日本透析医学会雑誌
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55 巻, 2 号
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特集:コロナ禍における腎不全診療の現状と展望
  • 西野 友哉
    2022 年 55 巻 2 号 p. 65
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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  • 松本 哲哉
    2022 年 55 巻 2 号 p. 67-70
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)は世界に流行が広がって2年が経過しているにもかかわらず,いまだに収束の見通しが立っていない.変異株が次々に出現し,一度流行が収まってもさらに感染拡大が起こり,2022年に入ってオミクロン株による世界的な流行が認められる.その一方で,私たちはCOVID‒19に対抗する手段も獲得している.すなわち,PCRなどの遺伝子検査や抗原検査もさらに活用されるようになり,新たに内服の治療薬の特例承認も得られた.また,国内ではすでに約8割のワクチン接種が完了しているが,3回目の接種が開始されている.さらにウイルス伝播の特徴が明らかとなり,エアロゾルを含めた感染対策も重視されるようになってきた.今後,現在開発が進められている新たな治療薬やワクチンの承認も期待されることから,これまでよりもCOVID‒19による被害は抑えられる方向に進むと考えられるが,今しばらくの間は警戒を緩めず対処していく必要があると思われる.

  • ①透析患者における新型コロナウイルスの総論―都内の感染状況と対策を含めて―
    菊地 勘
    2022 年 55 巻 2 号 p. 71-77
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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  • ②透析患者の受け入れとネットワーク(各地域での取り組み)神奈川県での取り組み(川崎市を中心に)
    矢尾 淳, 櫻田 勉, 柴垣 有吾, 宍戸 寛治
    2022 年 55 巻 2 号 p. 79-86
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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  • ②透析患者の受け入れとネットワーク(各地域での取り組み)兵庫県での取り組み(神戸市を中心に)
    吉本 明弘
    2022 年 55 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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    COVID‒19患者の生命予後に与える重症化ハイリスク因子として慢性腎臓病があげられる.その中でも透析患者がCOVID‒19に罹患した場合,さらに重症化しやすく死亡率も一般人の4倍以上という報告もある.ひとたび感染が伝播しクラスターが発生すると医療崩壊につながる可能性もあるため,感染した患者の透析治療においては,十分な隔離など院内感染対策を行って実施しなければならない.しかし現実にはそのような設備の整った病床は少なく限りがあるため,有効に活用する必要がある.そのためには,感染症状が軽快し退院基準を満たした場合,維持透析施設への転院を迅速に行わなければならない.いまだ終息の兆しがみえないコロナ禍の診療において,今後の再拡大に備えて,より多くの透析患者をスムーズに受け入れる医療提供体制やネットワークの整備が重要である.

  • ②透析患者の受け入れとネットワーク(各地域での取り組み)宮城県での取り組み
    宮崎 真理子, 渡邊 崇, 山本 多恵, 山口 裕二, 杉浦 章, 中道 崇, 森 建文, 竹内 和久, 宮城県新型コロナウイルス感染症医療 ...
    2022 年 55 巻 2 号 p. 93-97
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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    COVID‒19感染拡大に対応した医療体制を維持することを目的として,宮城県でも2020年4月に新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)医療調整本部(調整本部)が発足して透析患者も包括した入院調整が行われてきた.それに先立ち,2020年3月から県内の透析医療従事者,透析施設,宮城県・仙台市の担当部署も加えて,メーリングリスト(ML)の運用を開始した.日々状況が変化する状況において,MLには政府,県からの発表,関連学会などの公式の発信元,URLなどを明記して情報を提供した.途中,医師とスタッフのMLに分け,管理者の判断を求める事態にも備えた.入院調整のフローを周知し,調整本部からのアラートに基づく注意喚起,疑い患者,濃厚接触者の対応など,実務上の疑問や不安にも応じることとした.感染拡大前から継続したリスクコミュニケーションの取り組みとネットワーク形成もあって,数回,透析患者の対応病床がひっ迫したが,入院,退院への理解と協力が得られた.

