日本透析医学会雑誌
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34 巻 , 12 号
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  • 大森 健太郎, 青池 郁夫, 青柳 春樹, 青柳 竜治, 今井 久彌, 岩渕 洋一, 殷 煕安, 恵 以盛, 恵 京仔, 恵 蘭, 太田 隆 ...
    2001 年 34 巻 12 号 p. 1469-1477
    発行日: 2001/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】透析皮膚〓痒症の発症機序や病態に関しては未だ不明な点も多く, 種々の対策や治療が試されているにもかかわらず, 確実な治療法がないのが現状である. 今回私たちは, 維持血液透析患者における皮膚〓痒症の実態を明らかにし, 背景因子および各種臨床検査値との関連性を検討した.
    【対象と方法】新潟県内41施設の維持血液透析患者2474名 (年齢60.4±12.8歳, 透析期間8.2±7.5年 (平均±標準誤差)) を対象に, かゆみの程度 (5段階カテゴリー評価とvisual analogue scale (VAS: 視覚的尺度) による評価), 頻度, 部位, 時期, 睡眠障害の程度および治療内容についてのアンケート調査を実施した. さらに, 臨床検査値 (Ca, P, int-PTH, BUN, Cr, Ht) および透析膜の種類について各症例のデータを調査し, 〓痒症との関連を解析した.
    【結果】1801名 (72.8%) に〓痒の経験を認め, そのうち約75%が毎日〓痒感を訴えていた. 約半数に〓痒による睡眠障害を認めた. 背景因子では男性, 中高年層, 長期透析症例で, 臨床検査値ではCa≧9.7mg/dl, P≧5.6mg/dl, int-PTH≧360pg/ml, BUN≧81.2mg/dlの症例で中等度以上の〓痒を有する危険率が有意に高かった. 使用されている透析膜の種類 (ポリメチルメタアクリル膜のBG/BKシリーズ, セルローストリアセテート膜, ポリスルフォン膜) と中等度以上の〓痒を有する危険率には有意差を認めなかった.
    【結論】血液透析患者において皮膚〓痒症が高頻度にみられ, 睡眠障害などQOLに影響を及ぼしていることが確認された. 性別, 年齢, 透析期間, Ca, P, int-PTH, BUNと〓痒の発症に関連性を認めた.
  • 高木 幹郎, 櫛谷 文彦, 竹内 敏明, 和田 英夫, 珠玖 洋
    2001 年 34 巻 12 号 p. 1479-1484
    発行日: 2001/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者において, 糖尿病性腎症と非糖尿病性慢性腎不全の止血異常の差異を明らかにするため, 透析前後における凝固および血管内皮マーカーの変動を検討した.
    透析前では, 糖尿病群で有意な活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) の延長ならびにプロトロンビン時間 (PT) の低下があり, Thrombin-antithrombin III複合体 (TAT), Plasmin-α2 plasmin inhibitor複合体 (PIC), D-Dimerが高値傾向にあった. Antithrombin III (AT III) 活性は両群ともに低下し, 特に非糖尿病群に比べて糖尿病群で有意な低下を認め, 糖尿病群により強い凝血学的異常が認められた.
    透析前後の変化では, 両群とも透析後にTAT, PICの上昇を認め, 体外循環に伴う凝固線溶系の活性化が窺えた. 糖尿病群では特にThrombomodulin (TM), Tissue plasminogen activator-plasminogen activator inhibitor複合体 (TPAI-C) の有意な上昇を認め, 非糖尿病群に比べ透析中の血管内皮細胞傷害がより強いことが推察された.
