日本透析医学会雑誌
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30 巻 , 1 号
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  • 日本透析医学会統計調査委員会
    1997 年 30 巻 1 号 p. 1-25
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1995年末の日本透析医学会の統計調査は2,871施設を対象に実施され, 2,866施設 (99.82%) から回答が得られた. 1995年末のわが国の慢性透析患者数は154,413人であり, 昨年末に比べて10,704人 (7.4%) の増加であった. 1994年末から1995年末までの1年間の粗死亡率は9.7%と前年に続いて高い値を示した. 透析導入症例の平均年齢は61.01±14.20歳 (平均±標準偏差) と一層の高齢化が認められた. また, 透析導入症例の原疾患の割合は慢性糸球体腎炎が39.4%と昨年よりもさらに減少し, 糖尿病性腎症は31.9%とさらに増加した.
    1995年度は透析患者の社会復帰状況が調査され, 就労年齢 (15-59歳) にある男性患者の78.6%, 同年齢層の女性患者の18.8%が常勤あるいは非常勤の職に就いていることが明らかとなった. 生命予後解析では, 透析前血清β2-microglobulin濃度が30mg/l以上, 透析前ヘマトクリット値が30%未満, 遺伝子組み替えヒトエリスロポエチン製剤の週間投与量が6,000単位以上の群で死亡のリスクが高いことが示された.
  • 伊藤 拓, 吉岡 加寿夫
    1997 年 30 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 飯高 喜久雄, 中村 信也, 守屋 俊介, 朝長 香, 北條 みどり, 熊野 和雄, 遠藤 忠雄, 酒井 糾
    1997 年 30 巻 1 号 p. 35-40
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    1971年より1993年の間に, 北里大学病院において15歳以下の小児末期腎不全患者102例に透析が導入された. 初回透析導入時の内訳は, 血液透析が48例, 腹膜透析が54例であった. これらの透析患者のうち6歳以下の小児は24例で, 血液透析, 腹膜透析において占める比率は各々3例 (6%), 21例 (39%) で, 低年齢患者において腹膜透析が多く導入されていた. 102例中44例の患者に腎移植が行われた. このうち41例が生体腎移植, 3例が死体腎移植であった. この102例の患者の10年生存率は72%であった. これを1980年以前とCAPDが開始された1981年以降に分けて検討すると, 10年生存率は各々62%, 84%で, 後期10年生存率に改善傾向がみられた. 15歳以下で生体腎移植をうけた37例の患者10年生存率は88%, 移植腎の10年生着率は46%であった. 小児末期腎不全患者においては, 蛋白・カロリー摂取量と成長の間に有意な正の相関がみられた. また乳児においては成長の伸びがみられたが, 学童期以降では良好な成長の伸びはみられなかった. これら小児末期腎不全患者の治療成績の改善は腎センターを中心とした病院のスタッフの努力およびCAPD療法などの透析技術の改良や新しい免疫抑制剤の開発などの医療の進歩によるものと思われた.
  • 朝長 香, 飯高 喜久雄, 中村 信也, 守屋 俊介, 北條 みどり
    1997 年 30 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    5歳から19歳までのCAPD患者9例 (男子8例, 女子1例) にalbuminとdextran 70を用いてリンパ吸収量を測定した. albuminを用いて測定したリンパ吸収量 (LAalb) は, 平均265±328ml (8.8±9.9ml/kg/4時間) で標準偏差は大きな値を示した. dextran 70を用いて測定したリンパ吸収量 (LAdex) は, 平均153±49ml (5.3±1.4ml/kg/4時間) で標準偏差は小さな値を示した. albumin法とdextran法のリンパ吸収量の間には有意な相関は見られなかった. albumin投与時9例中6例が腹痛および腹部不快感を訴えたが, dextran 70投与時には腹痛は1例も見られなかった. 以上の結果よりdextran 70によるリンパ吸収量の測定が腹膜刺激症状のみられないalbuminによる測定より望ましい方法と思われた.
  • 大山 信雄, 本宮 善恢, 杉原 清貴, 土肥 和紘, 岡島 英二郎, 米田 龍生, 吉田 克法, 大園 誠一郎, 平尾 佳彦, 岡島 英五 ...
