日本透析医学会雑誌
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50 巻 , 5 号
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委員会報告
原著
  • 宮崎 良一, 宮城 恭子, 川村 里佳
    2017 年 50 巻 5 号 p. 281-287
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/28
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    血液透析患者のC型肝炎ウイルス (HCV) 抗体陽性率は, 献血や検診等における陽性率よりも高いことが知られている. またHCV感染を有する血液透析患者の予後は肝臓関連疾患だけでなく心血管系の死亡も多く, その感染は予後不良の因子と報告されている. 当院では, 2009年5月より血液透析患者でゲノタイプ2a型感染の3症例にPEG-IFN (Peg-interferon) 単独療法を行い全例SVR (sustained virological response) 24に達した. 次に2014年10月よりゲノタイプ1b型感染の18症例にdaclatasvir/asunaprevir (DCV/ASV) の併用療法を行い17例がSVR12に達した. DCV/ASVでSVR12に達せず, 8週目にBreakthroughした症例はその後Paritaprevir/ritonavir/ombitasvir併用療法でSVR12に達した. SVR12に達した後3症例が死亡した. うち2症例は心血管系合併症で死亡, 1例は肝不全で死亡した. 2009年以降, 死亡したHCV感染者は13例であった. このような取り組みにより2014年6月には当院ではHCV感染者はいなくなりHCV感染治療に成功した. 今後HCV感染の全血液透析患者は治療されるべきと考察した.

透析看護
  • 大村 清一, 中村 裕也, 竹内 秀子, 岡野 真也, 飯作 亮介, 占部 梓, 山﨑 雄司, 大澤 勲, 後藤 善和, 後藤 博道
    2017 年 50 巻 5 号 p. 289-294
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/28
    ジャーナル フリー

    【目的】アムスラーチャートを用いて看護師が透析患者の黄斑疾患による視覚障害を評価し, その有用性を検討した. 【方法】透析患者199例 (男性125例, 女性74例, 平均年齢67.9±10.7歳, 透析歴8.2±6.7年) にアムスラーチャート検査を用いた視覚障害の検査を行い, 患者背景, 目の異常症状, 眼科受診希望を調査した. 40例で眼科専門医の診断を行った. 【結果】アムスラーチャートで63例が異常を認めた. 異常があった患者はなかった患者と比べ, 糖尿病や目の異常症状が多く, GA値が高く, 文字の歪みの訴えが多かった. 異常があった患者で29例が眼科受診を希望し, 受診した40例中, 糖尿病網膜症は18例, 黄斑変性症は8例, 網膜静脈閉塞症は7例, 緑内障は5例だった. 【考察】アムスラーチャートによって, 視覚障害を認めた透析患者は3割で, 黄斑疾患を多く認めた. 本検査は眼科的な専門診療の必要性を気づかせる有用性が高い検査と考えられた.

症例報告
  • 若林 華恵, 小川 真, 服部 憲幸, 織田 成人, 並木 隆雄
    2017 年 50 巻 5 号 p. 295-300
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/28
    ジャーナル フリー

    62歳男性. 繰り返す癒着性イレウスの後, 57歳で小腸広範切除を施行し短腸症候群 (short bowel syndrome: SBS) となった. 吸収障害による下痢が続き, 高カロリー輸液を行っていたが, カテーテル感染のため継続困難であった. 下痢による脱水, 感染に加えて高シュウ酸尿症による広範な腎結石が形成され腎不全は進行し, 62歳時に血液透析を導入した. SBS合併のある本例では, 通常透析患者には認められない種々の電解質異常を伴い, またアシドーシスも高度で管理に難渋したが, 標準組成半消化態経腸栄養剤と和漢薬の併用により, 経静脈栄養から離脱しても良好な管理が可能であった.

  • 山崎 智貴, 佐々木 裕司, 宮川 博
    2017 年 50 巻 5 号 p. 301-307
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/28
    ジャーナル フリー

    症例は84歳, 女性. 過去に検尿異常や腎機能障害は認めず, 入院4日前よりしびれに対してプレガバリン25mgを処方された. 4日後に呼吸苦で当院救急外来を受診し, Cr 9.34mg/dLと著明な腎機能悪化を認め, 緊急入院となった. フロセミド静注に反応なく, 第2病日から血液透析を開始した. プレガバリンによる薬剤性腎障害を考え, 内服中止にて経過をみたが, 第9病日まではCr値の上昇が継続した. 追加の検査結果から, 血清M蛋白と尿Bence Jones蛋白が陽性となり, パラプロテイネミア関連腎障害の可能性も考え, 第16病日に腎生検を施行した. 腎生検の結果から, 尿細管間質にリンパ球や好酸球浸潤が認められるのみであり, 急性間質性腎炎と診断した. 第9病日からは徐々に腎機能は改善し, 4回目の血液透析で透析離脱した. プレガバリンによる急性間質性腎炎は過去に報告はなく, 本症例のように血液浄化が必要となるような重篤な腎障害の副作用があることを考慮する必要があると考えられる.

  • 七松 東, 桂川 史子, 川井 沙記, 柳 智貴, 樋口 真一, 矢嶋 優, 安藝 昇太, 青柳 誠, 田中 啓之
    2017 年 50 巻 5 号 p. 309-313
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/28
    ジャーナル フリー

    症例は60歳女性. 糖尿病性腎症による末期腎不全に対して腹膜透析導入のため入院した. 第4病日に腹膜透析カテーテル挿入術を施行し, 第6病日よりブドウ糖透析液で腹膜透析を開始した. 第10病日にイコデキストリン透析液に変更したところ, 第15病日に肝障害, 腎障害が出現した. この間に明らかな体液量変動は認めず, 脱水は否定的であった. 好酸球増多症を認め, ほかに新規に開始した被疑薬が存在しないことから, イコデキストリン透析液によるアレルギー反応を疑った. 第17病日にイコデキストリン透析液を中止し, ブドウ糖透析液に変更したところ, 第19病日より肝障害, 腎障害の改善を認め, 第30病日に退院となった. イコデキストリン透析液によるアレルギー反応は丘疹紅斑などの報告はあるが, 肝障害および腎障害が疑われた報告はこれまでにないため報告する.

  • 森澤 紀彦, 大瀧 佑平, 菅野 直希, 奥野 憲司, 卯津羅 雅彦, 三井 理華, 遣田 美貴, 武田 聡, 横尾 隆
    2017 年 50 巻 5 号 p. 315-320
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/28
    ジャーナル フリー

    リチウム中毒は双極性障害の治療に用いられるが, 有効血中濃度領域は比較的狭く中毒域が近いこと, 多岐にわたる中毒症状が注意点としてあげられる. 今回われわれは, 炭酸リチウム24gを内服し, 意識障害およびQT延長をきたした急性リチウム中毒を経験したので報告する. 症例は26歳女性, 希死念慮を認め, 炭酸リチウム24gを過量服薬した. 意識障害を呈したため当院救急搬送され, 過量服薬後1時間程度で胃洗浄を施行, 心電図で軽度のQT延長を認め, 急性リチウム中毒を疑い, 持続的血液透析を開始した. 開始後, 症状改善し, 血中リチウム濃度の再上昇を認めず, 経過良好にて第7病日に退院となった. リチウムは非常に透析性の高い物質であり, 循環動態が不安定な場合には持続的血液透析が望ましい. 急性中毒に対して早期の血液透析開始により, 血中リチウム濃度を低下させ, 脳内および各組織におけるリチウム濃度の上昇抑制が可能となることが示唆された.

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