在宅ケアにおいて, 家族を含めた看護・介護職等による一体的, 効果的な看護・介護サービスの提供に資するため, 現在提供されている看護・介護量を把握するとともに望ましい看護・介護量を推量し, 必要な看護・介護量を明らかにすることを目的とした.脳卒中後遺症で在宅ケアを行っている78名の障害者およびその家族を対象に, 家族が実施している介護量および家族が望む看護・介護量 (デマンド) ならびにホームヘルパー, 訪問看護婦, 保健婦が実施している看護・介護量と看護・介護職自身が必要と感じている看護・介護量 (ニーズ) の調査を行った.
その結果, 家族が判断する看護・介護の現状については, 現在提供されている看護・介護総量のうち家族自身によるものは97.4%で, 看護・介護職によるものはわずか2.6%であった.そのうち生活自立者の場合は98.2%, 寝たきり者の場合は97.0%が家族が提供しており, 在宅ケアにおける家族負担の大きいことが明らかになった.
また, 家族が判断する看護・介護デマンドに比較して看護・介護職が判断する看護・介護ニーズは多く, 両者間の判断に大きな乖離がみられた.特に生活自立者に乖離があった.さらに, 看護・介護職の必要数を算出した.その結果, この地域の脳卒中後遺症の在宅ケアを支えるために望ましい看護・介護職は, 生活自立者ではホームヘルパー6.5人, 訪問看護婦4.7人, 市町村保健婦10.7人, 寝たきり者ではホームヘルパー9.6人, 訪問看護婦7.3人, 市町村保健婦11.4人の配置が必要であることが推計された.
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