日本透析医学会雑誌
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32 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 第44回日本透析医学会教育講演より
    本山 治, 小原 武博, 長谷川 昭
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1427-1432
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 和久 昌幸, 中林 公正, 軽部 美穂, 長澤 俊彦, 笠原 仁, 本橋 茂, 中本 安
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1433-1438
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    慢性維持透析患者で, 動悸, 息切れ, 胸痛などの胸部症状を持つ89例に24時間長時間心電図記録法を用いて不整脈の検討を行った. 不整脈は上室性期外収縮 (SVPC) を81例 (91%) に, 心室性期外収縮 (VPC) を83例 (93.3%) に認めた. また, 房室ブロック (A-V block) を19例 (21.3%) に, 洞不全症候群 (SSS) を6例 (6.7%) に, 心室性頻拍症 (VT) を8例に認めた. 症例をSVPC, VPCの発生頻度から3群に分け (正常群, 散発群, 頻発群), 背景因子を検討した. SVPCは高齢者, 左房拡大例に多発し, VPCは駆出率低下例, 左室拡大例に多発していた. VTは, 心疾患または糖尿病を合併する者に多かった. VPCに対する抗不整脈薬投与では, 9例 (36%) が軽快を示したが, 16例 (64%) は治療にもかかわらず不変または悪化を示した. 悪化群のうち2例は不整脈で死亡した. 抗不整脈薬投与により不整脈が悪化した群では, 駆出率の低下, 左室拡大が他群より著明であった. 不整脈を有する透析患者では, 心疾患や糖尿病の有無, 心機能低下および左室拡大の有無を検索する必要があると考えられた.
  • 呉 幹純, 門脇 和臣
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1439-1443
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    ラット腹膜透析においてデキストラン70を用いて, 腹膜透過能に対するアンジオテンシンII (A II) の影響につき検討した. 実験モデルとしてA II依存性高血圧ラット (2 kidney 1 clip model) を作成した.
    体重300g前後の正常な腎機能を有するSprague-Dawley (SD) 系雄ラットにmini-osmotic pumpを皮下および腹腔内に留置し2週間をかけて総量0.25mmolのA IIを投与した. 腹膜透析としてはラットに30mlの高張透析液 (ブドウ糖濃度: 3.86%) を注入し4時間貯留した. 外因性A IIの直接的 (腹腔内) および間接的 (皮下) 投与によってコントロール群と比較して腹腔内水分吸収率 (peritoneal net fluid absorption rate, PNFAR) の亢進はみられなかったが, アルブミン排泄量, グルコース吸収量はコントロール群と比較し有意に低かった. 内因性A II (A II依存性高血圧ラット) の元進状態ではコントロール群と比較しすべての項目において有意差はみられなかった.
    以上の結果からA IIはラット腹膜透析において腹膜透過能を低下させることが示唆された.
  • 牧田 慶久
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1445-1449
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者の副甲状腺機能を検討する目的で, 10年以上観察し得た安定期維持透析患者38例を対象にc-PTHなどを各種パラメーターとして検討した. 透析導入時の年齢とc-PTHとの関係では, 高齢になるにつれてc-PTHが低値となる傾向が認められた (p<0.05). c-PTHが10ng/ml以上を二次性副甲状腺機能元進症として検討すると充進症の頻度は経年的に増加し, 透析開始10年後には38例中17例 (44.7%) が機能亢進症に陥った. 機能亢進症に影響を与える諸因子の検討では, (1) 透析期間中の平均血清Ca値が9.0mg/dl以上の群では9.0mg/dl未満の群に比し, 機能亢進症が有意に低頻度であった (p<0.0005). (2) 活性型ビタミンD (VitD) 投与期間が透析期間の60%以上の群では60%未満の群に比し機能亢進症が有意に低頻度であった (p<0.0005). (3) 活性型VitD投与期間と血清Ca値の間には正相関が認められた (r=0.452, p<0.005). (4) 血清P値と機能亢進症の間には有意な相関を認めなかった.
    以上から, 血液透析期間が長期化するにつれc-PTHは漸増し重篤な骨合併症を惹起する副甲状腺機能亢進症に陥る危険性が高まることが示唆された. またこれを予防するには活性型VitDを投与し, 血清Ca値を9.0mg/dl以上に保つことが有用と思われた.