  • 渡辺 修一, 岩永 伸也, 佐藤 順一, 石井 健夫, 小倉 誠, 中山 昌明, 木村 靖夫, 細谷 龍男, 平野 宏, 川口 良人
    2001 年 34 巻 12 号 p. 1485-1490
    発行日: 2001/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期CAPD患者の腹膜生検によるperitoneal mesothelial cell layer (PMCL) の有無と生検時より2か月以内に施行したperitoneal equilibration test (PET) およびcharge selectivity index (CSI) について検討した. 生検を実施した40例を対象とし, 組織所見にしたがい, 正常群9例, PF (M+) 群: 腹膜線維症でPMCLが存在する群14例, PF (M-) 群: PMCLがない群11例, PS群: 腹膜硬化症群6例に分類した. PETに準じて, 2.5%透析液2Lを4時間腹腔内に貯留し中間点で採血し, 血中 (P) と排液中 (D) のglutamine (Gln), glutamate (Glu), lysine (Lys), creatinine (Cr) を測定しD/P比を求め, さらに, D/D0 glucose ratio (D/D0) およびCSI {CSI (Glu/Gln): GluのD/P比÷GlnのD/P比, CSI (Lys/Gln): LysのD/P比÷Gln D/P比} を算出した. 透析期間は, 正常群6.7±6.6, PF (M+) 群23.8±21.9, PF (M-) 群40.9±22.8, PS群95.3±23.7 (月) で, 正常とPF (M+) 群およびPF (M-) とPS群に有意差を認めた. D/P (Cr) は, 正常群0.537±0.138, PF (M+) 群0.595±0.116, PF (M-) 群0.650±0.084, PS群0.825±0.082. D/D0では, 正常群0.456±0.106, PF (M+) 群0.417±0.074, PF (M-) 群0.348±0.052, PS群0.251±0.051. CSI (Glu/Gln) では, 正常群0.571±0.112, PF (M+) 群0.529±0.161, PF (M-) 群0.765±0.084, PS群0.957±0.069. CSI (Lys/Gln) では, 正常群0.813±0.070, PF (M+) 群0.814±0.069, PF (M-) 群0.886±0.054, PS群0.981±0.048で, PETおよびCSIともにPF (M+) とPF (M-) 群およびPF (M-) とPS群に有意差があり, 正常群とPF (M+) 群には有意な差はなかった. PMCLはCSI (Glu/Gln) が0.633以下で全例に存在し, 0.735以上では存在せず, D/D0が0.447以上で全例に存在し, 0.330以下では存在しなかった. PMCLの有無は, PETおよびCSIに影響することが示された.
  • 吉本 忍, 大野 卓志, 清水 健司, 今田 聰雄
    2001 年 34 巻 12 号 p. 1491-1496
    発行日: 2001/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    一部の血液透析 (HD) 患者で貯蔵鉄 (血清フェリチン100ng/ml以上) が十分あるにもかかわらず鉄飽和度 (transferrin saturation, TS) およびヘマトクリット (Ht) が低値 (30%以下) を示す, いわゆる機能性鉄欠乏状態が存在し, エリスロポエチン (rHuEPO) に抵抗をきたすことが報告されている. 一方, ビタミンC (VC) は組織貯蔵から鉄の遊離を促進することが知られている.
    そこで, HD患者でrHuEPOに抵抗性を示す貧血治療にVCの投与を行った.
    血清フェリチン値が100ng/ml以上である35人のHD患者を対照群9人およびVC静注群26人に分類した. さらに, VC静注群は8週間100mg週3回HD後静注群13人と500mg週1回HD後静注群13人に分類した. なお, 対照群のHtは30%以上でVCを全く投与されていない症例である.
    VC静注群26人中16人 (VC有効群, VC 100mg週3回静注例8人, VC 500mg週1回静注例8人) は8週後有意なHt (27.3±0.7%: 0週, 32.2±0.8%: 8週, p<0.01), 血清鉄 (Fe, 46.5±4.9μg/dl: 0週, 68.5±4.2μg/dl: 8週, p<0.01), およびTS (21.4±1.5%: 0週, 29.4±2.1%, 8週, p<0.01) の増加を示したが, 対照群9人, およびVC静注群の残り10人 (VC無効群) ではHt, Fe, およびTSに有意な変化はみられなかった. さらに, VC静注有効例のVC投与前TSは30%以下, 無効例では30%以上であり, 両者間で有意差を認めた.
    以上より, VC静注はHD患者のrHuEPO抵抗性貧血, 特に機能性鉄欠乏状態 (HtおよびTSがともに30%以下) に対して有効であるといえる.
  • 有倉 潤, 久木田 和丘, 村井 紀元, 海津 貴史, 飯田 潤一, 内田 泰至, 増子 佳弘, 堀江 卓, 田中 三津子, 玉置 透, 目 ...
