昭和医学会雑誌
Online ISSN : 2185-0976
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52 巻, 5 号
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  • 宇内 康郎
    1992 年 52 巻 5 号 p. 461-472
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 藤森 基次, 本郷 茂樹, 佐藤 永雄, 竹田 稔
    1992 年 52 巻 5 号 p. 473-480
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    マウス胎児線維芽細胞BALB3T3の細胞周期におけるアスパラギン合成酵素の挙動を検討した.細胞を低濃度のウシ胎児血清 (FBS) を含む培地で2日間培養してG0期に同調した後, FBSによってS期への進行を刺激し, 経時的に酵素活性とDNA合成を測定した.細胞内の本酵素の比活性は刺激後6時間後, そしてDNA合成開始の4時間前に上昇し始めた.また酵素量も4時間以降徐々に増加した.DNA合成阻害剤であるシタラビンは同実験系における本酵素の比活性の上昇には影響を与えなかった.これらの結果からアスパラギン合成酵素の誘導がG1期に起こっていることが示された.またわれわれは上皮増殖因子, 線維芽細胞増殖因子, インスリンをG0期細胞に添加したときの本酵素誘導に対する効果を調べた.プログレッション因子とされるインスリンは20時間作用させたときDNA合成は低度にしか引き起こさないがFBSと同程度に本酵素を著明に誘導した.以上からG1期を進行する種々の増殖シグナルがアスパラギン合成酵素の誘導またはアスパラギン生成の増加という事象と合流したあとDNA合成が開始するものと推察される.
  • 中村 節子, 森田 佐加枝, 井上 浩一, 広田 保蔵, 小林 瑛児, 磯山 恵一, 山田 耕一郎, 石川 昭
    1992 年 52 巻 5 号 p. 481-488
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    未熟児貧血の存在はよく知られているがその成因は充分に解明されたとは言い難い.赤血球系造血因子であるエリスロポエチン (Epo) がいかに未熟児貧血に関与しているかを知る目的で早期新生児の血清Epo濃度の測定を行った.被検対象は成熟児42例 (出生体重2, 558~3, 9469, 在胎日数245~295日) , 未熟児28例 (出生体重1, 450~2, 4509, 在胎日数224~266日) であり, 検体採取は日齢5に行った.また, 貧血発症を早期新生児期のEpo濃度より予測し得るか否かを知る目的で, 日齢6以内の未熟児38例について生後12週までに貧血 (Hb<10g/dlとする) を発症した群17例と非発症群21例に分けてEpo濃度を測定し, 検討した.臨床的に明らかな異常の認められるものは対象から除外した.Epo測定はラジオイムノアッセイにより行い, Epoと同時にヘモグロビン (Hb) , ヘマトクリット (Ht) も測定した.日齢5の成熟児群のHb値は17.02±1.739/dl, Ht値は52.41±5.33%であり, 未熟児群のHb値は15.96±2.359/dl, Ht値は48.80±6.99%であった.Hb値, Ht値いずれも未熟児で有意に (P<0.05) 低値を呈した.これに対して, 日齢5のEpo値は成熟児群で9.83±3.14mU/ml, 未熟児群で10.02±3.48mU/mlでありいずれも健康成人の正常値下限に分布したものの, 両群問において有意差は認められなかった.すなわち, 未熟児群では成熟児群に比し, Hb, Htが低値にもかかわらず, Epo値は高値を示さなかった.また, 日齢6以内の未熟児で貧血発症群のEpo値は11.37±4.92mU/ml, 非発症群は9.17±3.10mU/mlであり, 貧血発症群でやや高値を示したが, 統計学的有意差は認められなかった.したがって, 早期新生児期のEpo値から将来の貧血発症を予測することは, 今回の結果からは困難であった.未熟児のHbとEpo濃度の関係についても検討したが, 相関は認められなかった.未熟児における赤血球系計測値は出生体重や在胎期間の影響をうけ, 一般に成熟児より低値を示す.Epoについてこれらの影響を検討したが出生体重, 在胎期間いずれとも相関を示さなかった.
