日本透析医学会雑誌
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39 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 腎臓病治療の背景と創薬の展望 -第51回日本透析医学会教育講演より-
    宮田 敏男
    2006 年 39 巻 11 号 p. 1503-1509
    発行日: 2006/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
  • 栗山 哲, 大塚 泰史, 飯田 里菜子, 松本 啓, 菅 緑, 酒井 聡一, 石川 悦久, 石川 淑郎, 細谷 龍男
    2006 年 39 巻 11 号 p. 1511-1518
    発行日: 2006/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    高血圧の診断・治療において家庭血圧 (home blood pressure: HBP) 測定の重要性が注目されている. 本研究では慢性腎不全で血液透析 (hemodialysis: HD) 中の患者106例においてHBPと外来血圧 (office blood pressure: OBP) の両者から血圧管理現況と, HBPの潜在的心疾患や体液量過剰に対する予知能について検討した. 1) HBP (朝) においては収縮期高血圧81.1%, 拡張期高血圧45.3%と早朝高血圧が高頻度にみられた. また, HBP (朝) を用いた収縮期血圧管理区分は, 管理良好群9.4%, 管理不良群65.1%, 仮面高血圧群16%, 白衣高血圧群9.4%と管理不良例が高頻度にみられた. HBP (夜) においても収縮期高血圧58.9%, 拡張期高血圧34.9%と高血圧が多数みられた. また, HBP (夜) を用いた収縮期血圧管理区分は, 管理良好群12.3%, 管理不良群55.7%, 仮面高血圧群13.2%, 白衣高血圧群18.9%と管理不良例が高頻度にみられた. 2) HBP (朝) の収縮期血圧 (150±23mmHg) はHBP (夜) (145±20mmHg) に比べて有意に高値であるが (p=0.0297 by Scheffe's method), OBPの収縮期血圧 (150±20mmHg) とは同等であった. 一方, HBP (朝), HBP (夜), OBPの拡張期血圧は三者間に差異はみられなかった. 3) BNPと収縮期血圧の正相関はHBP (朝) (r=0.249, P=0.0098) とHBP (夜) (r=0.266, p=0.0057) の両者でみられた. 一方, BNPはOBPの収縮期血圧とは関連性がなかった. また, BNPとHBP (朝), HBP (夜), OBPの拡張期血圧との間にはいずれも関連性がみられなかった. 4) ANPは, HBP (朝) の収縮期血圧 (r=0.381, p=0.0112) と拡張期血圧 (r=0.322, p=0.0346) いずれとも正相関した. また, 透析後のOBPは収縮期血圧 (r=0.521, p=0.0003) と拡張期血圧 (r=0.453, p=0.002) ともにANPと良好な相関関係を認めた. 一方, ANPはHD前のOBPとHBP (夜) 両者の収縮期血圧, 拡張期血圧のいずれとも関連性がみられなかった. 以上, HD患者はOBP, HBP両者において高頻度に高血圧がみられることから依然として心血管疾患など高血圧性合併症の大きなリスクを有していると思われた. また, HBPはBNPやANPと関連づけることにより潜在的心疾患や体液過剰の良好な予知因子となり, 高血圧の治療ターゲットとして有用である可能性が示唆された.
  • 渡邊 喜彦, 松井 勝臣, 江口 亜弥, 神尾 学, 山口 憲児, 小原 まみ子, 望月 隆弘
    2006 年 39 巻 11 号 p. 1519-1524
    発行日: 2006/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    アディポネクチンは, 冠動脈疾患患者において有意に低値であり, 抗動脈硬化作用をもつとされている. 今回われわれは, 血液透析 (HD) 患者の冠動脈硬化に関わる因子を明らかにするため, 冠動脈石灰化と血中アディポネクチンおよびCa代謝との関連を, 32例のHD患者を対象として検討した. 冠動脈石灰化の評価は, マルチスライスCTを用い, Agaston scoreにて定量した. Agaston scoreは, Ca×P値, intact-PTH値, 透析歴と正の相関を, 血中アディポネクチンとは負の相関を示した. これらの結果から, HD患者の冠動脈石灰化の機序にCa・P代謝異常に加え低アディポネクチン血症が関与している可能性が示唆された.
