日本醸造協会誌
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118 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 秋田 修
    2023 年118 巻1 号 p. 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/09
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  • 成川 真隆, 三坂 巧
    2023 年118 巻1 号 p. 2-10
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/09
    ジャーナル フリー

    おいしい食物を食べることは,人生の楽しみの一つである。味覚に障害が起これば,食欲を失い,健康を維持することが難しくなる。年を取ると味覚が衰え,食が細くなる。そのため,健康な生活を送るためには味覚の維持が重要になるといえる。一般に加齢とともに味感受性が変化することが知られているが,その詳細なメカニズムは不明である。本稿では,加齢による味感受性変化とその要因について検討した筆者らの取り組みについて紹介する。

  • 平澤 哲也
    2023 年118 巻1 号 p. 11-21
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/09
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    国税庁では,「マーケットイン」の観点から日本産酒類の調査対象地域における輸出拡大及び付加価値向上の達成に係る課題抽出と,これら課題に関して有効と考えられる戦略仮説の示唆をすることを目的として,シンガポール,中国,イギリス及びアメリカを対象とした「海外主要国における日本産酒類の市場調査」を令和3年度に実施したので,調査結果の概要を解説する。

  • 柳澤 貴司
    2023 年118 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/09
    ジャーナル フリー

    小麦・大麦ともに加工されて消費者に届く農作物である。小麦は醤油用として醸造用途に使われるが,小麦粉に製粉されパン・麺類・菓子の主たる原料である。大麦は搗精して精麦を醸造して味噌や焼酎の原料になる。また麦芽としてビール,焙煎して麦茶,精麦を大麦ご飯として利用される。多種類の食品・飲料に加工されるため生産者にとって重要な収量性や病害抵抗性などの栽培適性に加え,加工して販売する業者(以下,実需者)の意向やニーズを反映させて品種育成を進める必要がある。

  • 大森 大陸
    2023 年118 巻1 号 p. 29-32
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/09
    ジャーナル フリー
  • 奥田 将生, 上用 みどり, 包 紅彬, 髙橋 圭, 向井 伸彦
    2023 年118 巻1 号 p. 37-57
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/09
    ジャーナル フリー

    原料米の溶解性及びイネ登熟期気象条件が,大吟醸酒の香気成分生成に及ぼす影響を明らかにするため,精米歩合40%白米を用いて大吟醸酒を想定した清酒小仕込試験を行った。原料米の糊化温度,消化性及びイネ登熟期の気温は,製成酒のカプロン酸エチル,アルコール,日本酒度,グルコース,発酵速度と高い相関がみられた。原料米のタンパク質含量,脂質及び無機成分は香気成分との間には高い相関はみられなかった。山田錦のみで年次変動を解析すると登熟期が涼しく原料米の溶解しやすかった年の米は発酵がゆるやかとなり,カプロン酸エチル及びグルコース濃度が高くなっていた。カプロン酸エチル濃度の年次変化は,全国新酒鑑評会の年次変化の傾向と一致した。品種に着目すると,溶解性が高く発酵がゆっくり進む品種において製成酒のカプロン酸エチル濃度及びグルコース濃度が高かった。一方,製成酒の酢酸エチルや酢酸イソアミルはカプロン酸エチルとは逆の傾向を示した。

    以上から,原料米のイネ登熟期の気温が原料米の溶解性とともに発酵速度を左右し,製成酒の香気成分,特にカプロン酸エチル,アルコール及びグルコース生成に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。

  • —有色サツマイモを原料とした場合—
    瀬戸口 智子, 神渡 巧
    2023 年118 巻1 号 p. 58-63
    発行日: 2023年
    公開日: 2025/02/09
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    原料サツマイモに紫系芋と橙系芋を用いて小仕込みし,常圧蒸留を行った。留出液を分画採取し,一般的な蒸留の終点後も採取を続け,得られた13画分を用いて揮発性成分の留出挙動を明らかにした。

    もろみのアルコール濃度が異なる3種類の焼酎において,蒸留の前半はもろみのアルコール濃度が高いほど留出液のエタノール濃度が高いことが確認された。3種類の焼酎における留出液のエタノール濃度の差は,後留になるにつれて縮まった。

    2.紫系芋焼酎の特徴香成分であるジアセチルは,紫系芋焼酎において初留区分頂点型であった。また,ジアセチルの香りは蒸留の前半に強く感じられた。

    3.橙系芋焼酎の特徴香成分であるβ-イオノンは,橙系芋焼酎において初留区分頂点型であり,蒸留に先立ちもろみ中に存在していたと推察される。さらに,β-イオノンは蒸留時の加熱によって生じることが示唆された。β-イオノンの香りは蒸留の前半に強く感じられた。

    4.紫系芋焼酎と橙系芋焼酎の特徴香成分濃度を高める製法の一つとして,どちらの場合も蒸留の前半部分を回収することが挙げられる。

    5.芋焼酎の特徴香成分であるリナロールとβ-ダマセノンについて,原料サツマイモ品種の違いの影響で焼酎中の濃度が大きく異なる場合でも,それら成分の留出挙動は中留区分頂点型であり同じであった。このことから,リナロールとβ-ダマセノンの生成に加熱が関与する点は,サツマイモ品種が異なる場合においても共通していると推察される。

    なお,本論文の内容について,特許出願中である(特願2021-153975,特願2021-153976)。

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