  • 平瀬 吉成
    1992 年 52 巻 5 号 p. 489-495
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    消化管の潰瘍における病理組織学的村上分類は, 深いびらんをUl-I, 浅いびらんをUl-0としている.Ul-0は更にUl-01, Ul-02, Ul-03, それにUl-04と, その治癒傾向の度合によって細分し, Ul-01-2を急性期 (活動期) , Ul-03-4を治癒期 (瘢痕期) と呼んでいる.このびらんは, 良性びらんのみではなく, 早期胃癌IIc型やIIa+IIc型 (IIc+IIa型) などにも悪性びらんとして存在している.このような胃粘膜びらんは, 癌性びらんを含めてUl-0やUl-Iがただ単に他に変化のない胃粘膜に発生するのではなく, もっともしばしば慢性胃炎性の変化のある胃粘膜に発見されることは重要な現象である.しかし, Ul-0とUl-Iとを内視鏡的・肉眼的に鑑別することの困難さもさることながら, より小さい良性・悪性びらんの的確な肉眼的鑑別はより困難で, 今のところ顕微鏡単位での方法より外にないが, 顕微鏡診断に至るまでの内視鏡による診断の手がかりの確立が今後の課題である.
  • 佐藤 温, 菅谷 慶三, 佐藤 永雄, 坂上 宏, 竹田 稔
    1992 年 52 巻 5 号 p. 496-502
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    リグニンは, 構成単位であるphenylpropenoidが複雑に重縮合した天然高分子化合物であり, マクロファージを活性化し, 抗菌, 抗ウイルス, 抗腫瘍等の多様な生物活性効果を示す.われわれは, 各種phenylpropenoidの酸化重合体 (合成リグニン) を用いて, マウスマクロファージ様株化細胞J774.1及びマウス腹腔常在性マクロファージを培養条件下で処理し, 培養上清中の腫瘍壊死因子 (tumor necrosis factor: TNF) 量をELISA法で測定した.各種合成リグニンの中でcaffeic acidの重合体であるDHP-CAはリグニンと同等以上にTNF産生活性を示し, この効果はJ774.1細胞においてより顕著に認められた.近年, TNFは腫瘍壊死作用以外に幅広い生物活性をもつことが明らかになっており, リグニンの示す多様な生物活性効果が, 一部マクロファージに対するTNF産生活性によることが考えられた.更にリグニンの作用機序を明らかにするため, DHP-CAで処理したJ774.1細胞及び, マウス腹腔常在性マクロファージよりtotal RNAを抽出し, Northern blot法にてTNF mRNAの発現、を検討した.単球/マクロファージに作用し, TNF産生活性を示す外来物質としては, グラム陰性菌の外膜由来であるリボ多糖 (lipopolysaccharide: LPS) がよく知られている.しかしながら合成リグニンはLPSとは異なり, TNF mRNAの誘導効果は示さず, 主たる作用機序は翻訳あるいは翻訳後プロセッシングの過程にあることが示された.
  • 古川 正
    1992 年 52 巻 5 号 p. 503-511
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    「人物誤認」の症例を介して, その文献的展望を行い, 臨床的考察をすすめた.古くから知られているこの現象が等閑視されていることを指摘する一方, 本邦での30年にわたる成果を提示した.体験の中核をなす「分身」, 「替え玉」, 「代役」の存在体験はAmphitryonの伝説にみる「ソジーの錯覚」を文脈とする「Capgras症候群」から区別され, これとFregoli型体験, 自己替玉体験そして形姿交換体験が「人物誤認」論の中心にあると考えた.その際「知っている」人物, 「知らない」人物というもっとも常識的で自明な体験を欠いてこの症状の成立しないことを強調した.当該体験は, 「妄想知覚」, 「Gestalt分析」の手法で分析され, 他方離人症, 既視感, 自己視と近縁で卑近な関係にある.ちなみにこれらの症状は感覚の情報処理の失敗, 不全 (神経心理学的研究) として解析されるところでもある.さらに内因精神病, なかんずく分裂病も「人物誤認」の症状で構成されることから, 「神経学的検討」が分裂病で行われる可能性は否定できない.また内因精神病の診断にさいして体験の形式と内容が問い質されるが, ここに取りあげられた体験でも体験内容の意義は無視しがたく, 両者が診断の上で均等の重みを示すところである.