  • 武田 真一, 宮田 幸雄, 武藤 重明, 朝倉 伸司, 浅野 泰, 越智 雅典, 徳江 章彦, 草野 英二
    2006 年 39 巻 11 号 p. 1525-1529
    発行日: 2006/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    今回, 難治性の血小板減少症に対して出血源と考えられる多発性嚢胞腎を両側とも摘出し, 血小板数の改善をみた常染色体優性遺伝多発性嚢胞腎 (autosomal dominant polycystic kidney disease, ADPKD) 血液透析患者の1例を経験した. 症例は49歳の男性. ADPKDによる慢性腎不全のため血液透析を施行していた. 導入期に薬剤性が疑われた再生不良性貧血を合併し, 頻回の輸血を余儀なくされヘモクロマトーシスに陥った. 頻回の赤血球および血小板輸血にてもヘモグロビン濃度および血小板数の維持に難渋し, 出血傾向のため急性硬膜外血腫も合併した. 原因として, 腎嚢胞内への出血による血小板・血液凝固因子の消費と, それによる出血傾向の増悪が新規の嚢胞内への出血を反復させる悪循環を考え, 両側腎および脾摘出術を施行した. 術後, ヘモグロビン濃度および血小板数は著明に回復し, 血液凝固能検査ではフィブリノーゲンの増加, FDPの減少がみられ, 出血傾向は改善された. さらに, 出血をきたした摘出腎の嚢胞に対して血液凝固能の検討を行った. 摘出した腎の嚢胞を超音波ガイド下に穿刺したところ, 嚢胞液はいずれも血性であったが, エコーパターンごとに異なる血液凝固所見が認められ, 出血の状態によって異なるエコーパターンを呈することが確認された. 難治性の血小板減少症に対して両側嚢胞腎および脾の摘出後に出血傾向の改善が得られ, かつ, 摘出した腎嚢胞液の血液凝固能も解析したので報告する.
  • 大島 直紀, 目黒 真理子, 三上 修治, 北村 直人, 関 守信, 村上 円人
    2006 年 39 巻 11 号 p. 1531-1536
    発行日: 2006/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    血液透析歴3年の85歳, 女性. 透析中に吐血, 上部消化管内視鏡検査で出血性胃潰瘍を認め入院となった. 症状は一時改善したが, その後腹部膨満が出現, 腹部CTを施行したところイレウス所見を認めた. 以後, 水様性の下痢便が出現し, 持続した. 4週間後に再度施行した腹部CTで大腸の拡張, 直腸壁の肥厚を認めたため, 下部消化管内視鏡検査を施行, 肉眼的所見より潰瘍性大腸炎と診断された. 治療としてプレドニゾロン40mg/日を点滴静注したが症状の改善はなく, 全身状態は悪化し, 永眠した. 剖検による病理診断では結腸をはじめとする全身性AAアミロイドーシスであったが, 先行する慢性炎症性疾患は認めなかった. 抗生剤に反応しない, 持続する下痢症ではアミロイドーシスを疑うことの重要性が示唆され, また, 透析患者の原因が同定できなかったAAアミロイドーシスの合併例はまれと考えられた.
  • 和田 幸寛, 本田 浩一, 足利 栄仁, 内田 潤一, 北澤 孝三, 杉崎 徹三, 高 順一, 吉武 理, 草野 満夫, 稲本 伸子, 稲本 ...
    2006 年 39 巻 11 号 p. 1537-1542
    発行日: 2006/11/28
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    症例は61歳女性の維持透析患者で血液透析のバスキュラーアクセスとして留置した人工血管と右浅大腿動脈との吻合部に腫瘤が出現したため来院した. 1999年原疾患不明で血液透析導入となり, 自己表在静脈に乏しく右前腕に人工血管内シャントを造設され, 維持透析が行われていた. 1997年より難治性副鼻腔炎に罹患していたが2002年頃から悪化し, 同年末に鼻腔軟骨炎発症, 組織所見より再発性多発軟骨炎 (RP) と診断された. RPに関連した鼻軟骨炎, 皮膚症状などは反復性に悪化し, ステロイド, 免疫抑制剤の投与が行われたが, 疾患の活動性は完全には抑えられなかった. RPの活動性上昇に伴い繰り返しシャントトラブルが出現し, 2002年から2004年の間に計3回の人工血管内シャントトラブルと, 人工血管動脈側吻合部周囲に腫瘤を生じた. 2005年2月に新たに人工血管と右大腿動脈の吻合部周囲に腫瘤が出現し, 急速に増大するため外科的処置にて確認したところ血清腫であった. 本経過から頻回な血清腫形成および人工血管閉塞にRPとの関連性が疑われた.
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