透析患者において, グりコヘモグロビン (HbA1c) 値が血糖コントロール状態を正しく反映しているかを検討し, 反映していない場合, グリコアルブミン (GA) 値がこれに代わりうる指標になるかどうかを検索した.
対象は, 非透析耐糖能正常 (nonHD-onDM, n=170), 透析耐糖能正常 (HD-nonDM, n=85), 非透析糖尿病 (nonHD-DM, n=16), 透析糖尿病 (ND-DM, n=16) の4群で, HbA1c値およびGA値を測定した. nonHD-DM, HD-DMにおいては, 毎食前, 毎食2時間後および眠前の血糖値から日内平均血糖値を求め, HbA1c値およびGA値との相関関係を検討した.
nonHD-nonDM, HD-nonDMのHbA1c値 (mean±SD) は4.9±0.3%, 4.4±0.5%で, HD群が有意に低値であった (p=0.0001). nonHD-DM, HD-DM (日内平均血糖値; 217.2±65.4 vs 182.8±44.3mg/dL) のHbA1c値は8.1±2.3%, 5.7±1.3%で, HD群が有意に低値であった (p=0.0027). 特に, 日内平均血糖値高値の群でその差は顕著であった. また, HbA1c値と日内平均血糖値との相関係数はnonHD-DM群に比しHD-DM群で, 明らかに低値であった (r=0.92 vs 0.45). 一方, GA値は, nonHD-DM, HD-DM群間で有意差は認められなかった. HD-DM群においても, GA値は日内平均血糖値と良好な相関関係を示した (r=0.53, p=0.03).
透析患者の血糖コントロール状態をHbA1c値のみで評価すると, 時に判断を誤ることがある. この場合, GA値で代用し得ることが判明した.
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