  • 澁澤 三喜, 河村 正敏, 吉沢 太人, 中尾 健太郎, 井関 雅一, 丸森 健司, 張 仁俊, 保田 尚邦, 佐藤 徹, 津嶋 秀史, 横 ...
    1992 年 52 巻 5 号 p. 512-518
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    教室における過去11年間に経験した大腸癌手術症例512例について検討した.男女比1.5: 1で男性に多く平均年齢64.0歳であった.結腸癌329例, 直腸癌183例であり, 病理学的には限局型が75.2%をしめ高中分化型腺癌が87.3%とほぼ全国集計と同様の傾向であった.結腸癌の治癒切除率は70.9%に対し, 直腸癌のそれは84.7%であり治癒切除例の5年生存率は79.3%であった.壁深達度が進むにつれてリンパ節転移は多くなり, リンパ管侵襲はpm癌以上で, また静脈侵襲はs・a2以上で陽性率が高かった.組織学的進行度分類は予後をよく反映していたが, 5年生存率を壁深達度からみるとss・a1癌とs・a2癌の差は大きく, これをstage IIとして同等に扱うには疑問がもたれた.また, 静脈侵襲は予後を左右する大きな因子と思われた.
  • 山田 峰彦, 田中 一正, 金子 教宏, 遠藤 繁, 秋澤 孝則, 成島 道昭, 中神 和清, 鈴木 一, 野口 英世
    1992 年 52 巻 5 号 p. 519-527
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    サルコイドーシス (以下サ症) 患者の肺機能検査の臨床的意義を検討する目的で31例のサ症患者について, Flow-Volume曲線を中心に解析を加え, 胸部X線病期や臨床症状との関連について検討した.換気障害を認めたのは3例であった.一方, %V50, %V25, %V50/V25より1個以上の異常を認めた症例は15例であった.また%V50, %V25, %V50/V25の平均値及び異常値の出現率は各胸部X線病期群問や喫煙者群, 非喫煙者群間で有意差を認めなかった.しかし%DLcoはII-III期群 (n=9) では, 0-I期群 (n=21) に比して有意に低下していた.臨床症状との関連において, %V25は乾性咳嗽を中心とした呼吸器症状群 (n=7) では無症状群 (n=14) に比して有意に低下していた.また呼吸器症状群の7例中6例において, %V50, %V25, %V50/V25より1個以上の異常を認めた.その他の肺機能指標値は両群間で有意差を認めなかった.サ症患者において末梢気道障害はX線病期にかかわらず比較的頻度の高い肺機能障害であり, またこれは乾性咳嗽を中心とした呼吸器症状の主因とされている気道障害を反映している可能性が示唆された.
  • 長崎 秀彰, 幕内 幹男, 生田目 公夫, 金 潤吉, 中村 豊英, 中野 浩, 高橋 博義, 佐々木 栄一, 大久保 雅彦, 仲吉 昭夫, ...
    1992 年 52 巻 5 号 p. 528-532
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    術前に施行した腹腔鏡検査が, 手術適応の決定に有用であった進行胃癌の1手術例を経験したので報告する.症例は45歳, 女性.主訴は下腹部痛で, 術前画像診断にて5型胃癌および両側卵巣転移, 直腸転移と診断した.腹膜播種の程度を確認するため, 腹腔鏡検査を施行した.その所見より, 限局した直腸転移と両側卵巣転移であり, 手術適応と判断し, 開腹術により胃全摘, 腹会陰式直腸切断, 子宮両側付属器切除術を施行しえた.進行胃癌に対して, 我々は術前に腹腔鏡検査を施行している.本例は, 術前診断で切除不能と考えられたが, 腹腔鏡検査で播種が限局していることが観察された.同検査は, neo-adjuvant chemoherapyを含む治療方針の決定に有用であると考えられた.
