日本透析医学会雑誌
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48 巻, 1 号
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  • 政金 生人, 中井 滋, 尾形 聡, 木全 直樹, 花房 規男, 濱野 高行, 若井 建志, 和田 篤志, 新田 孝作
    2015 年 48 巻 1 号 p. 1-32
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    2013年末の統計調査は全国の4,325施設を対象に実施され, 4,268施設 (98.7%) から回答を得た. 2013年1年間の年間導入患者数は38,095人であった. 年間導入患者数は2008年以降大きな変動なく推移している. 2013年1年間に死亡した患者は30,751人であった. 透析人口は依然増加し続け, 2013年末の透析人口は314,438人に達した. 人口百万人あたりの患者数は2,470人である. 2013年の年間粗死亡率は9.8%であった. 透析導入患者の平均年齢は68.7歳, 透析人口全体の平均年齢は67.2歳であった. 年間導入患者の腎不全原疾患では糖尿病性腎症が最も多かった (43.8%). 糖尿病性腎症による年間導入数は横ばいで推移している. 透析人口全体で最も多い腎不全原疾患は糖尿病性腎症であり (37.6%), 次いで慢性糸球体腎炎であった (32.4%). 糖尿病性腎症は増加しているが, 慢性糸球体腎炎は減少している. 2012年以降血液透析濾過 (HDF) 患者は急増しており2013年末には31,371人に達した. これは2011年末に比して2倍以上, 2012年末と比較しても約1.5倍の増加である. 特にon-line HDFはこの2年間で5倍近くに増加した. 腎不全原疾患が糖尿病性腎症以外である患者151,426人の10.8%に糖尿病の既往があった. 糖尿病併存患者の26.8%に血糖管理指標としてグリコアルブミンが, 33.0%に治療薬としてインスリンが, 27.6%にDPP4阻害薬が用いられていた. 施設調査結果によれば腹膜透析 (PD) 患者数は9,392人であり, 患者調査によれば1,920人がPDとともに血液透析 (HD) やHDFなど体外循環を使用した透析療法を併用していた. 2013年末の在宅HD患者は461人であり, 2012年末の393人から大きく増加した.
  • 政金 生人, 長谷川 毅, 尾形 聡, 木全 直樹, 中井 滋, 花房 規男, 濱野 高行, 若井 建志, 和田 篤志, 新田 孝作
    2015 年 48 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    2009年より日本透析医学会統計調査委員会の年末全国調査の一環として日本腹膜透析医学会の協力のもと「腹膜透析 (PD) レジストリ」が開始されている. 今回2013年末に行われた調査結果からPD患者の現状を報告する. 対象は2013年末全国調査で報告されたわが国のPD患者. 血液 (濾過) 透析 (HD (F)) 等との併用状況, 透析液交換方法, 自動腹膜透析装置 (APD) 使用状況, 腹膜炎および出口部感染発症率などについて記述的解析を行った. 2013年末の施設調査では, PD患者数は9,392人で2012年末と比較し122人減少し, 全透析患者に占める割合も3.0%と0.1%減少した. 腹膜カテーテルを残している洗浄患者292人, 新規PD導入するも年内脱落した患者174人, HD (F) 等とPDを併用している患者1,920人であった. HD (F) 等併用療法の割合はPD歴1年未満で3.5%なのに対し, 1~2年未満で8.4%, 2~4年未満で15.3%, 4~6年未満で27.1%, 6~8年未満で39.3%, 8~10年未満で47.1%, 10年以上で57.5%とPD歴が長くなるにつれて高くなっていた. 透析液交換方法に関しては完全手動交換のみを行うPD患者は31.6%, 紫外線もしくは熱式無菌接合装置によるバッグ交換デバイスを用いているPD患者はそれぞれ52.1%, 14.9%であった. 腹膜炎発症率は平均0.22回/1患者・年 (1回/54.5患者・月) であった. 出口部感染発症率は平均0.34回/1患者・年 (1回/35.3患者・月) であった.
