ダイアライザーのアルブミン漏出量の違いがグリコアルブミン (GA) 値に与える影響を検討した. 2種類のダイアライザーPS [ポリスルホン膜, 透析一回あたりアルブミン漏出量2.85g], またはMRC [表面改良セルロース膜, 透析一回あたりアルブミン漏出量1.7g] を1年間使用した46名を対象とし, 糖尿病の有り (DM) 無し (nonDM), および使用ダイアライザーによってnonDM-PS群 (n=13), nonDM-MRC群 (n=12), DM-PS群 (n=11), DM-MRC群 (n=10), の4群に分類した. ダイアライザー使用開始前, 2か月後, 6か月後, 12か月後の各時点でGA値を測定し, その推移を比較した.
GA値の変動は使用ダイアライザーで違いがみられた. nonDM-PS群およびDM-PS群ではいずれもダイアライザーの使用開始2か月後においてGA値が有意に低下し, その後6か月にかけて有意に上昇して開始前のレベルに戻った. nonDM-MRC群およびDM-MRC群では経過を通じて有意な変動は認められなかった. ダイアライザーのアルブミン漏出量増大によってGA値は短期的に低下するが, 長期的にはアルブミン代謝回転などの諸因子により相殺される可能性が示唆された.
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