長期血液透析患者25名 (透析歴: 平均14.3年〈9.1-19.9年〉, 男12名, 女13名, 平均年齢55.4歳) においてTリンパ球活性化の指標である可溶性interleukin 2 receptor (S-IL2R), 可溶性CD8分子 (S-CD8) を測定し, 透析前後の変動, 透析膜間での差, 各種臨床検査データと比較検討した.
健常者に比し, S-CD8, S-IL2Rともに長期血液透析患者では有意に高値であった (S-CD8: 健常者156.5±52.7U/m
l, 透析患者441.8±223.8U/m
l, p<0.01; S-IL2R: 健常者598.6±263.1U/m
l, 透析患者1,580.0±502.3U/m
l, p<0.01). S-CD8, S-IL2Rともに透析後に有意な上昇を認めた (S-CD8: 透析前495.2±258.4, 透析後553.1±239.2, p<0.05; S-IL2R: 透析前1,580.0±502.3, 透析後2,157.5±692.3, p<0.01). 透析前のS-IL2Rは使用透析膜による差はなく, S-CD8はいわゆるhigh performance membrane (HPM) 使用患者では420.4±178.8U/
l, 従来膜 (Low flux cupuruphane膜) 使用患者では238.0±122.7U/m
lで, HPM使用患者で有意 (p<0.05) にS-CD8が高値を示していた. HCV感染の有無, 副甲状腺ホルモン, β
2-microglobulinとS-IL2R, S-CD8には有意な相関はなかった. S-CD8 (分子量27KD) の透析による除去が可能なHPM使用患者において有意にS-CD8が高値を示したことから, 長期透析患者においてCD8リンパ球の活性化には, HPM使用によるエンドトキシン流入や他の因子の関与が示唆された.
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