原著
  • 伴野 麻悠子, 大坪 茂, 高木 正雄, 杉本 久之, 新田 孝作
    2015 年 48 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    血液透析患者においてRLSと生命予後の関連について検討した. 当院の維持血液透析患者でRLSの問診をしえた67例を対象とし, 生命予後に対する危険因子の解析を施行した. RLSと診断した患者は10例で, 有病率は14.9%, 平均観察期間は3.2±1.0年であった. RLSの全死因による死亡に対するリスク比は1.79 (95% CI 1.07-2.84, p=0.030) で, 心血管病による死亡に対するリスク比は2.97 (95% CI 1.52-5.99, p=0.002) であった. 血清クレアチニン値, 糖尿病性腎症の有無, 心血管病の合併の有無およびRLSの有無での多変量解析において, RLSはリスク比1.72 (95% CI 1.02-2.73, p=0.044) と, これらの因子とは独立した死亡のリスク因子であった. わが国の単一施設での血液透析患者において, RLSは全死因, 特に心血管病による死亡の危険因子であった.
  • 佐藤 英麿, 長尾 吉正, 野々村 浩光, 古田 昭春, 猿井 宏, 苅谷 達也, 長田 紀淳, 澤田 重樹, 後藤 紘司
    2015 年 48 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    塩酸セベラマー (セベラマー) はリン (P) を吸着するだけでなく, 透析患者の動脈硬化の進展を抑制するという可能性が指摘されている. 今回, セベラマーを7年以上, 血中P濃度を調節するため服用している血液透析 (HD) 患者の動脈硬化に与える影響について検討した. 対象は, セベラマーを7年間服用したHD患者 (投与群) 22名と年齢, 性, 糖尿病の有無, 透析歴を適合した非投与群22名である. 定期的に, 足関節/上腕血圧比 (ankle brachial pressure index: ABI), 脈波伝播速度 (brachial-ankle pulse-wave velocity: baPWV), non-high-density-lipoprotein cholesterol (non-HDL-C) を測定し, 動脈硬化に与える影響について検討した. 投与群では, ABI, baPWVともに経年的に有意な変化は認められなかった. 非投与群では投与群に比較して, ABIは3年後より低下し, baPWVは5年後より上昇した. Non-HDL-Cは投与群では1年後より低下し, 非投与群との間に有意差が認められた. ABI, PWVの変化とnon-HDL-Cの変化との間に相関はなく, CRPはABIと負の, PWVと正の有意な相関を認めた. 以上より, セベラマーは血液透析患者の血清Pを低下させるだけではなく, 脂質代謝と炎症に関連し, 動脈硬化指標の増悪を抑制する可能性が示された.
症例報告
  • 神田 壮平, 齋藤 満, 福田 歴視, 山本 竜平, 小泉 淳, 五十嵐 龍馬, 千葉 修治, 沼倉 一幸, 秋濱 晋, 井上 高光, 成田 ...
    2015 年 48 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は84歳女性. 慢性腎不全に対し血液透析導入目的に前医で左前腕内シャント造設術施行. 術後, 創部からのoozingが持続しシャント手術部に出血を伴う血腫形成を認め, 当院へ救急搬送された. 血小板数, PT, APTT値は基準値内であった. 左前腕内シャント吻合部瘤切除および内シャント閉鎖術を施行. 後日, 右前腕内シャントを造設し完全な止血が得られていたが, 術翌日に突然創部から出血し右前腕内シャント閉鎖術を余儀なくされた. 凝固第XIII因子 (F13) 異常を疑いF13活性を測定. 17% (基準値: 70-140%) と著明な低下を認め, 後天性血友病XIIIと診断した. F13濃縮製剤を予防投与し腹膜透析用カテーテルを留置. 腹膜透析を導入し得たが, 横隔膜交通症により断念. F13濃縮製剤を予防投与し血液透析用長期留置型バスキュラーカテーテルを右鎖骨下静脈に留置. 出血や創傷治癒遅延などの問題なく, 血液透析療法を安全に導入し得た.
Letter to Editor
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