. 本症例は子宮全摘除術の合併症として神経因性膀胱を生じ, 尿閉, 尿路感染症を合併し, 腎盂腎炎, 膿腎症へと進展したと考えられた.
    長期透析患者での発熱の原因として尿路感染症を見逃してはならず, また膿腎症を発症した場合には, 経皮的腎瘻術による尿ドレナージを完全に行えば保存的に治療可能と考えられた.
  • 1996年度アンケート集計報告
    石川 勲
    1998 年31 巻3 号 p. 209-217
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    著者らは先の7回のアンケート調査に引き続き, 1996年2月に過去2年間に診断された透析患者の腎細胞癌 (腎癌) について集計した. 今回は腎癌取扱い規約に基づく組織学的細胞型に加え, 新たに構築型についても調べた. アンケートは全国の透析センターを中心に2,622通送付され, 1,560通 (59.5%) の回答が得られた. その結果腎癌は過去一番多い277例報告され, その平均年齢は54.1±11.7歳 (平均±標準偏差), 平均透析期間は125.8±79.5か月であった. 不明1例を除き, 276例中透析歴10年以上のものは145例 (52.5%) を占めていた. また277例中男性は222例, 女性は55例と男性の方が約4倍多かった. 診断の手がかりはこれまでと同様にスクリーニングによるものがほとんどで (94.6%), 症状出現によるものは10例 (3.6%) にすぎなかった. 多嚢胞化萎縮腎の合併は271例中222例 (81.9%) にみられた. また腎癌の組織診断があるものは229例 (82.7%), 組織学的細胞型がわかっているものは218例であった. この218例中淡明細胞亜型は123例 (56.4%), 顆粒細胞亜型44例 (20.2%), 混合亜型51例 (23.4%) であった. また新たに調べた構築型は205例中胞巣型67例 (32.7%), 腺管型29例 (14.1%), 乳頭型49例 (23.9%), 嚢胞型20例 (9.8%), 充実型14例 (6.8%), 混合型26例 (12.7%) であった. ただし透析歴5年以上の例では顆粒細胞・混合亜型と腺管・乳頭型のものが多くみられた. 予後は腎癌死が21例 (7.6%), 転移が273例中45例 (16.5%) に認められた. 淡明細胞亜型と顆粒細胞・混合亜型とで転移の有無をくらべてみると, 後者に転移が多かった. 以上より1996年の集計では, 腎癌症例が277例報告され, この値は透析患者10万対163例を示していた. 長期透析例の腎癌は細胞型として顆粒細胞・混合亜型が多く, 構築型として腺管・乳頭型が多いことが判明した.
  • 工藤 靖夫, 青山 真也
    1998 年31 巻3 号 p. 219-221
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    狭心症を有する慢性血液透析患者6名に対し, 硝酸薬であるisosorbide-5-mononitrate (ISMN) を朝夕1日2回各20mgを経口投与し, 3日以上経過後の透析・非透析日にそれぞれ時間採血を行い, 血中濃度の推移を検討した. 非透析日の血中濃度は高値であり, これには分布容積の減少が主因と考えられた.
    血液透析では平均血中濃度は約80%減少するが, 透析終了後も血中濃度は治療域に保たれていた. ISMNを慢性血液透析患者に投与する場合, 用量の補正等は必要ないと思われるが, 非透析日の血中濃度が高いこと, 透析の影響を受けることなどを考慮する必要があると考えられた.
  • 成田 眞康, 鶴田 良成, 大林 孝彰, 畦倉 久紀, 武田 湖州恵, 成田 幸夫, 田中 治, 米虫 節夫, 山内 士具, 前田 憲志
    1998 年31 巻3 号 p. 223-228
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者の骨折についての検討を行った. 対象患者は, 成田記念病院および関連2施設にて血液透析を実施していた慢性腎不全患者304名 (男性173名, 女性131名) であり, 透析導入後の骨折発症の有無を調査した. 調査期間は1995年2月25日より同年5月31日である. その結果, 47名 (男性30名, 女性17名) に骨折の既往が認められた. 発症年齢は20から70歳代まで広く分布し, 男性, 女性ともに高齢者群よりも30歳代以下の方が発症率が有意に高値であった. 透析歴では, その増加に伴い, 男性, 女性ともに骨折既往歴所有者の比率は増加し有意な正の相関が認められた. (r>0.9).
    骨折は延べ合計男性37例, 女性27例に認められた. 部位は男性, 女性ともに肋骨が各々9例, 11例と最も多く, 次いで男性で鎖骨, 肩甲骨, 踵骨が各5例, 女性で前腕骨, 大腿骨, 足指骨が各3例であった. 骨粗鬆症による骨密度の低下が骨折にあまり影響しない部位である肩甲骨と踵骨には骨折が男性でそれぞれ5例にみられたが, 女性には1例も認められなかった. 一方病的骨折は男性, 女性ともに肋骨が最も多かったが性差はなかった. 男女間の発症頻度は, いずれの年代層においても有意差は認められなかった. 骨折時の全身骨密度は, 性, 年齢を合わせたZ scoreで比較すると, 男性および女性は各々-10.49±11.0, -10.86±5.4であり, 両群間に差は認めなかった. これらのことから, 骨折頻度を上昇させる因子のひとつとして骨密度の低下とは別に, 患者の日常の社会的な活動性が挙げられることが推測された.
