日本透析医学会雑誌
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36 巻, 9 号
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  • 第47回日本透析医学会教育講演より
    久保 和雄
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1413-1421
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 阿部 雅紀, 久野 勉, 奈倉 勇爾, 松本 紘一, 上松瀬 勝男
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1423-1429
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) を合併する血液透析 (HD) 患者において, maxacalcitol投与によるwhole-PTH (w-PTH) と骨代謝マーカーの動態を検討した. 対象は2°HPTを合併したHD患者でmaxacalcitolを投与した26例 (男性19, 女性7). 平均年齢61.4±9.0歳, 平均透析歴184±20か月, 透析液Ca濃度は2.5または3.0mEq/Lとした. Maxacalcitol投与開始時と12週後に, w-PTH Total-PTH (T-PTH), 血清補正Ca, P, 骨型ALP, オステオカルシン, I型コラーゲンC末端テロペプチド (I CTP), 酒石酸抵抗性酸フォスファターゼ (TRAP) を測定した. w-PTH (CAP), T-PTHからCAP/CIP ratioを算出した. Maxacalcitolの投与量は投与前の血清補正Ca値により1回2.5μgと5μgに分けて投与した. Maxacalcitol投与によりw-PTH, T-PTHには有意な変化を認めなかった. しかし, 26例中16例でCAP/CIP ratioが10%以上低下した. Maxacalcitol投与前のT-PTH値が400pg/mL未満 (I群) と400以上700pg/mL未満 (II群) の2群に分けて比較すると, II群においてはCAP/CIP ratioの有意な低下 (p<0.01), およびI CTPの有意な低下 (p<0.01) が認められた. TRAPは全体で有意な低下 (p<0.001) を認めた. 高Ca血症をきたし, 投与中止となったのは一例のみであった (全体の3.8%). 血清補正Ca値でmaxacalcitolの投与量を決めることにより, 高Ca血症の発現頻度を減少させ, T-PTH値に影響を与えないものの骨代謝マーカーの改善を得ることができた. そのため, 従来のintact-PTH値による投与量の決定ではなく, 血清補正Ca値による投与量の決定を再考すべきである.
  • 久保 昌志, 多胡 紀一郎
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1431-1436
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    【目的】 血液透析を受けている慢性腎不全患者を対象として, 同時期に計測した腹部大動脈石灰化係数 (ACI) と脈波速度 (PWV) を比較し, また, さまざまな動脈硬化症関連因子との関連性について解析を試みた. 【方法】 当施設において維持血液透析治療を施行している患者122例 (男性79例, 女性43例, 平均年齢57.8±13.6歳, 平均透析期間98.8±81.0か月) を対象とした. 腹部CTスキャンの所見によりACIを測定し, また, 透析治療前に上腕動脈-足首動脈間のPWVを測定した. そして, それぞれに対して, 年齢, 性別, 喫煙状況, body mass index, 透析期間, 動脈硬化性疾患の既往, 血液検査成績 (intact PTH, Ca, Pi, 総コレステロール), 血圧, 糖尿病の有無との関連性について検討を行った. 【結果】 ACIとPWVは統計学的に有意な正の相関関係にあった (r=0.466, p<0.001). また, ACIとPWVはそれぞれ年齢と有意な正の相関関係を示した (ACI: r=0.428, p<0.001, PWV: r=0.610, p<0.0001). 糖尿病患者は非糖尿病患者と比較してACIのみに関して有意に高値であった (糖尿病患者: 30.2±19.5%, 非糖尿病患者: 21.0±23.4%, p<0.05). 血圧に関しては収縮期血圧とPWVとの間で有意な正の相関を認めた (r=0.397, p<0.001). 【結論】 動脈硬化症に対する形態学的な評価手段であるACIと機能的な評価手段であるPWVは統計学的に有意な正の相関関係にあった. 今回の解析では年齢, 糖尿病, 収縮期血圧が動脈硬化症の関連因子として示唆された.
  • 百瀬 昭志, 橋本 安弘, 佐藤 元昭, 菊地 隆, 齋藤 久夫, 守屋 信宏, 永井 一徳, 舟生 富寿, 鈴木 唯司, 西澤 雄介
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1437-1442
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    腎移植による免疫抑制剤の服用にもかかわらず, 腎移植3年後に被嚢性腹膜硬化症 (EPS) を発症した1例を経験したので報告する. 症例は40歳男性で, 慢性糸球体腎炎由来の慢性腎不全にて平成2年1月にCAPD導入. 3回の腹膜炎の既往があるが, 平成8年の3回目の腹膜炎は難治性でPDカテーテルを抜去し, 1年間血液透析 (HD) に変更した. 平成11年9月献腎移植術と同時にPDカテーテル抜去術を施行. 移植腎機能は良好で外来通院していたが, 2年2か月後に腹痛と嘔吐が出現した. EPSが疑われ, 絶飲食, 中心静脈栄養 (TPN) による保存的加療にて改善し24日間で退院した. 平成14年9月, 再びイレウス症状が出現したためEPSと診断. 内科的治療は困難と判断し, 外科的治療を施行した. 開腹後, 腹腔内にはモザイク状の灰白色の硬い被膜に包まれた柔らかい腸管が小児頭大の腫瘤を形成していた. しかし壁側腹膜への癒着や石灰化, 腹水は認めなかった. 腹膜・腸管癒着剥離術, 回盲部切除術, 回腸-上行結腸吻合術を施行した. 臓側腹膜の病理学的検討では, 腹膜の肥厚, 中皮細胞の剥離, 中皮下結合織の膠原線維の硬化性肥厚, 細小動脈壁の肥厚を認め, 腹膜硬化症中期の所見であった. 術直後はタクロリムスの静脈内投与のみで管理したが, 軽度の移植腎機能の悪化を認めたため拒絶反応を疑いステロイドパルス療法にて加療した. 移植腎機能, イレウス症状も改善したため, 術後37日目に退院となった. EPSに対する免疫抑制療法には限界があり, 無効例も存在するので, 腎移植後でも注意深い経過観察が必要である.