    2001 年 34 巻 12 号 p. 1497-1500
    発行日: 2001/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    透析導入期には, 血小板異常や凝固系異常に加え, 抗凝固剤の使用やストレス刺激なども加わり, 易出血性の状況となる. 今回我々は保存期腎不全患者の大腸内視鏡検査中, 大腸に広範な粘膜血管拡張を認め, それが検査中に拡大してきたため, 緊急手術に至った症例を経験した. 症例は66歳男性で, 溢水による呼吸困難で近医を受診した. 血液濾過を計6回施行し症状は軽快したが, 徐々に腎機能が悪化したため, 血液透析導入目的で当院に入院した. 入院時検査で便潜血反応が陽性であり, 消化管精査を施行した. 上部内視鏡検査では, 重度の萎縮性胃炎と出血性胃炎を認めた. 下部内視鏡検査では, 下行結腸下部観察中に丸い腫瘤様病変がみられ, 急速に増大し, 粘膜下血腫の形態となり, 次第に肛門側に広がった. 破裂による大量出血の危険性もあると判断し, 緊急手術を行った. 大腸を検索したところ下行結腸長軸に長い巨大数珠様の血腫様所見を認め, 術中にも次第にS状結腸へ広がった. このため左半結腸切除術を行った. 病理組織学的所見では, 血管壁は全周にわたり保たれており, 血腫ではなく, 粘膜下層から粘膜にかけての大腸粘膜血管の巨大拡張であった.
    透析導入期には尿毒症症状が強く, 毛細血管破綻や形成障害などによる易出血傾向が潜在する状態であり, 慎重な経過観察が必要である. このような症例の報告は我々の検索した範囲では見あたらず, 稀有な症例と考える.
  • 國松 佳奈, 角田 隆俊, 藤崎 智隆, 菅野 勝寛, 後藤 巨木, 田中 礼佳, 鍵和田 直子, 但木 太, 北村 真, 堺 秀人, 黒川 ...
    2001 年 34 巻 12 号 p. 1501-1504
    発行日: 2001/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は65歳, 男性. 慢性糸球体腎炎を原疾患とし, 血液透析16年目に二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) を合併し副甲状腺亜全摘 (PTx: parathyroidectomy)+左下腿自家移植術を施行したが, 術後右反回神経麻痺を合併した. 術後5年目に骨関節痛にて外来受診し, 2° HPTの再発を認めた. 左右の大腿静脈採血では, 右738pg/ml, 左762pg/mlと濃度に有意差を認めなかった. 頸部超音波にて胸骨に接した右鎖骨下に超音波上4.9×3.6×5.4mm (ただし, 鎖骨下で横幅は明確ではない) の異所性副甲状腺腫を認め, technetium-99m sestamibi (MIBI) でも同じ部位に集積を確認した. 1,25 (OH)2D3(VD) パルス療法を施行したが, 効果は認められなかった. 左ポリープ様声帯を有し右反回神経麻痺が改善傾向にあるため患者の希望にてPCIT (percutaneous calcitriol injection therapy) を行った. 注入後VD 2ug×2回/週のパルス療法を併用したところ, intact-PTH (i-PTH) は2週後に低下し2か月後には安定した. 1年後の超音波検査では副甲状腺腫は確認できなかった.
  • 長浜 寛二, 加美川 誠, 眞田 俊吾, 中 聡夫
    2001 年 34 巻 12 号 p. 1505-1509
    発行日: 2001/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    78歳男性の尿路感染症に対しニューキノロン抗菌薬sparfloxacinと排尿障害に対しtamsulocinを投与した. 投与開始10日後, 疼痛, 筋力の低下あり, 12日後には全身の麻痺を生じ, 救急車にて来院した. 全身の浮腫, 発熱, 褐色尿を認め, 血中のCPK, ミオグロビン, アルドラーゼの著明な上昇を認めた. 乏尿, 血中クレアチニン, BUNの上昇あり, 急性腎不全を併発した. 症状, 検査値よりsparfloxacinによる横紋筋融解症と診断し, 絶対安静とし, 入院2日目に血液透析, 3日目に血液濾過透析を施行した. その後は輸液, 利尿負荷にて全身状態, 腎機能は徐々に改善し, 入院25日目にはリハビリを開始した. 入院40日目には筋力も回復し退院となった. 現在外来にて経過観察中であるが, 軽度腎機能障害を認めるのみである.
    横紋筋融解症は骨格筋の融解によって筋肉細胞成分が血液中に流出する疾患であり, 筋細胞中のミオグロビンも大量に流出するため, 腎臓においてはミオグロビンによる尿細管の負荷が生じ, 急性腎不全を併発することがある. 筋細胞障害過程の詳細は不明であるが, free radicalや筋細胞内のカルシウムイオンの上昇が関与していると考えられている. ニューキノロン抗菌薬による横紋筋融解症の報告は稀で, 本邦では15例の報告がある. この15例に自験例を含めて検討した. sparfloxacinによるものは自験例が2例目であった.
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