  • 愛知県下における精神障害合併患者の実態調査
    松本 ひろ子, 澤中 玉美, 河合 道代, 石川 友紀子, 板倉 芳子, 上田 真紀子, 長谷川 広重, 宗宮 信賢, 両角 國男
    1998 年31 巻3 号 p. 229-235
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    精神障害の再燃にて精神科病院へ入院治療を必要とした症例の治療過程に生じた問題への対処を契機に, 愛知県下における維持透析患者で入院を要すると考えられた精神障害患者の受け入れ, 治療実態に関するアンケート調査を実施した. ここに報告する.
    症例は50歳, 男性, 透析歴12年の維持透析患者で, 非定型精神病の再燃にて入院を必要とした. 透析可能な精神科病棟を有する総合病院への転院ができず, やむを得ず精神科単科病院に入院した. 当院の職員2名で送迎を行い, 通院透析を行った. 透析中は専任ナースを配置するなどの工夫を行った. 幸い非定型精神病は治まり, 約3か月後に退院した.
    この症例のような入院治療を要すると考えられる精神症状を有した透析患者の実態を調査するために, 愛知県下の透析施設に同様な経験の有無と入院の有無, 転院時に生じた問題, および, 具体的対処に関するアンケート調査を行った. アンケートは愛知県内の111施設に郵送で行い, 72施設 (65%) より回答を得た. 4,418名中62名 (1.4%) の精神障害者が存在した. 透析患者に認められた精神科病名は, 躁うつ病 (24名), 分裂病 (14名) が多く, 次いで老人性痴呆であった. 年齢と疾患の関係では, 精神障害合併患者は50歳代に最も多く, その殆どが躁うつ病と分裂病であった.
    精神障害を有する患者62名のうち入院適応と診断された患者は20名で32%に相当した. 要入院の20名中17名 (85%) は入院可能であった. その治療形態は, 精神科病棟に入院し治療が行われたのは17名中11名 (65%) であり, 入院中の同一施設内での透析が可能だったのは, 11名中5名のみであった. 残りの6名は他施設にて透析を行っていた. 精神科病棟に入院できなかった6名の患者は透析可能な一般病棟へ入院治療を行った. 向精神薬の投与は維持されたが, 一般病棟であるため, 夜間の不穏やせん妄に対する緊急処置や行動管理の面での問題が指摘された. 入院治療が必要とされた20名中15名 (75%) の殆どの症例で, 入院待ち期間が, 非常に長かった. 入院となっても手続きや2施設間の搬送に伴う責任の所在など, いくつかの障壁が指摘された. 同一施設内での総合治療が望まれるが, 現実には総合病院で精神科病床を有するところは極めて少なく, 受け入れも困難であることがわかった.
    今後, 広域での透析施設間の情報交換や, 精神科との連携診療を密にすることが必要と思われた.
  • 秋葉 隆, 芝本 隆, 川崎 忠行, 上野 信一, 佐藤 久光, 申 曽洙, 竹沢 真吾, 田部 井薫, 那須野 修一, 藤井 穂波, 和田 ...
    1998 年31 巻3 号 p. 237-242
    発行日: 1998/03/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    コンピュータによる透析中央監視システムや透析支援システムを導入している透析医学会施設会員施設108施設にアンケート調査を行った. 回答率は50%だった.
    これらのシステムの74%は1993年から1996年の3年間に導入された. 納入メーカーはその83%が2社に占められた寡占状態だった. 導入目的はほとんどが透析医療の省力化, 安全性の向上で, 少数がデータ管理, 医療の質的向上, 装置の保守管理, 研究・学会などだった. 機種選定担当者は医師および臨床工学技士 (技士) が多く, 担当管理者は技士が73%を占めた. システムの活用度は活用しているとする施設と十分活用していない施設とほぼ同率にみられた. 職種別使用状況は技士の使用が高く, 次いで看護婦 (士), 医師の順であった. システムと自動血圧計・体重計との接続は多くの施設で行われていた. 透析装置の自動設定, モニタリング, 透析レポートの自動作成などに対する有用性は高く評価されていた. しかし, 施設によって異なる管理手順に対応しきれない場合や, 既存の他社および他部門のシステムとの接続ができない等の理由により, 各施設のシステムの活用度や満足度が低い結果になったと考えられる. 一方, 導入目的の達成率では約6割の施設が「導入目的は達成された」と回答した. 活用度・満足度が低いにもかかわらず, 目的達成率が高いという逆転現象が観察された. これは,「次世代へのステップとして, 性急な実用性を望んでいない」, 一方では「現状のシステムに対する過大な期待が満たされていない」と考えることができる.
    以上, コンピュータによる透析中央監視システムや透析支援システムは透析の現場で一定の役割を果たしているものの, 問題は山積しており, 今後も日本透析医学会として標準化など透析分野のコンピュータ化に積極的に取り組んで行く必要があることが示された.
  • 1998 年31 巻3 号 p. 250
    発行日: 1998年
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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