  • 高瀬 弘行, 藤本 英亮, 笹倉 良一, 浅原 俊一郎, 岩井 正秀, 福永 秀行
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1443-1446
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    燃料用アルコールを自殺目的で服用した重篤なメタノール中毒患者 (女性, 44歳) に2回の血液透析を施行し, その有効性について検討を行うと同時に血中メタノールのクリアランス値の検討を行った.
    第1病日の血液透析前のメタノール値は3,018mg/Lと致死量を超える極めて高い値を示したが, 3時間の血液透析により1,059mg/Lまで顕著な低下を認めた. そして翌日の透析前のメタノール濃度は693mg/Lに低下し, 2時間の血液透析で415mg/Lまで低下した. その後は, 最も危惧された視力障害の後遺症も残さず順調に回復し, 第11病日で退院するに至った.
    一方, Kt/Vの数理モデルを用いて, 血液透析前後のメタノール値より2回の血液透析中のメタノールのクリアランス値を算出したところ, 1回目は171mL/min, 2回目は131mL/minと高いクリアランスを示した.
    以上の結果, 血液透析はメタノールに対して高いクリアランスを有することが示唆され, 重篤なメタノール中毒患者に対して, 短時間にメタノールの除去を行う場合, 血液透析は有効な治療法であると考えられた.
  • 中 美紀, 中西 健, 高光 義博, 田中 希穂, 越智 聡
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1447-1452
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は74歳女性. 2000年4月27日, 腎機能の悪化, 全身倦怠感, 嘔気, 高度の貧血などの尿毒症症状が著明となったため, 入院した. 既往歴では1997年6月, リウマチ様関節炎 (RA) と診断され, 10月には下痢, 下血が出現. RAによる続発性アミロイドーシスが原因と考えられ, salazosulfapyridineによる治療が開始, 継続されていた. 腎機能悪化の経過は詳細不明であった. 今回, 入院後, 血液透析に導入したが, エリスロポエチン製剤不応性の貧血に加え, CRP 10.mg/dL, 赤沈亢進とともに関節痛の増強も認めた. RAの増悪と考え, 5月19日よりprednisolone 5mgの投与を開始した. 以後貧血は著明に改善し関節痛も消失したが, 消化器症状は改善しなかった. 直腸生検にてRAによる続発性アミロイドーシスと確定診断し, 5月26日よりsalazosulfapyridineから除放性mesalazineの内服に変更した. 消化器症状は軽減し, 治療前の下部消化管内視鏡検査において認められたS状結腸の浮腫および潰瘍を伴う大腸病変は消失した. 以上より, 本症例では続発性アミロイドーシスによる消化器病変に対してprednisoloneとmesalazineの併用療法が有効であったと考えた.
  • 内山 葉子, 正木 浩哉, 今田 崇裕, 岸本 典子, 福井 政慶, 井庭 理, 早川 敬, 森 泰清, 西川 光重
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1453-1456
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は55歳, 女性. 平成9年より膜性腎症によるネフローゼ症候群にて治療を受けたが, 徐々に腎機能が悪化し, 平成13年1月より透析が必要となった. 開腹手術の既往もあり, 高度の低蛋白血症のため, 当初, 血液透析を選択した. しかし, 内シャント術を施行したが, 凝固亢進状態のため閉塞し, さらに, グラフトを用い再度内シャント術施行するも再閉塞した. そこで, 腹膜透析療法を試みたところ合併症もなく順調に施行でき1年経過している.
    低蛋白血症では, 一般的に腹膜を通して, 低蛋白血症の進行などでの合併症が懸念され, 腹膜透析は避けられる傾向にある. しかし, ネフローゼ症候群で凝固能が亢進した場合などは, 積極的な選択肢の一つであると考えられた.
  • 黒川 陽子, 渡辺 岳志, 佐野 克行, 漢人 恒憲, 小川 淳, 尾崎 征史, 谷口 元昭
    2003 年 36 巻 9 号 p. 1457-1459
    発行日: 2003/09/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析患者に発生したcibenzoline中毒について文献的考察を加えて報告する. 68歳女性, 1982年より慢性腎不全にて血液透析施行されていた. 2002年7月中旬より眼瞼下垂が出現し, その後下肢脱力感, 構音障害が出現したため当科へ緊急入院となった. 本例は上室性頻拍のため約1か月前よりcibenzolineを内服していたため同薬剤の蓄積を疑い血液吸着 (DHP), 血液濾過透析 (HDF) 施行, cibenzolin血中濃度は2,930ng/mLから536ng/mLへと低下し症状も改善した. その後一過性に重篤な低血糖が認められたが中心静脈からの糖補充により改善した.
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