  • 鈴木 好夫, 藤本 悦子, 永岡 隆, 山田 明
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1451-1454
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    これまで透析膜の分析には使用されたことがない全反射 (attenuated total reflection) フーリエ変換赤外分光法 (Fourier transform infrared spectroscopy) (FTIR-ATR) 法で各種膜素材ダイアライザーファイバー外表面の使用前と使用後, 使用後については動脈側 (A側) と静脈側 (V側) の赤外線吸収スペクトルを測定した. その結果, 使用前のCuアンモニウム膜, 改質セルロースDEAE膜, 改質セルロースVit. E膜, 改質セルロースPEG膜の赤外線吸収スペクトルは同じであった. 使用後には赤外線吸収スペクトルの吸収バンドから, Cuアンモニウム膜ではV側にアミド結合に起因するカルボニル基およびアミノ基が, DEAE膜ではA側にアミド結合に起因するアミノ基が, Vit. E膜ではA側にアミド結合に起因するカルボニル基が観察された. PEG膜は使用前後で吸収スペクトルに変化が認められなかった. 使用前のセルローストリアセテート膜はCuアンモニウム膜と異なる吸収スペクトルを示し, 使用後は膜素材のアセチル基のC=Oの低周波側へのシフトが観察された. FTIR-ATR法は透析膜素材の分析法になりうると考えられた.
  • 高橋 秀明, 雨宮 守正, 池田 裕美, 江幡 理, 朝倉 伸司, 本間 寿美子, 武藤 重明, 草野 英二, 竹井 裕二, 高見沢 聡, ...
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1455-1459
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    維持透析患者のdry weight (DW) 設定に際し, 非侵襲的方法として, 超音波断層法による下大静脈径, ヒト心房性利尿ペプチド (hANP), 連続的ヘマトクリット測定 (クリットライン) を参考にし生児を得た症例を経験したので報告する.
    症例は28歳, 透析歴6年の女性. 近医産科にて妊娠7週と診断され, 妊娠8週時に透析および高血圧の管理目的で当科入院となった. 以後非侵襲的方法によりDW設定と透析管理を行い安定した状態が継続できた. しかし十分量な透析にもかかわらず, 妊娠中期より羊水過多を認めるようになり, また高血圧のコントロール不良となり, 妊娠28週帝王切開にて836gの女児を分娩した.
    妊娠透析患者のDW設定や透析管理に際し, 母体・胎児に影響が少ない非侵襲的方法で, かつそれぞれの方法の利点, 欠点を理解した上で総合的に判断することが有用であると思われた.
  • 松田 淳, 別所 偉光, 大山 哲, 加藤 禎一, 金 昌雄, 寺田 隆久, 橋中 保男
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1461-1464
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    長期透析患者に後天性多嚢胞化萎縮腎 (acquired cystic disease of kidney, ACDK) が発生することはよく知られている. 今回外傷などの誘因なく発生したACDKの自然破裂の3例を経験した. 症例1は54歳, 男性. 1994年11月5日血液透析終了し帰宅後 (透析終了後約2時間後) より左側腹部痛出現し, 次第に増強, 11月6日午前1時来院. 精査, 加療目的にて入院となった. 腹部CTにて両側腎に多発性の嚢胞を認め, 左腎の著明な腫大, および後腹膜腔へ広がる血腫を認め, ACDKの自然破裂と診断した. Htの低下, Kの上昇を認め, メシル酸ナファモスタットを用いて血液透析を施行し, 保存血800mlを輸血した. 以降貧血の進行を認めず, 11月23日退院となった. 症例2は51歳, 男性. 1993年10月12日血液透析終了し, 帰宅後より左側腹部痛出現し, 次第に増強. 10月13日外来受診. CTにて左腎の著明な腫大を認め, ACDKの自然破裂と診断. 症例1と同様メシル酸ナファモスタットを用いて血液透析を施行し1000mlの輸血, 安静にて全身状態は改善. 症例3は41歳, 男性. 1997年1月16日午前8時頃より左側腹部痛を認め外来受診. 腹部CTにて左腎の著明な腫大と後腹膜腔への血腫の進展を認め, 加療目的に入院. 高K血症に対し, メシル酸ナファモスタットを使用し血液透析施行するも開始1時間後より血圧低下し, プレショック状態となったため透析を中止. 貧血に対して保存血計1200mlを輸血し, 安静にて全身状態の改善を認めた. 透析患者が腹痛を訴える場合, ACDKの自然破裂を考慮する必要があり, 緊急性を有する重篤な合併症である. 症状とCTより診断は比較的容易であるが, 貧血が進行すれば致死的となりうるため早急かつ的確な判断が求められる疾患である.
  • 川口 良人, 斎藤 明, 内藤 秀宗, 金成 泰, 峰島 三千男
    1999 年 32 巻 12 号 p. 1465-1469
    発行日: 1999/12/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
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