  • 大野 博美, 星 義次, 田角 勝, 須永 進
    1992 年 52 巻 5 号 p. 533-540
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    人工栄養飼育ラット新生仔に日齢5より6日間, Phenobarbital (PB) 60mg/kg/day, Valproicacid (VPA) 200mg/kg/dayの投与または電気刺激痙攣 (ECS) 負荷を行ない, その後の脳各部分 (大脳, 脳幹, 小脳) の湿重量発育を調べるとともに, 小脳発育については生化学的に検討し以下の結果を得た. (1) Phenobarbital投与の影響について: PBを投与された日齢11のラット新生仔では, 脳各部分 (大脳, 小脳, 脳幹部) の湿重量, 小脳の総DNA量, 総RNA量や総蛋白質量などはいずれも低下し, PB投与による脳DNA合成障害と蛋白合成障害を認めた.その後日齢21でも小脳の湿重量, 総蛋白量, 総DNA量や総RNA量などはいずれも非投与群より低く, 十分なcatch up発育を示さなかった. (2) Valproic acid投与の影響について: VPAを投与された日齢11のラット新生仔では, 脳各部分の湿重量, 小脳総DNA量, 総RNA量や総蛋白質量などはいずれも低下し, VPA投与による脳DNA合成障害と蛋白合成障害を認めた.その後日齢21でも非投与群に比べ, 小脳の総蛋白量を除いて, 脳各部分の湿重量, 総DNA量, 総RNA量などいずれも低かった. (3) 電気刺激痙攣の影響について: 日齢11ラットの脳各部分の湿重量では, 負荷による影響はなかった.しかし, 小脳の総DNA量と総RNA量に有意な低下がみられ, 負荷による一時的な脳細胞増殖障害を認めた.日齢21では, 脳各部分の湿重量, 小脳の総DNA量, 総RNA量, 総蛋白量はいずれもcatch up発育を示した.ラット新生仔期のPB, VPA投与による脳組織損傷は, 日齢21でも十分にcatch upしないことから, 永続性なものであると考えられた.しかし, 電気刺激痙攣では, 負荷後一時的に脳細胞増殖障害を認めたがその後catch upを示した.“脳神経細胞は再生しない”ことを合わせて考えると, 加齢によるcatch upは神経細胞の回復と増殖を示しているものでなく, グリア細胞, 血管内皮細胞などの増殖による結果とも推測され, 胸組織損傷は, 少なからずその後に残ると考えられた.
  • 大塚 英彦, 清水 晋, 秋澤 孝則, 成島 道昭, 田中 一正, 中神 和清, 鈴木 一, 野口 英世
    1992 年 52 巻 5 号 p. 541-547
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    月経関連喘息患者 (MRA) 8例, 非月経関連喘息患者 (non-MRA) 15例, 健常有経女性9例を対象とし, 月経周期に伴う気道過敏性の変化とホルモン変動を測定し, 検討した.1) 月経周期に伴う喘息症状の増悪を調べるためmini Wright peak flowmeterを用い, 連日peak flow rateを測定した.2) 月経周期と気道過敏性との関連を調べるため, MRA 8例とnon-MRA 15例に対し, mid cycle periodとmenstrual periodとにメサコリンによる気道反応性をアストグラフを用いて, 測定した.3) 気道過敏性とホルモン変動との関連をみるため血清中aldosterone, cortisol, progesterone, estradiol, progesterone/estradiol ratio, cortisol/estradiol ratioの変動を検討した.結果1) 健常者群とnon-MRA群には月経に関連したpeak flow rateの低下はみられなかった.MRA群では, 月経開始前後の期間で, peakf low rateの低下を認めた.2) 気道反応閾値log Dminは, MRAとnon-MRA両群において, mid cycle periodに比べmenstrual periodで低下し, 気道反応性の亢進を認めた.3) MRAとnon-MRA両群において, aldosteroneはmenstrual periodで増加を認めた. Progesterone/estradiol ratioはnon-MRA群において増加し, cortiso1/estradiol ratioはMRA群において減少した.4) 月経関連喘息の発作誘発には, ホルモンバランスの異常が関わっていると思われた.