    1997 年 30 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    我々は, 維持透析患者において, 一酸化窒素 (NO) の最終代謝産物であるNO2-/NO3- (NOx) を測定し, その血漿中濃度が, 透析間欠期間での蓄積分を考慮してもなお高値を示す症例があることより, 何らかのNO産生亢進を伴う病態が存在することを明らかにし, 報告した. また, 生体内でのNO産生の最大の場はマクロファージを含めた血管系組織であることから, 今回, 29例の維持透析患者において血漿中NOx濃度と大動脈石灰化係数 (ACI) およびAnkle Pressure Index (API) を比較し, 透析患者特有の血管病変へのNOの関与を検討した.
    対象患者群での血漿中NOx濃度は42.6-367.6, 平均160.1±87.28×10-6Mであり, NOx濃度とACIとの間にr=0.701 (p<0.001), また, NOx濃度とAPIとの間にr=-0.446 (p<0.02) と, いずれも有意な相関が得られた.
    今回の検討で, 維持透析患者にみられる動脈石灰化病変を主体とする血管病変と血中NOx濃度が密接に関連していることが示唆された.
  • 趙 順規, 丸山 良夫, 岡島 英二郎, 吉田 克法, 平尾 佳彦, 岡島 英五郎, 大山 信雄, 本宮 善恢
    1997 年 30 巻 1 号 p. 53-57
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ピリジノリン, デオキシピリジノリンを含む諸種の骨生化学的パラメータの潜在的腎性骨異栄養症患者における骨吸収性変化に対する予知的診断価値をみる目的で, 総アルカリフォスファターゼ活性の上昇のみられない, Jensenの骨吸収grade 1以下の維持透析患者48例を対象に2年間で観察された単純X線診断上の骨吸収性変化と比較検討した. 12症例 (25%) で骨吸収性変化の進行が認められ, 骨吸収性変化の進行患者群と非進行患者群の2群間で各パラメータを比較した. 結果は酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ以外のパラメータにおいて両群間に有意な差が認められたが, 総アルカリフォスファターゼ活性, 骨型アルカリフォスファターゼ活性, オステオカルシンにおいてはオーバーラップ例が多く予知的因子として臨床的に満足できるものではなかった. しかしながらピリジノリン, デオキシピリジノリンでは将来骨吸収性変化進行の可能性が高い潜在的な腎性骨異栄養症患者を予知する因子として有用性が確認された.
  • 安藤 亮一, 土肥 まゆみ, 竹田 篤, 千田 佳子, 井田 隆
    1997 年 30 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    近年腎性骨異栄養症のなかで低回転骨症の頻度が増加しており, その成因として副甲状腺機能低下症が注目されている. しかし, 透析患者の副甲状腺機能低下症の原因や臨床的意義については不明の点が少なくない. 今回, 我々は当施設における血液透析患者の副甲状腺機能低下症例の臨床的特徴について横断的および縦断的に検討した. 対象は, 当院に通院透析中の副甲状腺摘除術を受けていない, 安定した外来血液透析患者80例で, アレグロインタクトPTH (i-PTH) により, 50pg/ml未満のlow PTH群 (34例), 50pg/ml以上150pg/ml未満のmedium PTH群 (23例), 150pg/ml以上のhigh PTH群 (23例) に分類した. 3群間に年齢, 性比に有意差を認めなかったが, 透析歴はlow PTH群でhigh PTH群より有意に短かった (p<0.01). 沈降炭酸Caの投与量およびビタミンD治療の内容, 血清Ca, Pには差がなく, 1, 25-水酸化ビタミンD濃度はlow PTH群は他群と有意な差を認めず, 血清アルミニウム (Al) 濃度はlow PTH群で有意な低値を示した (p<0.05). DXA法による橈骨骨塩量は, low PTH群でhigh PTH群より高値を示したが, 透析歴別に比較するといずれも透析歴が進むとともに橈骨骨塩量の低下を認め, 3群間で有意差を認めなかった. また, 手指骨MD法におけるΣGS/Dの透析導入後の経過はいずれの群でも低下し, 3群間で差を認めなかった. c-PTHをretrospectiveにみると, 透析導入後5年間では, low PTH群と他群との差は明らかでなかった.
    以上より, 副甲状腺機能低下症例は透析歴が短く, 血清Al濃度が低い以外, 骨塩量も含めて他群と差を認めず, その発症の原因は不明である. 透析歴5年以内の症例には将来PTHの上昇をきたす例が混在しており, 診断上注意を要する. また, この期間の治療を含めた因子が発症に関与している可能性がある.
