日本透析医学会雑誌
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41 巻 , 10 号
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2008年版 日本透析医学会「慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン」
原著
  • 江原 英俊, 伊藤 慎一, 高田 俊彦, 土屋 朋大, 守山 洋司, 亀井 信吾, 増栄 成泰, 山田 徹, 蓑島 謙一, 永井 司, 米田 ...
    2008 年 41 巻 10 号 p. 717-722
    発行日: 2008/10/28
    公開日: 2009/02/04
    ジャーナル フリー
    背景:二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)に対するマキサカルシトール(OCT)長期使用に関する報告は稀である.対象と方法:副甲状腺ホルモン(iPTH)が200pg/mLより高く,補正Ca(cCa)が11.5mg/dL未満の血液透析患者70例を対象とした.OCTは週3回,24週間投与された.OCT投与量は1週置きの最初の投与日のiPTHとcCaの値で調整された.24週での評価後,患者はSHPTに対するOCTまたはインターベンション治療が続けられた.約5年後,主治医へのアンケートにより患者の状態が評価された.結果:最初の24週間投与後に,31例(44.3%)でiPTHが200pg/mL以下になり,27例(38.6%)でiPTHが試験前の50%以下に減少した.11例に高Ca血症を認め,それは治療開始前のcCaと相関した(p=0.0003).予後調査では,27例が死亡,2例が腎移植を受け,2例が転院後不明であった.5例で副甲状腺摘除術が実施されていた.2006年12月末で,24週投与終了時と比較して,iPTHは有意に低下,cCaは有意に上昇,血清Pは変化を認めなかった.調査の直近6か月では,21例でOCT療法が維持されていたが,8例では中止されていた.この2群を比較した場合,2006年12月末の検査値ではiPTHのみに有意差を認めた.結語:これらの所見はある一部の症例においてはOCTの長期使用がSHPTの治療に有用であることを示唆している.
  • ―高精度体成分分析装置 (InBody S20) による浮腫値 (ECW/TBW) での検討―
    佐々木 信博, 上野 幸司, 白石 武, 吉村 章, 久野 宗寛, 武田 真一, 斎藤 孝子, 安藤 康宏, 草野 英二
    2008 年 41 巻 10 号 p. 723-730
    発行日: 2008/10/28
    公開日: 2009/02/04
    ジャーナル フリー
    近年われわれは,高精度体成分分析装置(InBody S20)を用いた生体電気インピーダンス(BIA法)が血液透析患者の体液量評価に有用であることを報告し,特に浮腫値(細胞外水分量(ECW)/体水分量(TBW))やInBody S20でのDW(BIA-DW)が,臨床的DW(Cl-DW)の一つの指標となることを報告した.今回われわれは,糖尿病,心不全,低アルブミン血症,透析低血圧例,肥満患者,透析期間,尿量維持患者などの各種疾患や病態別に透析後の浮腫値を中心に具体的なDW設定基準について検討を行った.対象は当院で維持透析を施行している57名で,透析前後でInBody S20による各種体液量と血液一般検査,透析後にhANP,BNP,胸部X線による心胸郭比(CTR),心臓超音波検査による下大静脈(IVC)径,左室駆出率(EF)などを測定した.全ての病態で浮腫値は透析後に有意に低下した(p<0.0001).透析後浮腫値は,血清Alb値と負の相関を示し(r=-0.720,p<0.0001),糖尿病群では非糖尿病群にくらべ有意に高値を示した(p<0.0001).そこで,糖尿病と低Alb血症の有無による4群での検討を行った.透析後浮腫値は,I群(DM(-),低Alb(-)):0.384±0.005にくらべ,II群(DM(-),低Alb(+)):0.397±0.013,III群(DM(+),低Alb(-)):0.398±0.011で有意に高値を示し(p<0.001),IV群(DM(+),低Alb(+)):0.404±0.012で最も高値を示した(p<0.0001).InBody S20で求められる理想的なDW(BIA-DW;浮腫値0.380のBW)と実際の臨床的DW(Cl-DW)は,強い正相関(r=0.996,p<0.0001)を示し,I群においてはその値はほぼ一致し,II群,III群においてはBIA-DWよりも0.5~0.8kg程度上乗せした体重が,IV群では1kg程度上乗せした体重がCl-DWとなることが示された.一方,浮腫値は,血圧,心機能,透析期間,尿量とは相関を認めなかった.InBody S20で求められる透析後浮腫値は,原疾患の有無にかかわらず,透析患者のDWの一指標となりうると考えられた.