  • 清水 まゆみ, 根岸 雅夫, 内藤 博邦, 榎本 貴子, 西片 光, 平松 和子, 小林 和夫, 井出 宏嗣, 高橋 昭三
    1992 年 52 巻 5 号 p. 548-552
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    抗リウマチ剤として近年本邦で開発されたブシラミンによる薬剤誘起性間質性肺炎の報告が教室の根岸によってなされて以来, 全国で10数症例の報告が行われている.今回, 当施設での第2症例を経験した.症例は73歳男性で1982年よりRAの診断をうけ, 種々の治療に抵抗性のため精査加療目的で入院となった.ブシラミンによる治療を開始したところ, 関節症状の軽快と検査所見の著明な改善を認めたが, 服用約1カ月後に乾性咳嗽, 労作時呼吸困難をきたし, 胸部X-Pで間質性陰影の急激な悪化を認め, 本症の発症と診断した.本剤中止とステロイドホルモンのパルス療法, 酸素支持療法などを強力に行い軽快した.
  • 柴田 実, 石井 誠, 三田村 圭二, 上野 幸久, 榎本 真, 塙 嘉之
    1992 年 52 巻 5 号 p. 553-557
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は36歳男性.生後6か月より肝脾腫が, 1歳6か月に全身リンパ節腫大, 貧血, 白血球減少, 血小板減少が, 3歳時に出血斑が出現し, リンパ節生検によりLetterer-Siwe病と診断した.副腎皮質ステロイド投与と輸血により寛解し, 乳幼児期の輸血に起因すると思われる肝炎が肝硬変に進展して死亡するまで33年間にわたり経過を観察した.その間しばしば軽度~中等度の発熱とリンパ節腫脹をきたしたがステロイドによりよく反応し回復した.組織学的には3歳時には著明であったリンパ節の異型組織球の増殖は, 16歳時には軽減し, 29歳以降は消失した.一般にLetterer-Siwe病は進行性で予後不良とされているが, 本例は小児期に寛解し長期間生存した.近年, 本症に対する化学療法の進歩により完全寛解に至る例も報告されているが, 本例はステロイド療法が奏功して寛解し進行性に乏しく良好な転帰をとったものであり興味ある症例と考えられた.
  • 小林 英昭, 新井 一成, 椛澤 由博, 上地 一平, 星野 光典, 丸岡 義史, 加藤 貴史, 石井 博, 小池 正
    1992 年 52 巻 5 号 p. 558-561
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は, 34歳, 男性.主訴は吐血.数回の吐血を繰り返し, 近医受診.上部消化管内視鏡検査を受け, 食道胃接合部裂創と胃潰瘍からの出血が認められ, 当院へ転送された.来院後直ちに, 緊急内視鏡検査施行し, 出血性胃潰瘍によるMallory-Weiss症候群と診断した.2病変からの出血に対しクリップ止血法を施行し, 治療せしめた.Mallory-Weiss症候群に対するクリップ止血法は, 病変への二次的侵襲が少なく, 裂創の修復効果も期待され, 有効な方法と考えられた.若干の文献的考察を加え報告した.
  • 佐藤 昭夫
    1992 年 52 巻 5 号 p. 565-570
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 高坂 新一
    1992 年 52 巻 5 号 p. 570-578
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 山元 俊憲
    1992 年 52 巻 5 号 p. 578-581
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 阪本 桂造
    1992 年 52 巻 5 号 p. 581-589
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 新垣 成子, 神宮 俊哉, 依田 光正, 真野 英寿, 笠井 史人, 川手 信行, 水間 正澄, 森 義明, 依田 暁, 森山 修一, 小塚 ...
    1992 年 52 巻 5 号 p. 590-594
    発行日: 1992/10/28
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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