  • 大野 卓志, 今田 聰雄
    1997 年 30 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    CAPD療法の長期継続施行を妨げる重要な合併症の一つに除水能の低下がある. その原因として, 酸性透析液や高浸透圧透析液の長期頻回使用が指摘されている. そこで, 腹膜保護作用があるとされているコンドロイチン硫酸 (sodium chondroitin sulfate: CHS) を浸透圧物質とした透析液を作製した. そして, 動物モデル (CAPDラビット) を用いてin vivoで, また, 培養ヒト腹膜中皮細胞を用いてin vitroでその有用性を検討した. 既存のグルコース透析液 (PERITOLIQ®: P135, P250, P400) を対照として, それぞれに浸透圧を一致させたCHS135, 250, 400の透析液, およびCHS 1.5%を含有する浸透圧290mOsm/Lの透析液を作製した. 1群を3羽としたCAPDラビットの腹腔内にそれぞれの透析液を150ml注入し, まず, 24時間経時的に排液量を測定した. 次に, 1日1回, 150mlの液交換を4週間継続して, 週に1回の腹膜平衡試験 (PET) を施行し, 腹膜機能の推移を調べた. 一方, CHS透析液の細胞傷害性を検討するために, 培養ヒト腹膜中皮細胞をそれぞれの透析液で6時間培養して, 51Crの放射活性を測定した. その結果, 対照としたPERITOLIQ®透析液は3種類とも, 経時的に注入した透析液が減少して, 24時間後の排液は得られなかった. しかし, CHS透析液は, 濃度依存性に除水量が増加して24時間後でも除水量は維持されていた. さらに週に1回施行したPET検査における排液量は, CHS250とCHS400は測定不能, P250とP400は約70%の減少, P135とCHS135の減少は約40%, CHS 1.5%は, 約15%と排液量の減少は僅かであった. 培養ヒト腹膜中皮細胞を用いた細胞傷害性は, 対照およびCHS透析液とも浸透圧が高くなるほど高度であった. 以上の実験結果から, CHS透析液は低浸透圧でも長時間の排液が得られること, またpHも容易に中性化できることから, 有用な浸透圧物質であると考えた.
  • 堀井 昭, 村上 円人, 緒方 優美, 渡辺 摩也, 中井 久雄, 高品 尚哉, 工藤 清士, 坂本 吉成, 斎藤 直美, 森谷 洋子
    1997 年 30 巻 1 号 p. 75-79
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は60歳, 男性. 1987年11月, 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全のため腹膜透析 (CAPD) に導入された. CAPD施行中に腹膜炎を4回繰り返した. 1994年4月, CAPDの効率低下によると思われる全身浮腫, 意識障害を呈したため血液透析 (HD) に変更, 症状は改善した. 同年10月, 腹痛, 腹部膨満感が出現し持続した. 1995年1月より嘔吐を繰り返すようになり, 同年1月13日, 当院に入院した. 腹部は膨隆し波動を触知したが, その他に特記すべき異常所見を認めなかった. 腹部の単純X線, CTではニボー形成, 著明な腹水, 腹膜の肥厚を伴う一塊となった腸管がみられた. 腹水は血性, 浸出性で細胞診はclass IIであった. 硬化性腹膜炎と診断し, 3か月に亘り禁食, 高カロリー輸液を続けたが, 次第に全身状態が悪化し死亡した. 本症の発生頻度は低いが, 栄養状態の不良より死亡する確率は高い. 長期に亘るCAPDの合併症として本症は再認識されるべき疾患である.
  • 藤森 明, 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 吾妻 眞幸, 橋本 幸枝, 徳小田 康秀, 谷 聡, 森田 宗孝, 山下 順平, 老籾 宗忠
    1997 年 30 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 1997/01/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    Diffuse gastric antral vascular ectasia (DAVE) による消化管出血に対して, 無抗凝固剤透析 (NAHD) と内視鏡的硬化療法が有効であった透析症例を経験した. 症例は63歳, 透析歴9年の男性で肝硬変を合併していた. タール便が出現したため内視鏡検査を行ったところ, 胃前庭部全域に散在するoozingを伴う小発赤斑を認めた. DAVEからの出血と診断し, 透析方法をNAHDに変更, 抗潰瘍剤, 粘膜保護剤を投与したところ一時的に出血は止まった. しかし, CTで発見された肝癌に対してTAE治療を行った後, 再度出血が認められた. 内視鏡下でのclipping法やheat probe法では止血できなかったが, polidocanol局注療法にて永続的な止血に成功した. DAVEによる出血は保存的治療に抵抗することが多く, 胃切除を必要とする場合も多い. 本症例は肝硬変を合併し全身状態から外科治療の適応はなかったが, 内視鏡的治療が奏効した貴重な1症例と考えられた.
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