  • 倉林 和隆, 逸見 大造, 加家壁 健, 中野 貴子, 小畑 敬子, 小林 さつき, 田村 茂生, 廣村 桂樹, 野島 美久, 植木 嘉衛
    2008 年 41 巻 10 号 p. 731-735
    発行日: 2008/10/28
    公開日: 2009/02/04
    ジャーナル フリー
    透析患者では消化管運動機能の低下により多くの患者で便秘が認められる.消化管運動改善薬であるクエン酸モサプリドは,下部消化管にも存在するセロトニン4のレセプター刺激作用を有するため,便秘の改善効果も期待される.血液透析患者の便秘に対する効果を検討した.対象症例は血液透析を受け,便秘を主とする消化器症状を有する30名.腹痛にて2名が脱落したため28例が解析可能であった.平均年齢61.8歳,糖尿病歴を有する患者14例であった.文書同意を得た後,1週間の観察期を置き,クエン酸モサプリドの投与を行った.観察期,投与後4週,8週において下剤の服用頻度,腹部膨満感,残便感,腹痛のほか,SF-36,GSRS(gastrointestinal symptom rating scale)を用いて評価を行った.統計解析はFriedman検定,Multiple ANOVAを用いた.下剤の服用頻度は軽度の低下を認めた.またGSRSでは総スコアは投与前2.09±0.75から4週後1.69±0.48,8週後1.68±0.75と有意に低下した(p=0.021,multiple ANOVA).GSRSの項目別解析では酸逆流において投与前1.96±1.20から4週後1.42±0.67,8週後1.48±0.87と改善(p=0.030,multiple ANOVA),便秘では投与前2.96±0.84から4週後2.19±1.02,8週後2.08±0.99と改善した(p=0.001,multiple ANOVA).他の解析項目では統計的有意差は認められなかった.クエン酸モサプリドは血液透析患者の消化器症状改善効果が認められることが示された.特に便秘の改善効果が認められ有効な治療選択肢となりうる.
症例報告
  • 梶山 忠弘, 小林 則善, 大澤 勲, 堀越 哲, 富沢 雄二, 横山 和正, 服部 信孝, 尾原 裕康, 中西 肇, 宮嶋 雅一, 新井 ...
    2008 年 41 巻 10 号 p. 737-741
    発行日: 2008/10/28
    公開日: 2009/02/04
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.平成17年5月,慢性腎不全にて血液透析が導入された.平成17年11月頃より意欲の低下,食欲低下,歩行障害が出現し,増悪したため入院した.頭部画像所見と髄液排泄試験による歩行の改善から,正常圧水頭症と診断した.腰椎腹腔短絡術(LPシャント)を行ったところ症状は劇的に改善し,歩行障害と認知障害(長谷川式簡易知能スケール,Mini-Mental State Examination)も,著しく改善した.LPシャントは比較的侵襲の小さい手術であり,透析患者にも適応しやすい治療法である.維持透析療法の経過中に活動性の低下や意欲の低下などを認める患者は多くみられるが,本症例は早期に正常圧水頭症の診断がなされ,治療が奏功した.
  • 三浦 修平, 武田 一人, 木村 廣志, 前田 篤宏, 中井 健太郎, 上野 智敏, 那須 俊甫
    2008 年 41 巻 10 号 p. 743-748
    発行日: 2008/10/28
    公開日: 2009/02/04
    ジャーナル フリー
    近年,病原性大腸菌O-157(O-157)による集団感染が日本各地で散発的に認められる.今回われわれは慢性血液透析(HD)患者がO-157に感染し,高度の意識障害をきたした症例を経験した.症例は70歳,男性.糖尿病性腎症による末期腎不全で約5年間HDを施行していた.平成14年7月13日出血性腸炎で入院し,入院後急速に高度の意識障害を呈し,便培養からO-157が検出された.保存的治療のみで意識状態は完全回復した.血小板の減少はなく溶血性尿毒症症候群(HUS)の診断基準を満たさなかったが,O-157感染症による意識障害と考えられた.HD患者がO-157感染をおこした際には,可逆的な意識障害をきたすことがあり,治療に注意を要すると考えられた.
  • 澤崎 晴武, 岡所 広祐
    2008 年 41 巻 10 号 p. 749-752
    発行日: 2008/10/28
    公開日: 2009/02/04
    ジャーナル フリー
    腹膜透析施行中に発生した腰部斜切開創腹壁瘢痕ヘルニアの1例を報告する.症例:60歳,女性.2000年3月,腎硬化症による慢性腎不全のため腹膜透析導入.2006年7月,左腎腫瘍にて腰部斜切開による左腎摘除術を施行.術後より腹膜透析を再開.同年8月の腹部CTにて腰部斜切開創部に腹膜嚢の突出を認めたが,腹膜透析を継続していた.腹膜嚢は徐々に突出し,腹壁瘢痕ヘルニアを呈した.2008年1月,左側腹部痛,嘔気嘔吐にて受診.腹部CTでは腹膜嚢に腸管が落ち込み腸閉塞を呈していた.禁飲食,経鼻胃管留置による保存的治療および腹膜透析から血液透析への移行により腸閉塞は改善した.同年2月,縫合閉鎖法にて腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した.腰部斜切開創に腹壁瘢痕ヘルニアがおこることは稀である.一方で腹膜透析症例におけるヘルニアの合併は10~28%の頻度で認められる.本症例は腹膜透析症例における腰部斜切開創ヘルニアであり,われわれが調べ得たかぎりでは本邦第1例目に相当したので報告した.
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