目的: 増加しつつある高齢透析患者の身体的特徴と生活状況を調査し, 解決すべき問題点を明らかにする.
方法: 以下の項目について比較した. I) 1982-83年, 1992-93年の各24か月間の血液透析導入患者の年齢構成と原疾患. II) 1982-83年に血液透析を開始した70歳以上と50-59歳の患者の10年生存曲線. III) 維持血液透析患者で70歳以上の患者 (H群) と50-59歳の患者 (M群) について検討した1) 年齢, 性, 透析歴, 2) 糖尿病性腎症患者の比率, 3) 視力障害, 4) 歩行障害, 5) 心肺機能, 6) body mass index (BMI), 7) 標準体重 (SBW), 8) dry weight (DW), 9) DW/SBW比, 10) 心胸比, 11) 透析時体重増加率, 12) 1週間の総除水量, 13) KT/V
UREA, 14) 血清総蛋白, 15) 血清アルブミン, 16) 血清ナトリウム, 17) 血清カリウム, 18) 援助可能な同居者の数, 19) 透析施設への通院方法.
結果: I) 92-93年の血液透析導入患者は, 82-83年に比べて, 70歳以上の患者が増加し, 30歳代の患者が減少した. II) 10年生存率は, 70歳以上で10%, 50歳代では77%で, 生存曲線も両者に差を認めた. III) 1) 透析歴は, H群でM群に比し短く, 2) 糖尿病患者比率は両群に差を認めなかった. 3) 視力障害, 4) 歩行障害, 5) 心肺機能のいずれもH群で有意な機能低下が見られた. 6) BMIは, H群で低値を示した. 8) DW/SBW比は, H群で95±12%, M群で100±12%と差を認めた. 10) 心胸比は, H群で49.3±4.6%, M群で45.8±4.2%と差を認めた. 11) 透析時体重増加率, 13) KT/V
UREA, 14) 血清総蛋白に差を認めなかったが, 15) 血清アルブミンは, H群で低値を示した. 19) H群で自力通院が可能な者は30%に止まり, 入院透析者を12%認めた.
結論: 高齢透析患者は, 身体機能障害のために, 外来通院透析が困難な例が多い.
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