日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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50 巻, 1 号
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  • 政金 生人, 谷口 正智, 中井 滋, 土田 健司, 後藤 俊介, 和田 篤志, 尾形 聡, 長谷川 毅, 濱野 高行, 花房 規男, 水口 ...
    2017 年50 巻1 号 p. 1-62
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/28
    ジャーナル フリー

    2015年末の統計調査は全国の4,380施設を対象に実施され, 4,321施設 (98.7%) から回答を得た. 匿名化方法を強化した初年度の調査であったが, 施設調査票, 患者調査票とも回収率はほぼ例年通りであった. わが国の透析患者数は年々増加し続け, 2015年末の透析人口は324,986人に達した. 平均年齢は67.86歳で, 人口百万人あたりの患者数は2,592人であった. 最も多い原疾患は糖尿病性腎症 (38.4%), 次いで慢性糸球体腎炎 (29.8%), 第3位は腎硬化症であった (9.5%). 経時的にみると, 糖尿病性腎症および腎硬化症が増加し, 慢性糸球体腎炎は減少している. 2015年の透析導入患者数は39,462人であり, 2008年以降大きな変動なく推移している. 透析導入患者の平均年齢は69.20歳, 原疾患では糖尿病性腎症が最も多かった (43.7%). 糖尿病性腎症による年間導入数は横ばいで推移している. 一方, 2015年の年間死亡患者数は31,068人であり, 年間粗死亡率は9.6%であった. 2012年の診療報酬改定以降, 血液透析濾過 (HDF) 患者数は急増しており2015年末には53,776人に達した. これは2014年末と比較して10,493人増加した. 特にon-line HDFは2012年以前の約10倍に急速に増加した. 施設調査結果によれば腹膜透析 (PD) 患者数は9,322人であり2014年からわずかに増加, そのうち20.0%は血液透析 (HD) やHDFとの併用療法であった. 2015年末の在宅HD患者は572人であり, 2014年末から43人増加した.

第61回日本透析医学会学術集会・総会ワークショップより
原著
  • 堀田 祐紀
    2017 年50 巻1 号 p. 81-86
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/28
    ジャーナル フリー

    透析シャント狭窄に対する血管内治療 (PTA) は第一選択の治療法とされるが高い再狭窄率が問題である. 今回PTA後の短期間に繰り返す透析シャント狭窄に対してpaclitaxelを塗布した薬剤溶出性バルーン (drug-coated balloon: DCB, SeQuent Please balloon) 治療を行った5症例6病変の成績を報告する. 対象は自己動静脈シャント狭窄4病変, 人工血管内狭窄1病変, 鎖骨下静脈ステント内再狭窄1病変であり, 繰り返すPTAの平均開存期間は3.4±1.9か月であった. 3~4.0mmのバルーンにて前拡張を行い, 3.5mmまたは4.0mm径DCBにて120秒間の拡張を行った. 2病変は7および16か月後に血流障害で再度PTAとなったがDCB拡張部位に再狭窄は認めず, 新規病変が原因であった. ほかの4病変は血流障害を認めていない. DCB後の開存期間は10.8±5.9か月であり, DCB前のPTA開存期間と比較し有意な延長を認めた (p<0.0001).

症例報告
  • 常世田 智明, 稲熊 祐輔, 宮城 愛, 辻本 育子, 中嶋 貴, 瀬嵜 良三, 氏平 伸子
    2017 年50 巻1 号 p. 87-92
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/28
    ジャーナル フリー

    症例は59歳の初診時に腎機能障害を認め血液透析導入. 同時期に心機能障害, 2型糖尿病も指摘. 腎生検未施行であり, 糖尿病性腎症と臨床診断していた. しかし, 「頭痛, 嘔吐, 感音難聴, るいそう, 知能低下, 母が心疾患であること, 血中乳酸値が繰り返し2mmol/L以上」などからミトコンドリア病を疑い, 65歳時に遺伝子検査を提出. tRNA-Leu (UUR) 3243A→G変異を認め, MELASが疑われた. その後, 遷延する低血糖をきたし死亡. 剖検を行ったが, 低血糖の原因となりうる形態的な病変は確認できなかった. 腎臓は廃絶状態であり, 腎不全に至った正確な病変の判定が困難であるが, ミトコンドリア病に関連した腎不全の可能性があると思われた. 心筋, 脈絡叢上皮細胞の電子顕微鏡検査にて, 異常なミトコンドリアの増多を認め, 病理学的にもミトコンドリア病の所見を示していた.

  • 藤本 圭司, 中川 卓, 佐藤 勝明, 田中 達朗, 宮竹 敦彦, 山﨑 恵大, 鶴山 祐子, 大串 勇気, 沖野 一晃, 向井 清孝, 宮 ...
    2017 年50 巻1 号 p. 93-100
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/01/28
    ジャーナル フリー

    35歳女性. 結節性硬化症 (tuberous sclerosis: TSC) に合併した両腎の巨大腎血管筋脂肪腫 (angiomyolipoma: AML) による慢性腎不全のため, 33歳時より当科外来に通院していた. 激しい右側腹部痛を主訴に救急外来を受診. 急激な貧血進行および右腎AML内にCT高吸収域を認めたことからAML自然破裂による腫瘍内出血が疑われ, 右腎摘出術が施行された. 術後, AML内に合併したオンコサイト様乳頭状腎細胞癌 (oncocytic papillary renal cell carcinoma: OPRCC) が出血源であると病理診断された. 右腎摘出に伴い, 腎不全の進行を認め, 慢性維持血液透析導入となった. 本症例は, TSC腎病変としてAMLと特殊な組織型の腎細胞癌との共存を認めたまれな症例であり, TSC腎病変の管理を考えるうえでも示唆に富む症例であると考え, 報告する.

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