  • 小丸 陽平, 土井 研人
    2022 年 55 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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    新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)は,まず上気道から感染し,重症化する症例ではその後に肺炎と多臓器不全に進展して時に致命的となる.COVID‒19における急性腎障害(AKI)の合併は生命予後と有意に関連する因子であり,入院するCOVID‒19症例の約30%,ICUに限れば約50%程度に発症すると報告されている.COVID‒19にAKIを合併する機序としてウイルス自体が腎臓に感染する可能性に加え,凝固亢進や炎症反応の惹起,肺腎連関など複数の要因が想定されている.また,最近のデータでは急性期を乗り越えた症例でも中長期的に腎障害が残存・進展しやすい可能性が示唆されており,ポスト・コロナあるいはlong COVIDを見据えた取り組みが求められる.急性血液浄化療法の実施に際しては,適切なモダリティの選択に加えて,本疾患特有の課題として感染防御や回路凝固などに留意することが必要である.

  • 片桐 大輔
    2022 年 55 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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    COVID‒19におけるアフェレシスの役割として,中等症から重症のCOVID‒19患者の治療において臓器障害の予防,緩和の目的に試みられている.除去目標はサイトカインやDAMPsなどの循環メディエーターであり,サイトカイン除去のための血液灌流や血漿交換がこれに含まれる.一方,より病態が進行し,多臓器不全に陥った場合には,重複感染などに対応すべく,エンドトキシン吸着,血漿交換などが行われている.本稿では,COVID‒19におけるアフェレシス治療について,知られているところを概説する.COVID‒19の複雑な病態を考慮すると,盲目的なサイトカイン吸着のみでは予後改善に繋がらない可能性も示唆されており,施行症例の選択や,施行のタイミングに関して,今後も検討が必要である.中和抗体療法やワクチンの普及によっても一定の割合で発生してくるであろう,中等症~重症のCOVID‒19患者に対応できる,安全かつ有効なアフェレシス治療が検討されていくことを期待したい.

  • 西 慎一
    2022 年 55 巻 2 号 p. 117-122
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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    新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)の蔓延のため,2020年前半は緊急性のない移植医療の待機が提言された.そのため腎移植件数は一時低下した.しかし,PCR検査体制が整備され,感染予防が普及したことで2020年度後半には移植医療の待機は解除された.2021年に入りワクチン療法が開始されると,移植後レシピエントおよび移植予定のレシピエントとドナー,その家族にもワクチン接種を勧めることが基本姿勢となった.腎移植患者がCOVID‒19に罹患した場合,死亡率は一般健康人よりやや高く,急性腎障害からグラフトロスに至る症例も報告されている.ワクチンによるスパイク蛋白抗体陽性率は一般健康人より低い傾向にある.罹患した場合,平時服用中の免疫抑制薬は減量あるいは免疫抑制力の弱い薬剤への変更が原則である.ただし,重症化しサイトカインストームに陥っている場合は,免疫抑制薬の内服量は維持することが推奨されている.

  • ①レムデシビル・抗体カクテル療法
    菊地 勘
    2022 年 55 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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  • ②ワクチン
    吉藤 歩, 竜崎 崇和
    2022 年 55 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/02/28
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    2020年以降,日本でも,新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)は猛威を振るい,多くの死者を出した.透析患者は低免疫ゆえに罹患すると重症化し,致死率も高い.COVID‒19の発症・重症化予防のためワクチン接種は極めて有効である.日本では,mRNAワクチンが主に使用され,高い発症予防効果,入院・重症化・死亡抑制効果を有する.透析患者でも,2回のワクチン接種により大幅に死亡率が低下した.しかし,2回目のワクチン接種から時間が経過し,抗体価が低下し,感染する事例が増加している.とくに,透析患者はワクチン接種により抗体価が上昇しにくく,低下しやすいこと,細胞性免疫や記憶免疫の異常などから感染が重症化する可能性も指摘されている.2021年12月より日本でも3回目の追加接種が開始された.追加接種により抗体価は2回目の接種後よりも有意に増加し,変異株に対しても有効であるという報告もある.欧米からは,透析患者における追加接種の有効性が報告されている.今後,3回目のワクチン接種の普及が進み,感染の再拡大が抑えられることを期待する.

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